薬売り
播州平定へ平五郎が向かいます(草)
「そなたが黒田の薬売りか?」
「は、薬といっても目薬にございます」黒田重隆
「うむ、大層な商いとか」
「は、全て光圀さまの差配にて・・・」
実は黒田重隆、24世紀テクノロジーで生まれた生体アンドロイド
つまりは伊賀の里を参考に光圀が仕立てた土着の「草」主に情報収集目的
全国津々浦々に同様の「草」を潜入させている。
しかし黒田重隆はリョウコが製作したアンドロイドの中でも特に優秀
頭角を現しことさら光圀は重用してる。
「24世紀科学でもこの個性というのは解明出来ません」リョウコ
「本当に不思議だよね、数百と作ったアンドロイド全部能力が違うって」
「出荷時は同じ性能なんですけど、環境が変わると個性も変わる様です」
「殿(光圀)、お知らせしたき事がございます」重隆
「うむ、其方の耐用年数(寿命)の件じゃな」
「は、実は孫の孝高(後の官兵衛)贔屓目なしで見ても類をみない才覚
まだ20才ですが家督を譲り当主にすえました」重隆
※異世界24世紀アンドロイドは当初女系のみ繁殖可能だったが
リョウコの研究により男系でも繁殖可能になってる。すでに多くの墨俣兵子孫が
家禄を継いでる、重隆の孫に当たる孝高実は生体アンドロイドだが本人は
全く自覚していない、実際人間と全く変わらない構造、光圀以外はこの事実を
知るよしもない。
だが異世界24世紀では不可能だった男系の生殖が可能に
なったのは環境変化のお陰なのだろうか?リョウコもそれは解明出来ていない
それともこの戦国時代16世紀はどちらの世界(光圀とリョウコの住んだ世界)
とも全く別の異世界なのだろうか・・・
「うむ、そなたからの暗号文で詳細はきいておる、楽しみじゃ」
「度をすぎた才覚なのが逆に困りものなのです」重隆
「む、出る杭は打たれると申すな」
「御意、いかがいたせば・・」重隆
「いずれ我が殿が召し抱えるがそれまでは大人しく小寺に仕えよ」
「孫めは仕えるは平五郎様しかいないとだだをこねる有様で」
「困ったものじゃ・・・、しかし風が吹き始めてるのも事実」
「つまり機運が高まってきてるのですか?」
「我がお忍びでこの地に参ったのは大殿(信長)のご下命じゃ」
「な、なんと単なる視察ではないのですね」
「うむ、此度は多少時間がかかっても播州を平定せよとの下知じゃ」
「し、しかし小寺は毛利に与する勢力、今の黒田ではまだ力が足りませぬ」
「そこでだ、近日中に織田軍挙兵との噂を流す」
「つまり?」
「わからんか?播州などは信長様にとってはただの通り道
踏み倒すなど造作ないと触れて廻るのじゃ」
「なるほど、恭順か滅亡かを地侍どもに問うのですね」
「必ず強固に反対する者がいるはず、それは毛利の間者に間違い無い
そのものは我らが闇から闇に少しずつ始末する」
「我ら黒田は織田様恭順を働きかけるのですな」重隆
「うむ、そのための準備を今からするのじゃ」
「はは、」
「殿、一大事にござる」伝令
「なにごと」小寺某
「信長めがいよいよ毛利成敗に乗り出すとの噂いよいよ現実味を帯びて
来ました。どうやら数万の軍が挙兵の為準備しだした模様にござる」
「なに、それは真か」
「は、忍びからの報告にて(実はダブルスパイ半蔵の手駒)」
「うむ、今ならまだ刻を稼げるのじゃな?」
「は、大軍故一月や二月は掛かるかと・・」この伝令も半蔵の手駒
「すぐに地侍どもを呼び出して評定じゃ」小寺某
小寺氏の呼び出しで地元地侍勢力が御着城に集まり評定がはじまる
当然もともとが毛利勢力圏、織田家恭順論に激しい反対意見が相次ぐ
「播州は代々毛利に世話になってる、織田ごとき田舎侍なにするものぞ」
「そうじゃそうじゃ、来るのならこい返り討ちにしてやる」
「これは評定など無意味でござるな、圧倒的多数で抗戦と決まった」
「またれよ」重隆が声を上げる
「ばかもの、隠居の其方に発言権などないぞ」周囲
「ならばなぜこの評定に呼んだのか!我が財力が目当てではないのか?」
「ぐぬぬぬ・・・」言い返せない、事実軍資金のほとんど目薬販売
「考えてもみなされ、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの織田軍どうやって
撃退出来るのか?」重隆
「しれたことよ、我らが踏みとどまれば必ず毛利軍が援軍に来てくれる」
「笑止千万片腹痛いとはこのこと」
「な、なに~」
「石山本願寺をご存じか?」
「うむ、畿内にあって孤軍奮闘してるな」
「毛利様は援軍に駆けつけてますか?」
「ぐ、あれだけ封鎖されていては援軍などムリじゃ」
「播州などは毛利にとってはたんなる盾位にしか思われてませぬ」
「そんな訳あるか!」
「いいえ、今まで毛利様は口は存分に出されますが何一つ援助など
ありませぬ」
「そ、それは薬売りの其方の資金が十二分にあるからあじゃ」
「ならば薬売りの意見を通してくだされ」
「ぐ・・・で?其方の意見とやらは?」小寺
「は、此度の織田軍遠征の際全軍をもってご助力いたせばお家安泰にて」
「ば、ばかな、1戦も交えずに降参するつもりか?」
「戦などしたら播州など木っ端微塵。織田軍の強さご存じないのか」
「だが降伏したあと所領を召し上げられて蹂躙されるのでは意味が無い」
「は、私孝高身命を賭して所領安堵の証文を得てきます」
「そなた、重隆の孫だったな・・・若い」
「殿、孝高は我が黒田家の当主にて年齢は関係ござらん」重隆
「よし、分かったそれでは孝高とやら今すぐ織田家に向かい確約をとってまいれ
確約を得た段階でわれらの行く先を決める」
「殿!それは本末転倒でござる、家中を一まとめにして織田家に嘆願するのが
弱小大名の筋にござる、織田様の確約を得てからなどではまとまるものもまとまり
ませぬぞ」孝高
「だまれ、若造!殿にたいしてなんたる言葉、無礼であろう」
「いいえ、此度の件は小寺家以下全ての地侍達にとって伸るか反るかの大事件
一歩も引けませぬ」
「しかしな、この評定をみてもみろ織田家に与するをよしとする家臣は
黒田家のみ後の家臣どもは殿と同じで毛利側だ。こんなものまとまる訳がない」
「例え1:9の比率だとしても間違いは間違いにござる」孝高
「えーいしつこい!今日はこれまでじゃさがれおろう」小寺政職
帰宅し陰の間でまつ平五郎に報告する重隆と孝高
「どうも殿は時代が見えてませぬ、いくら説得しても埒があきませぬ」重隆
「ま、今日はそんなもんだろう、織田に味方は其方一家だけだからな」
「余りにも無能すぎます、ちょっと考えたらお家存亡の危機なのに」
「ふ、頭のかたい者などどこにでもいる、予想通りじゃ」
「して、これからいががなされるのですか?」
「うむ、そこでじゃ、周辺地侍の赤松氏と別所氏をうごかす」
「うごかす?」
「どちらも数百単位の兵しかいないが挙兵させて小寺を攻めさせる」
「そ、それは逆効果、織田勢に与する勢力が攻めたら頑なに貝に閉じ籠もって
しまうかと」
「もちろん小競り合いですますがそこで其方らが両氏の調停役を
務めさらに黒田家の信を厚くするのじゃ」平五郎
「なるほど・・・さすれば我らの発言権も強くなりまする」
「その間に我らは毛利の間者をつきとめて闇から闇へと始末する」平五郎
「さすがは平五郎様ぬかりありませぬな」
「とにかく大殿は成果を待ってるのじゃ頼むぞ」
「ははっ」
「話は違いまするが」孝高
「まあ、酒でも飲んで話そう」
「過日、重隆様より見聞を深めよとの命令で私は京の都に行きました」孝高
「ふむ」
「そして驚いたのです!」
「ほう、一体なにに驚いたのか?」
「播州の田舎とはあまりにも違い過ぎる民の暮らしぶりにです」
「ほう、そんなに違うか」
「はい、驚きました。なによりも民達の活気、いきいきとした姿です」
「そう感じたか・・」
「信長様のすすめる楽市楽座と通貨制度、兵農分離、政教分離政策
この孝高感銘いたしました。そして整備された街道と交通!」
「軌道馬車をみたのじゃな」平五郎
「はい、おそるべき技術・・すべて南蛮渡来との事」
「うむ、世界と日本の技術の差にはおどろくやら呆れるやらじゃ」
「御意、このままでは日の本は外国に簡単に滅ぼされてしまいます」
「ほう、孝高とやらそなた見えてるな」
「あれだけの物を見て気づかぬかぬ者などいませぬ」孝高
「そうか?いや織田家家中でも誰1人として危機感をもつ家臣はいないぞ」
「実は私15の時にも京の都を旅したことがあるのです」
「その時とは大分かわっていただろう?」
「はい、その時はまだ戦乱の中畿内では血みどろの勢力争いに明け暮れ
民達は痩せ細り都の荒れようと来たら目をおおうばかり」孝高
「どうじゃ?大殿のまつりごと」
「はい、この孝高感銘致しました。外から聞こえる信長様は第六天魔王で
仏敵、全てを破壊し民たちをないがしろにする暴君と思ってました」
「我ら家臣大殿に誠心誠意尽くす訳がわかっただろう?」
「ははっー是非この孝高も末席に加えて頂きたく・・」
「そのためには此度の調略なにがなんでも成功させねばな!」
「御意」
「それにしても小寺の殿の器の狭きこと・・私はすでに見限ってまする」孝高
「所詮数千単位の兵しか動かせぬ小物大名、大殿と比べるべくもなし」
「だが、今は時期尚早じゃ、急いては事をし損じるぞ」平五郎
「は、肝に銘じて」孝高
「見たところ其方は才なき者をすぐに見限る癖がある。建前だけでも
才無き者を見下してはならんぞ」
「簡単な事をなぜ理解出来ないのかじれったき事でどうも癇癪が・・」
「そなたはまだ若い、若さ故仕方がないがもし大志を抱くのならば時として
足元をすくわれる、この平五郎の言う事忘れないで欲しい」
「はは、ありがたきお言葉、肝に銘じまする」孝高
「時に平五郎様」
「ん、なんじゃ」
「平五郎様のご子息は織田家一と名高い軍師殿とのこと」孝高
「うむ、今は村上水軍との戦で忙しいがいずれ我と合流する必ず引き合わせよう」
「それは楽しみにございます。織田家一の軍師様とはどんなお方か」
「そなたの祖父の生みの親じゃ」
「え?もしかして血縁者なのですか?」
「いや、そうではない、今は秘密にて明かせぬ」平五郎
「これ孝高、殿(平五郎)を困らせるでない」重隆
孝高(後の黒田官兵衛)は自分の生い立ちを全く知らない
実際史実でも重隆以前の家系については不明な部分が多い




