くノ一、シノ
今回は外伝、シノ物語
「なぜサスケ殿が墨俣人夫衆の頭なのでござるか?」配下
「うむ、これも成り行きというものじゃ」サスケ
「ですが日の本一と名高い忍者であるサスケ様が・・」
「あのな、忍者というのは有名になったら意味が無い」
「勿論その筋の者同士での評価です」
「ふん、我など未熟者じゃよ」サスケ
「いえいえ、いまや平五郎軍忍者軍団500の頭目にござる名実ともに
上忍中の上忍にて」部下
「そんな事に興味は無いけどな・・」
「お頭はすこし自覚が足りませぬ」
「ひとりかせいぜい数人で行動する方が我の性に合ってると思うが」
「それでは困ります」
「まあ、今は忍軍の事はどうでもいい、それで?話はなんじゃ」
「ですからなぜ墨俣人夫衆まで束ねているのかとお尋ねしてます」部下
「我自身が墨俣の衆を好いているからじゃ、ほれ昔からいうじゃろ」サスケ
「はあ」
「同じ釜の飯を食うと仲間意識が出来るのじゃ、更に大風呂に皆で
裸で入ったのも影響してると思うぞ」サスケ
「つまり気心がしれたと?」
「そういうことじゃ」
平五郎暗殺指令から縁が出来てしまった織田家との繋がり。決してサスケの
本意では無かった平五郎と光圀の暗殺指令がとけて光圀配下となれたこと
サスケ自身とても嬉しい事だったのも影響してる押して忍ぶのが忍者だが
人間でもある。
「光圀様にお返ししなくては」との本人の強い思いもあり
墨俣人夫衆頭目をかって出たサスケだったのだ
「さて、晴れて頭目となった以上これからは殿のため尽くす」
「はは、我ら人夫衆よろこんでサスケ様の下知お待ちしてます」
「うむ、さすればなによりも大事な事を伝える」
「はは、」
「其方達はたかが人夫と自身を卑下してることだろう」
「へい、事実人夫などはろくな人間ではありませぬ」
「ちがう、殿(光圀)の申すにには働く者に貴賤の差などないとのこと」
「はあ?」
「つまりどんな者であっても世に生まれて来た以上役に立つと言う事じゃ」
「ですが現実的に人夫などほとんどが流れ者、中にはお尋ね者もいます」
「過去の話などどうでもよいこと、必要なのはこれから如何に織田家に役立つか」
「大変申し訳ないことですが我らのほとんどは金で雇われた者、忠義などは
もちあわせていませぬ」部下
「そんな流れ者の其方達が誰1人抜け出さないのはなぜじゃ?」サスケ
「そ、それは・・・」
「よい、この機会じゃどんな事でも申して良いぞ」
「さすれば・・・ここの賃金が良いことと働く環境が優れているからで」部下
「ふむ、なれば他に条件がよければ移ると申すか?」
「残念ながら日の本中どこを探してもここより良い条件などはなく・・」
「つまり殿は皆のことを誰よりも考えてくれてるという事じゃな?
「は、・・それはそうでございますが」
「更に言えばこのような好条件の職場を守りたいとは思わないか?」
「は、それはそうです多くの人夫は長く働きたいと感じてるはず」
「ふ、つまりすでに其方達に「忠義」が芽生えてる証拠じゃな」サスケ
「ですが・・命を賭してとかの忠義とは違う気がするのですが」
「当たり前じゃ其方達は武家ではない命掛けで主に仕える道理も義理もない」
「ご理解頂けて助かります」人夫副頭目、名を五平
「本来何も出来なかった其方達に読み書きを教え、最低限の礼儀作法を
教えたのはどう思う?」サスケ
「は、半端者だった我らに勉強する喜びを与えて頂き感謝してます」五平
「其方達は気がついていないがここ数年で其方達は人間としての価値が格段に
高まってるのだ」サスケ
「確かに・・ちかごろは人夫同士でのつまらないいざこざほとんど皆無です」
「人間は生活環境が充実すれば余裕というものが生まれるのじゃ」サスケ
「なるほど・・知らず知らずに光圀様に籠絡されていたのですね」五平
「すごいじゃろ?殿は其方らに一度たりとも強要などしていないのに」サスケ
「た、たしかに・・・実はおそろしい策略でしたか」五平
そんなやりとりが有った数日後
「た、たいへんじゃぁ」人夫
「どうした?」
「殿(光圀)が戦地にて窮地に立たされたとの一報じゃ」
「な、なんと」
朝倉氏成敗に挙兵した平五郎と光圀が北近江の地にて浅井氏の裏切りにあい
挟み撃ちされたとの急報だった
「殿がもどられた!」
「おおっ光圀様ご無事で何よりです」人夫衆
「いや、大殿を送り届けただけ戦はこれから、戻らなくてはなぬ」
「ば、ばかな、命からがら逃げてこられたのに戻るですと?」
「当然である我が殿は平五郎様、命を賭しても救わなくてはならんのじゃ」
「でな」光圀
「ははっ」
「挟み撃ちをされてる我が軍の防御をせねばならん」
「は、それは吃緊の事でござるな」
「うむ、今こそ墨俣秘密基地で準備したからくり工作機械の出番じゃ」
「はは、直ちにからくり機械準備いたします」
「頼む、一刻の猶予もないのじゃ」光圀
「ですがからくり機械だけでは堀や土塁を築けませぬ」五平
「うむ、仕方が無いのでからくり兵を徴用する」
「ですがからくり兵は専門職ではありません。慣れない力仕事など無理にて」
「だが時間がない仕方が無いであろう」
「是非我ら人夫衆をお使い下さい」五平
「ば、ばか、言った通り向かう先は戦地ぞ、生きて帰れる保証などないのだ」
「しかし、雇い主の平五郎様と光圀様が討ち死にすれば我らもこれまでです」
「我らがいなくなっても他所に移れば済む問題だろうが」光圀
「もはや我らに行く所などございません、光圀様が与えてくれた命であれば
我らも命掛けでお返しするまで」五平
「し、しかし・・」
「我ら飯炊き女衆もご一緒いたしたく」
「馬鹿者、女の出る幕ではない」光圀
「いえ、腹が減っては戦は出来ません、どうかこの願いお聞き下さい」
「そ、そうか・・・では頼む」光圀
「おおおシノどうした、なぜこのような所にいるのじゃ!」サスケ
「はは、此度の織田軍危機の手助けに参りました」シノ
「し、しかし其方達は飯炊き女、なにができると言うのじゃ」サスケ
「は、まずはともあれ飯でございます、にぎりめし持参いたしました」シノ
「おおおおおおっこれは助かる。腹がペコペコだったのじゃ」サスケ
さっと手紙をサスケに渡すシノ
「なにごと・・」戦地で今更なんの繋ぎかといぶしがるサスケ
シノとサスケの関係は先行侵入したシノが平五郎暗殺を企てるサスケの
全面サポート役。・・・のはずだった
だが、墨俣秘密基地には記憶削除機能が備えられていてシノが得た情報は
なにひとつとして持ち出し不可能だったのだ。どんなに秘密情報を得ても
綺麗さっぱり忘れてしまうw。本人はくノ一失格と落胆していた
「サスケ様のお役にたたなければ」あせるシノ
「武運をお祈り致します」シノの手紙
「はて?我の勉強不足・・この暗号文、何を意味するのかわからん」サスケ
忍者がやり取りする繋ぎ文は暗号が基本。平文でのやりとりなど有り得ない
もし敵に捕らえられたときの証拠などもたない、忍者として最低限の掟
話はすこしもどり墨俣にて光圀に手助けを訴えるシノだったが
光圀側にも思惑がある。
「シノと申すか?」光圀
「はっ」
「サスケから聞いている、腕の立つくノ一だとか」
「は、恐縮にございます。どうかお役立ちたく」
「実は3万の兵を全て撤退させなければならんのだ」
「は、それは大変な事でございまする」シノ
「で、手持ちのUFO30機を繰り返し往復させる」光圀
「わかりました、飯炊き女衆で操作でございますな」シノ
「うむ、話が早くてたすかる、早速だが皆を集めてくれ」光圀
「は、わがくノ一殿のお役に立てて嬉しゅうございます」シノ
「言うのは簡単ですがシノ達で操作は大丈夫なのですか?」部下
「今回は特別に南・蛮・渡・来の虎の巻を其方らに貸与いたす」光圀
おそるべき異世界24世紀、脳内に直接操作方法を植え付ける装置がある
なんかの映画であった手法の気もする
っていってもUFOの操作は至って簡単普通の人間なら一時間もあれば覚えられる
しかし時間が無いので装置をつかって瞬時に操作方法をマスターさせた
「ビビビビビ・・・・」
「操作方法わかりました、直ちに作戦実行したします」シノ
「頼んだぞ」光圀
墨俣から出発したUFOにからくり工作機械を積み込み戦場到着と同時に
人夫衆が慣れた手つきで素早く組み立てる
「どうです光圀様、からくり機械の組み立て一つでも我々を連れてきた甲斐
あったでしょう」五平
「うむ、これは助かる」
「さあ、者ども組み上がったら早速作業開始じゃあ」五平
「はっ」
「敵の陣容が整うまで、つまり今夜しか時間がないぞ、急げ~」サスケ
現代でいうところの「ユンボ」と「ブルトーザー」が唸りをあげる
「ガガガガガガガ・・・・」
ものの数刻で空堀とはいえ堀ができあがり残土で作った土塁が積み上がる
積み上げた土塁に速乾性のコンクリートを流し込み臨時の城壁とした
これで敵騎馬隊による電撃的な突撃は不可能になった、時が稼げたのだ
「でかした!これで敵の突撃を防げる、撤退の時間を得られた」光圀
「は、墨俣築城の際覚えた手練のお陰です」人夫衆
「頼もしい限りじゃ、あとはシノ達の手腕に掛かってる」光圀
「さすがは手練れのくノ一忍軍その運動神経は抜群、なんなくUFOを操作し
大軍撤退を予想以上の素早さで完了出来た」
「サスケ其方の手駒は優秀すぎるぞ、天晴れじゃ」光圀
「殿そのくノ一衆は落胆してます。どうか殿の励まし願います」
「はて、面妖な、我はなにもしていないが?」光圀
「くノ一の本分であるつなぎが一切出来なくて困ってます」サスケ
「あはは、墨俣の件の事か?あれは南蛮渡来からくり、くノ一の能力の問題では
ないと以前にも申したはずじゃ」光圀
「それにな、励ますのはサスケの仕事じゃ上忍の務め果たせ」光圀
「はは、わかりました」サスケ
「あの、シノと申す者、よきおなごではないか。大事にいたせよ」光圀
「はあ?」サスケはくノ一を対象などとして一度も見た事がない
だが、光圀には分かるシノのサスケを見るあの目は単なる憧れ以上だと
「シノさんはサスケさんに惚れてますね」リョウコがささやく
「ふ、そんなことは私でもわかったよ。わざわざ死地に乗り込む理由」光圀
☆
伊賀の里で過ごした幼年期からシノはサスケを慕っていたのだ
だが掟厳しい里、恋愛感情などをもつことは固く禁じられている
里の長が慶事の全てを決めるのが習わし。合理目的以外無い全ては里の為
幼き頃から男も女も徹底的に教育されている、サスケも同じ
シノはくノ一として厳しく育てられ、サスケはいずれは里を背負って立つエース
として嘱望されていた。同じ里の者であっても住む世界が違ってるとシノは
諦めていたのだ。
ある日、里の命令によりシノは偶然美濃の国へ里子に出される齢八つの時
現地に根付く「草」になるために
※ 草とは特定の土地に数代にわたり根付く忍者のこと、現地の情報を里に
伝え各地の状勢、動向を把握する為の組織
一旦事が起きれば里の為に破壊工作活動や領主暗殺なども行う
里からの命令を遂行する為派遣された忍軍団を影で支援する事も任務の一つ
主に比較的裕福な庄屋とか中級武士階級に潜入する。情報を得やすいからだ
当然だが「死して屍拾うものなし」
「ああ、これでサスケ様とは今生の別れ・・・」覚悟を決めていたシノ
だが運命とは皮肉な物、草として生きていたシノに新たなる命令が下った
織田家中で頭角を表してきた二戸平五郎なるものが墨俣に新たなる城を
築いたがいままでに見た事も無い築城法との噂に伊賀の里が関心を示したのだ
「墨俣に飯炊き女として潜入し秘密を探って参れ、繋ぎの忍は後で送る」
「はは、ご下命とあれば」シノ
まずは飯炊き女として雇われなければならない
幸運にも城下にふれが下る
「求む墨俣城単純労働者若干名、高給待遇要面談」
だが城下町いたるところにたつこの触書に誰1人関心を示さない・・
「ふ・・」ほくそえむシノ
「人夫が必要となれば必ず飯炊き女も必要なはず、面接に参じよう」シノ
「はて?ふれを見なかったのか?我が城に必要は人夫のみ、おなごの出る幕
ではないぞ」面接官
「いえ、それは早計にございます」シノ
「ほう?」
「城内に多数の人夫が出入りするとなれば生活はどうするのでしょうか?」
「む、そんな事は人夫達が自分で考えること、知ったことではない」面接官
「だから、誰も来ないのではないですか?」
「な、なんと、我が城の実状を知ってるのか?」
「誰でも分かる事、城下にあれほどふれ書き立ってるのに誰1人関心示さぬ
これは事情があるに違いないと案じたのです」シノ
「なるほど、そうかそうだったのか」
モニター越しで面接を見ていた光圀合点がいったのだった。
まつりごとのなんたるかを知ぬ光圀、ノウハウを得ようと墨俣増築の名を
借りて暗中模索していたのだが当初は人心を掴めず苦労していた。
権左衛門の薫陶で成長著しい光圀なれどまだまだ勉強不足
「そうか・・人夫をただ雇えばいいという訳ではないのだな
あの女の言う通りじゃ、おもしろいあの女即採用せよ」光圀
「で、ですが・・・一体何用で?」面接官がひそひそとインカムで応答する
「人夫を雇う以上設備も必要だと申してるのだろう」光圀
「わかった、では其方を採用しよう」面接官
「多分、殿様は民に一体何が必要なのかを理解されていないと思います」
「図星をつかれた光圀モニター越しなのに動揺する」
「其方になにか意見があるのか聞いて使わすぞ」面接官
「は、なによりも人夫に必要なのは酒と女と飯にございます」シノ
「わかった殿に具申してみよう。其方なりの具体案作って参れ」面接官
「は、それでは数日後に再び参ります」シノ
「これは迂闊だった、戦国時代であっても人間の心は同じだった」光圀
「リョウコ君分かってたのに教えてくれなかったのですね」
「は、光圀様のすることに文句など私は言えませんから」リョウコ
「間違ってることは教えてよ」光圀
「どうでしょう?戦国時代の世ですから我々の考えが正解とは分かりません」
「ぐ、確かにそうなのかもしれん・・・でも人々の心を掴むということは
努力なしではムリという事かと思います」光圀
「で、どうされますか?あのシノとか申す者の意見を取り入れますか?」
「うむ、戦国時代の常識とやらを聞けるチャンスだからね聞くだけは聞いてみる」
「なるほど、しかしそれでは凡将と侮られます。こちらでも草案を作るべきかと」
「うん、それは良い考え、リョウコ君頼みます」
「それでは平五郎様と同じ丸投げですよ、自分で考えてください」リョウコ
「わかりました21世紀的考えと異世界24世紀の考えも違う事でしょうしね」
「それでは24世紀代表の私の考えも作っておきます。」リョウコ
「あとしつこいようですが異世界は光圀様の住んだ世界でわたしの24世紀は
普通の世界ですからね」
「意外と頑固なんだね24世紀アンドロイドは」
「と、とにかく意見は多い方がよろしいかと存じます」リョウコ
「なるほど三本の矢だね」光圀
「確か毛利様のお考えだったかと」リョウコ
「ほう、そこは私の時代の歴史と同じなんですね」光圀
思ったより長くなったので分けます<(_ _)>




