論功行賞
これがなけりゃ戦国時代じゃないですからね
勝ちどきをあげ意気揚々ともどる織田軍、前世の史実どおり周辺を平らげながら
一方的な勝利となった。義元を失った今川軍は大いに乱れ敗走にまみれたのだ
今川勢だった松平元康、後の徳川家康は機に乗じ岡崎城に居を構え独立を宣言
勝利を確定した織田軍は無事清洲城に帰城をを果たす
「思ってもみない大勝利、大殿が自ら大将首を取ったのが最大の行賞じゃ」
「いや、違う」信長
「お、大殿・・」
「今回最大の功労者は我に大将首の位置を知らせた平五郎」
「ば、ばかな平五郎は一介の乱波、忍者のひとりにございます」側近
「うぬはたわけか!平五郎がいなければ皆討ち死に余も今頃首塚の餌じゃ」
「平五郎ちこうよれ」信長
「ははっー」平五郎
「そんなに離れていては話ができんもっとちこうよれ」
「ははっー」にじりよる平五郎
「そなたの働き天晴れ、よって200石加増といたす」側近
「はは、ありがたき幸せ、平五郎より一層の忠義に励みまする」
「で、」信長
「はは、」
「そちの話によると我が織田軍に助力した者がいるとの話」
「はっ、いかにも」
「そのものは先ほどの無礼者か?」
「ははっ恐れながら」
「ふん、やつか・・おもしろい目をしておつたな」
「かの者が一番の功労者でございます」
「ほう?なぜじゃ?」
「からくりを自在に扱い大殿を導き、大将首を取ったのはかの者にございます」
「うむ、神輿から敵首が転がってきたな、からくりか・・」
「いかさま・・」ココで言ういかさまはインチキの意味ではない
「ふむ、しかし種子島の臭いはせなんだな」
「殿、あのような天気で種子島は発射不可能にござります」側近
「うむ、お陰で敵も種子島を使えなかった・・我が軍が切り込めた理由じゃ」
「水戸某と言ったな!いったいどんなからくりじゃ?」信長
「はは、我が国につたわる秘伝でございます」俺
「ふむ、そなた南蛮渡来か?」
「は、今は身分を明かせませんが織田家繁栄のため使わされた忍者にございます」
「ふむ、我が家繁栄だと・・・面白いな、回りは敵ばかりなのに」
「あい分かった、それでは今からそちを我が家に取り立てる!」
「え?」ざわめく周囲
「余は有能な者にはどんどん録を与える!皆もこころせい!」信長
「平五郎!」
「は、」
「そちに新たに300石合計500石加増する、かの者を配下として加えよ」
「ありがたきお言葉なれど、水戸某を我が配下でございますか?」
「うむ、近衆にしたいところだがいくら何でもそれでは他の武将達が黙ってまい」
「ははっ万事心得ました」平伏する平五郎
「うむ、下がって良し、望とやら!その名では駄目じゃ改名せよ」
「ははっ」
こうして評定は終わり俺は二戸平五郎の部下となり家禄を得たのだ
☆
「でな、其方は今日から我が養子となり後継者じゃ」
忍者ゆえ生涯独り身と覚悟していた平五郎だったが500石を得て武将の
末席に加わる段となり家屋敷、部下を持つことがが許されたのだ。
「我は35、もはや妻を迎えても子は無理、なので其方を養子として
家督をいずれは譲ることにする」
「武将の家となれば後継者は不可欠家臣を得る以上お家存続は使命なのだ」
「は、了解いたしました」俺
「なので今日から其方は水戸ではなく二戸性とする名はどうするか・・」
「は、どうか勇ましい名前を賜りたく存じます」俺
「うーむ、急には思い浮かばんな・・・」
「では、光圀を賜りたく」俺
「其方は偉そうな名前が好きなんじゃな、分かった光圀だ」
あはは、まるで水戸黄門みたいな名前になったよ。はずかしいけど
どうせ二度と前世にもどれないんだからカッコ良い名前がいいからね
「さて、お家の話はここまで、これからは大事な今後の事」平五郎
「はは、織田家繁栄の策ですね」光圀
※作中表現は読みやすさを第一に現代的言い回しで進行させます旨承知下さい
「いかにも、いくら今川を討ったとはいえ我が織田家が弱小なのは変わらん」
「そのためには備えが大事に存じます」
「うむ、して策はあるか?」
「は、とにかく富国強兵でございます」
「それはどこの国でも同じじゃ、具体策はあるのかと聞いておる」
「は、さきほどの評定で論議されてましたが第一には種子島の改良かと」
「ほほう、そなたさすが得体の知れない南蛮渡来じゃな」
「お褒め頂き光栄です」
「して、種子島の改良とは?どうするのじゃ?」
「我が国の秘伝・・・・後詰め式銃でございます」光圀
「わかりやすく教えてくれ」平五郎
「は、今現在の種子島はどのようにして弾を込めまするか?」
「しれたことよ、銃口からまず薬袋をいれて続けて鉛玉をこめ朔杖で
押し込み発射準備を整える」
「発射間隔がかなりかかりまする」
「仕方が無い種子島とはそういう物だ」
「しかも火縄で発射する仕組みなので雨風に影響を受けまする」
「だから種子島とはそういうものだから仕方が無い、なにが言いたいのじゃ?」
「すべて改良可能なのです」
「ほう、そなた怪しい妖術使いではなく鉄砲鍛冶でもあったか?」
「いえ、兵器全体、軍略全てお伝えすることが可能です」光圀
「ほほう・・・軍師になりえると?」平五郎
「万事お任せ下さい。今は平五郎様の出世、織田家の繁栄が急務」
「おもしろい、ではその種子島の改良とやら申してみよ」
「薬袋を金属の筒にし弾丸を丸から先端の尖った形状になおします」
「ほう、それで?
「薬莢の先に弾丸を取り付けて一体化するのです」
「成る程それなら一々別作業の手間は省けるな」
「そして薬莢内で発火可能に信管をとりつけ火縄を廃止します」
「な、なんと、そんなことが可能なのか?」
「この画面をご覧下さい」
光圀はスマホを大画面に直し図解説明する。勿論味方にしか見えない
「おそるべきからくり絵じゃ」驚く平五郎
「今は画面云々はどうでもいいことそれよりも弾丸の構造を見て下さい」
「う、うむ、一見高度なからくりに見えるが一流の鍛冶職人の手にかかれば
なんとか実現可能に見えるな」平五郎
「はは、そして銃の方もこちらの画面のように改造いたします」
「なるほど後込め式の種子島か・・これは画期的」
「鉄砲鍛冶の腕が上がれば後々連発式も伝授致します」
「な、なんと!連発が可能なのか」
「はは、しかし後込め式にするだけでも十分戦に使えると存じます」
「うむ、準備いらずで天候に左右されなければほぼ無敵じゃろう」
「プリンター」俺はダメ元で詠唱してみたら・・・
「ボワン」プリンターがでてきた
「こっこれはなんのからくりじゃ?」
「はあ、今出した画面を紙に記そうと思ったのですが・・・」
「どうやらこちらは3Dプリンターの様ですね」
「はあ?すりーでぃーぷりんたぁ?なんじゃそりゃ」
「作製」ダメ元で俺は唱えてみた
「ガチャガチャガチャ」な、なんと画面通りの物がわずか数分で出てきたのだ
恐るべし異世界24世紀!
「よ、妖術つかい・・・」びっくり腰抜かす平五郎、俺だって腰抜けたよ
「で、できあがったのか?」
「そのようですね」
ボルトアクション式単発ライフル狙撃銃と弾丸100発が目の前に出現した
試してはいないが素人の俺でも有効射程距離500m以上なのは分かる
「こ、これを分解して鍛冶職人に作らせてください」俺
「う、うむ、分かった我の想像ではこの程度の物なら10日もあれば
複製可能じゃろう」平五郎
「いえ、それでは遅すぎです一月で千丁程度生産できなければ失敗です」
「し、しかし金属や火薬は貴重品とても調達不可能じゃ」
俺はアイテムボックスの在庫を調べどのくらい生産出来るか調査した
「調達可能数・・・・・・」げ、天文学的数字、万やそこらの数字ではない
「平五郎様ではとりあえず千丁はこちらで用意いたしますが資金の準備を」
只でもよかったが平五郎がどれだけ今回の事を受け止めてるのか確認したい
つまり資金調達力を調べたいのだ・・後々役にたつはず
「むう、種子島一丁購入するには約10石(100万円)必要千となれば
とても無理じゃ・・」
「なにも平五郎様お一人でという訳ではございません。平五郎様の政治力を
試したく」
「あい、分かった!其方の言い分もっとも。大殿に具申してみる」
「では、一月でお願いします、我はその間新型種子島を調達いたします」
「今生産した種子島を大殿に献上しどうか性能をお確かめください」
「あい分かった、早速行動しよう」
「ズキューン」ライフリングされた銃特有の風切り音とともに50m先の
的の中心を容易く射止める新型種子島。50mの距離は近すぎだが当時の
粗末な精度と威力の種子島では狙い撃てるのはせいぜい50m
信長はにらんだとおり新しい物が大好き、平五郎が献上した新種子島を
さっそく自らの手で試し打ちして仰天した。
「おおお」周囲がざわめく
「ガチャガチャ・・ピーン」
ボルトを手前に引くと空の薬莢が排莢され次弾装填があっという間
まだ弾倉は装着されてないが火縄銃と比べたら圧倒的な差
「なんとあっというまの弾込め完了!これは驚いた」信長
「それになんという命中精度、的をはずさんな!」
「御意、恐るべき精度と威力でございます」側近
この時代、的は甲冑を使用する。甲冑を抜けなければ意味が無い
新種子島はその甲冑3段重ねをも易々と貫通し信長を仰天させている
当時の甲冑は上級武将の物ですら鉄板の厚さなど数ミリ、ライフルから発射
される5.56×45mm NATO弾(軍用)の威力は凄まじい
※作中では主にNATO弾を使用
「平五郎気に入ったわ、直ちにこの種子島買い付けせい!」
「はは、しかし軍資金が・・・」
「千丁は絶対に必要じゃそれくらいの資金はすぐ用意出来るぞ」信長
「桶狭間から後岡崎城にて独立した松平元康との同盟が成立し後顧の憂い
今川勢を封じることに成功した今、力を蓄え美濃攻めの機会を伺う時じゃ」
信長
「ははっーー」
「そのためには絶対に新種子島が必要なのじゃ、必ずなしとげよ」
「新型の種子島を見た今、堺の商人から田舎侍と侮られ足元を見られながら
すがりつくように購入せざるを得なかった旧型の種子島など用済じゃ」
怪気炎をあげる信長、鼻息荒い
「平五郎!」
「ははっ」
「そなたの部下は優秀じゃ、どこから買い付けたのか分からんが商人を他国に
奪われてはならん、その為にはケチるな。言い値の2割増しで織田に
廻すよう商人を縛り付けよ」決断力ピカイチの信長
「御意」平五郎
「喜べ光圀、そなたの言う通りの展開じゃ、資金はココに用意したぞ」平五郎
「うわ、とんでもないことを平然と行えるのですね大殿は・・」
「うむ、ここぞと言う時の大殿の決断力は神がかりじゃ」
今後政に必ず軍資金は必要となる今は蓄える時期だ遠慮などしてられない
「早速ですが100丁ほど完成しました殿に献上ください」
「おおっ昨日の今日ではや100丁か、大殿は迅速をもっとも喜ぶ
そなたの出世まちがいなしじゃ」
「いえいえ、私などは勿体なくございます今は平五郎様の出世が第一
早く参謀に昇りつめて頂きたく」
「うむ、そなたを軍師とするためには我の出世次第、万事心得ておる」
一月の納期のはずが十日で準備できたことに信長大層よろこぶ
「平五郎、其方を千石取りと致す、参謀の末席を許す!」
「ははーありがたき幸せ」
「くっ新参者が偉そうに・・・」
「ん、今なにか言ったか?余に文句がある輩は申し出よ」刀を構える信長
「ひ、ひぇええ滅相もございません」
「よいか?出世するのは功績次第じゃ、古参も新参も関係無い心せよ」
「平五郎!」
「はっ」
「古参などに遠慮するでないぞ、余は新しい物が大好きこれからも精進せよ」
「は、身命に誓いまする」
☆
「次なる兵五郎様出世の術は築城にございます」光圀
「ほう、そなた築城術まで持ち合わせてるのか、織田家でも何人もいないぞ」
「は、強固な城は今後必須にございます。画期的な工法伝授いたしまする」
「ほう、築城には漆喰と決まってるがそれ以外にあると?」
「は、漆喰をさらに改良したコンクリートなる建築材を開発します」
「ほお、こんくりーと?南蛮渡来の香りがするのう」
「は、実は異国では数千年前から実用化されています」
※実際ローマ時代にローマンコンクリートは実用されている
「な、なんと・・・我が国は戦乱に明け暮れてばかりで時を無駄にしてるな」
「いかさま・・・はやく戦乱を終えねばなりませぬ」
「うむ、光圀と同意見じゃ、そのためには大殿に天下を取って頂かねば」
「光圀身命を賭して助力いたします」
「して、そのこんくりーとなる物はどうやって作るのじゃ」
「は、ふたたびからくり絵をご覧下さい」大画面で表示する
「うーむなにやら難しそうだが決め手はこの炉じゃな」
「は、プラントと申しますが、そちらは我が建設致します心配無用です」
「で、我には資金調達なんじゃな?」
「いかさま、あと今回は資材の調達もお願いしたします」
例によってアイテムボックスを検索したらほぼ無尽蔵のセメントが保存されていた
しかし、それを提供したのでは織田家の為にならないと判断した。
なぜこれほどの資源がアイテムボックスにあるのか俺は想像してみたが
権左衛門が地球防衛軍の指令だったのが影響してるにちがいない
地球環境保全のためにいろいろ復旧材料が必要だったのだろう。それが今
とても役に立っている。ありがたやありがたや
「あい分かった其方の言う材料なんとしても揃えよう、設備の方は頼む」
「はい、3Dプリンターにより数日もあればプラントは完成します」
「そして例によって試供品を大殿に献上するのだな?」平五郎
「話が早くて助かります」光圀
「併設して溶鉱炉も建設致します」光圀
「溶鉱炉とな?分かった鉄の大量生産じゃな」平五郎
「さすがです平五郎様!」
「そなたの兵法大分理解出来てきたからな」
「鉄は万物の源、欠かせない物資となりますので」
「うむ、これからは鉄じゃな、確かに」
「川底をさぐればいくらでも砂鉄が取れるのは常識だがそれを精錬出来ぬ」
「は、溶鉱炉があればいとも簡単にございます」
「鉄砲製作にも拍車がかかるな」
「いかさま」
「大量の鉄が生産できれば大砲製作も可能にございます」
「ぬ、南蛮にあると聞いたが、我が国で生産可能なのか?」
「原理は種子島と全く同じにございます」
「大砲があれば平城などは木っ端微塵じゃな」
「いえ、私の製法で作れば山城ですら攻城可能となります」
「な、なんと、すれば今回美濃の稲葉山城も攻略可能なのか?」
「容易きこと」
「むうう・・・今大殿は稲葉山城を落とすべく調略中じゃが・・」
「もちろん無血開城は理想かと」
「しかし調略は時間が掛かるし必ず成果が有るわけでは無い」
「いかさま」
「大砲をもって敵を威嚇しそのあと戦争の無益をとき調略すれば確実かと」
「むう、確かに・・・そなたの軍師としての才発揮じゃな」
その夜寝床で光圀は考える
「環境破壊が元で人類が滅亡するのにこのままセメントプラントや
溶鉱炉を建設したら歴史の繰り返しではないのか・・」悩む
「できるだけクリーンなシステムが必要な気がするが・・・」
「今は織田家繁栄が第一環境問題は後で考えよう」やむを得ない
南蛮渡来は便利便利
あー、そこ!この物語はハクション!いえフィクションですからね
時代考証がどうのこうの青筋立てないで下さいね。<(_ _)>