美濃攻め2、竹中半兵衛
いかにして半兵衛を調略するか
「光圀、あれから三月経ったが首尾はどうじゃ?」平五郎
「はは、我が隠密による情報収集は順調ですが半兵衛調略には今しばらく時が
必要に存じます」光圀
「うむ、慌てる必要は無い、しかし、なにがなんでも成功しなくてはならん」
「は、全て心得ています」
「話は変わるが・・」
「は、」
「こんな情勢なのに不謹慎と笑われるやもしれんが、実は身を固める決心をした」
「これはおめでたきこと、して御相手は?」
「うむ、話すといろいろ複雑なのじゃが・・」
「我は殿の養子にて軍師格何事もご相談くだされ」光圀
「だが、これは私事、其方の手を煩わす訳にはいかないので勝手に進めた」
「は、ですが顛末だけでも教えてください」
「実はな、大殿(信長)が我がいつまでも独り者であることを不憫に思い
女子を紹介してくれたのだ」
「それはおめでたきこと大殿紹介となれば織田家との結び付きは強固となります」
「うむ、それはそうなのだが我は先日参謀の末席に加わったばかりの若輩
大殿の寵愛を受けすぎると周囲との摩擦がますます激しくなるのじゃ」
「確かに・・」
「その場はありがたきことなれどと固辞したが、大殿に恥をかかせるのも愚策」
「さようにございますな」
「つまりは早急に自力でなんとかせねばならんと焦ったのじゃ」
「しかし、色恋沙汰だけはどうにもならぬのが世の常にございましょう」
「いかにも、焦ってどうなる訳ではないのだが・・・」
「はあ?」
「あの、その、つまり・・・なんじゃ」モジモジする平五郎
「殿、急にどうなされました?」
「ばかもん!其方がわるいのじゃ!」
「はあ?」
「つ、つまりな・・・」
「はあ?」
「護衛兵2人に手を出してしまったのじゃ!」
「な、なんと!」ビックリ光圀
「護衛に付けて三月で抜き差しならぬ関係とは・・・呆れましたぞ」光圀
「す、すまぬ・・しかし男としてな、こればかりは」
ふふふふふ、内心したりの光圀、万事リョウコの作戦通り。平五郎籠絡は当然
なにしろ平五郎好みの女子2人の色仕掛け作戦なのだから。
普通の男なら三日も持たない筈なのに石部金吉朴念仁平五郎ゆえ3月も要したのだ
「で、どう責任をとるのですか?」光圀
「其方の大事な手駒を手込めにしてしまった責任は重大、どんな責めも受ける」
「それでは責任をとり2人を正室と側室にして頂きたく」光圀
「し、しかし、それでいいのか?
「勿論でございますこれで私と殿との関係もますます強固になります」
「で、でな・・あのその・・」
「お子ですな?」
「すまぬ、事後報告ではあるがそうなのだ」頭カキカキ平五郎
当たり前だそれ専門のアンドロイドなのだ一撃必殺外れる訳がない
「これはおめでたきことお世継ぎを諦めていた殿には吉報ですぞ」光圀
「うむ、其方を含めこれから増える家族のためにも働かねばならん」
「はは、家臣一同お喜び申し上げます」軍団全員
もはや、この地点で平五郎配下3千、光圀配下千の兵が組織されていた
光圀配下とは蜂須賀党500とアンドロイド兵500合計1000の事
「だが、これ以上の兵力を維持するにはこの墨俣では限界である」平五郎
「御意、はやく戦果をあげて領地を増やせねばなりませぬ」光圀
「で、光圀、地下にからくり工場を極秘に建設してるそうじゃがいったい
なにを作ってるのじゃ?」平五郎
「はは、殿及び織田家繁栄のための数々のからくりを制作中でございます」
「おお、それは楽しみ。だが内容は教えてくれないのだな?」平五郎
「実はいろいろと工夫が必要な物ばかりでまだお見せ出来ませんが必ずや
お役に立って見せます」
「うむ、期待してるぞ」
その夜情報収集に出かけていた隠密3人が光圀の下に報告する
「光圀様、ようやく半兵衛調略の道筋が見えて来ました」隠密A
「ほう、してその道筋とは?」
「は、今現在半兵衛殿は義龍との折り合いが悪く事実上蟄居状態にて」
「おろかな義龍よ、古今東西類なき天才を蟄居とは・・」光圀
「ここはあと一押しすればこちら側に付いてくれるやも」隠密B
「だが大殿の話では誰が説得しても首をがんと縦に振らないそうじゃ」
「我に妙案がありまする」隠密A
「ほう、申してみよ」
「ごそごそごそ」
「な、なんと大胆な!出来るのかそんなこと}光圀
「あとは殿の手腕次第かと」
「面白そうだ、やってみるか!」
☆
ある夜、竹中半兵衛宅に珍客が訪れた
「ごめん、こちらは竹中半兵衛殿のお宅でございますか?」
中からヒョロガリの美少年が青白い顔で出てきた
「どちら様でございますかな?」
「竹中半兵衛殿でございますが?私は織田家家中二戸光圀と申します」
「おお、二戸兵五郎様配下の光圀殿でございますなお噂はかねがね・・」
「恐れ多き事に存じます」
「して、敵方の将が何用でしょう?私の首など三文の値打ちもありませんが?」
「とんでもございません。今回は物騒な話ではなく単に酒を酌み交わそうかと」
「あいにく私は病勝ちにて酒は断っておりまする」半兵衛
「ですが、酒のつまみならいかがでしょう?今日は珍味を持参致しました」
半兵衛が下戸なのは調査済、グルメなのも調査済
「ほほう、毒殺ですな」
「はい、ある意味当たってますな、珍味にて半兵衛様の関心を得ようとの下心」
「貴方はどうやら正直者ですな」
「いえいえ、単なる腹芸とお笑いください」
「立ち話もなんです、狭い我が家ですがどうぞお入り下さい」
「く、これが天下の軍師たる者の扱いなのか」
あまりのも粗末な家に光圀は憤慨する、これが現在の半兵衛の立ち位置なのだ
「ははは、殿(義龍)の勘気に触れてしまい蟄居の身ですから仕方有りません」
「下僕との2人暮らしもこれはこれでオツなものです」
「しかし、世に知れる半兵衛様がこのような仕打ちを受けるとは・・」
「皆まで申されるな、それではまるで織田家に寝返れと嘆願に来た風ですぞ」
「こ、これはしたり、またしても本心をつかれてしまいましたな」
「貧乏暮らしゆえ白湯しかだせませんが・・」下僕が白湯をすすめる
「珍味をご持参とか?いかなる珍味でしょう?」
「は、まずはこれです」
「こ、これは?」
「は、南蛮渡来の一品、堺では取り扱ってるらしいですが珍味中の珍味にて」
それは墨俣秘密工場で先日生産したばかりの「チーズ」だった
「これは珍味、最初は奇っ怪な味ですが食べてる内に病みつきになりそうです」
「下戸と申されましたがこちらの南蛮渡来の酒ならばいかがでしょう」
「ほう、これは酒なのですね・・真っ赤な血の色」
「は、ワインと申します。チーズによく合いまする」
「どれ・・おお、確かにこれは美味」
「実は美濃の国は上質な水と牧畜が盛ん、本日持参した珍味を是非この地にて
生産すれば民は潤い国は強くなりまする」光圀
「ですが・・・残念ながら頭が凝り固まってる今の殿(義龍)には無理な話」
「我が大殿(信長)であれば喜んで受け入れてくれる案件でしょう」
「う、・・・・確かに信長様のお心は遙か先を見通せる力量、なれど・・」
その日は珍味が効いたのか半兵衛の口が珍しく軽くなり政治談義軍事談義に
興じてしまい深夜遅くなってしまった。
「そろそろおいとませねばなりません」光圀
「いや、この時間では帰宅は無理、どうかお泊まり下さい」
半兵衛が来客を宿泊させるなど前代未聞の事
「それではお言葉に甘えさせて頂きます」
その日は光圀と半兵衛、下僕だけの3人で眠る
「なんという豪胆さ・・寝首を欠かかれる事などは恐れていないのか?」
半兵衛は光圀に深く心服してしまった・・
光圀は自分自身では全く気がついていないが人垂らしにおける天賦の才がある
翌朝
「おはようございます、どうか朝食をお召し上がり下さい」半兵衛
米櫃の底が見えてる様な極貧生活のはずなのに精一杯の朝食が用意されていた
「こ、これは随分無理をなされてるのでは?」
「いえいえ折角遠方から尋ねてこられたお客様、おもてなしは当然です」
「ありがたきしあわせ、光圀生涯で一番の朝食を得ました・・」
心のこもった粗食に光圀本心からそう思ったのだ。
ニートでボッチだった前世、人の心など理解出来ない、しようともしなかった
しかし権左衛門という師に出会い「感性」が次第に研ぎ澄まされて来てる
人の心遣いに感謝出来る人間へと成長しはじめてるのだ。
「昨日一日お話を伺いこの半兵衛、光圀殿の心に共鳴を感じました」
「ありがたきしあわせ、長居をしてしまいましたがこれにておいとまします」
挨拶をし光圀は帰宅していった
「去就についてなにも言いませんでしたな」下僕(実は用心棒)
「うむ、ひとことも言わなかった・・」
「野心丸出し、下心見え見えだったのだが・・・」半兵衛
「うーむ光圀殿はタダモノではござらん」下僕
翌日
「ごめん!」
「は、?光圀殿どうなされた?」
「先日酌み交わした酒があまりにも心地よかったのでまた珍味持参で参じました」
「まさか・・」
「はあ?
「まさか諸葛亮孔明明曰くの「三顧の礼」のつもりですか?」半兵衛
「さすが博識の半兵衛様全てお見通しの様ですな」
「しかし、実際に行う人物は貴方が初めて・・」
「いえいえ、さすがに諸葛亮孔明様の二番煎じでは恐れ多いので」
「多いので?」半兵衛
「今日はもう一つの珍味を持参し合計3個の礼という洒落です」
「あはははは、三個の礼ですか!それは面白い」大笑いの半兵衛心の底から笑う
「はい、これまた美濃で生産可能と思われるケーキ(カステラ)でございます」
「おおっ確かこれも南蛮渡来で珍味中の珍味と聞きますな」
「さすがは世故に長ける半兵衛様」
「おおっこれは妙なる味、絶品にござる」半兵衛が甘党なのも調査済
「そして、これは珍味ではありませんが南蛮渡来の秘薬にて」光圀
「ほう?秘薬とな?」
「お見受けしたところ半兵衛様は初期の労咳(結核)このまま放置したら命取り」
「う、・・・しかし一度労咳となれば不治の病初期も末期も無い筈だが?」
「確かにここ、日の本でしたらそうでしょう。しかし南蛮では違いまする」
「どこの者とも分からぬ薬など危のうございます」下僕が忠告する
「ふ、蟄居隠蔽の身、更には労咳持ちとなれば誰が我が身など狙おうか」
「う・・・」下僕
昨日半兵衛と会談しそばに控えていたステルス、キョウコが半兵衛を診察し
結核持ちと診断、直ちに墨俣秘密工場でポーションを製作し持参したのだった
「大丈夫です私が先に毒味いたします」光圀が先にポジションを飲み干す
「あいわかった」ごくごくと飲み干す半兵衛
「う、なにやら力がみなぎったような!」
「いくらなんでもそのような即効性はありませんが、病は気からと申しますから」
「あっはっは!」3人で大笑い
「とりあえず一月分持参しました毎日1本づつお試しください」光圀
実際は24世紀ポーション、一本飲むだけで結核などは即座に完治するが
あえて一月分を渡すことで「恩を売る」手段。
「しかし、南蛮渡来となれば目玉が飛び出すくらい高価なはず・・」
「とんでもございません、半兵衛様の価値を考えたらこの程度」
「うーむ、こんなことまでして貰って手ぶらで帰す訳には行きませんな」
「いえ、それとこれとは別です。見返りなどは一切不用にて」
「しかし、それでは我の意地が立たんのです」
「それでは半兵衛様が義龍殿の好感を得る為の手助けをさせて下さい」
「は?」
「手助けです」
「我の耳がおかしいのか?調略に参った其方が我が殿との仲介?」
「左様にございます。天下に聞こえた半兵衛様を地に埋もれさすのは世の喪失
名誉回復は天命と存じます」光圀
「ばかを申す出でない、今我が殿との仲を回復したら明日は織田軍が全滅
するやもしれんのだぞ!」
「は、その程度で全滅する織田軍が天下に打って出るなど笑止千万にて」
「天下?天下と申されましたか?」
「いかにも、先日からお見せ致しました数々の先進性高き南蛮渡来なんと
見まするか?」
「うむ、日の本は諸外国に著しく遅れを取ってる」
「左様にございます、戦乱に明け暮れる百年間、天下は麻のように乱れ
御政道はなきに等しく民は飢え日は陰るばかり。いいのですかこれで?」
「よくはないが天下などという大言、まともな武将では恥ずかしくて口に
出せるわけがない、そんな事を言う奴は頭がおかしいと思われよう」
「大殿は真面目に考えています「天下布武」と!」光圀
「ううう・・・」義龍とはあまりにも違う器に半兵衛心が乱れる
「信長様の件は置いておいてまずは半兵衛様の名誉回復」
「しかし手立てはあるのか?」
「そもそも如何にして義龍様と不仲に成られたのでしょう?話はそこからです」
「うむ、うちわの話なので恥なのだが・・・」
「先日、殿に稲葉山城攻防について議論したのじゃ」
「ほう、よろしいのですか?国防に関するのでは?」
「いや、あくまでも概念の話実際の攻城には当てはまらないから」
「左様ですか・・」
「ともかく今の殿は稲葉山城の堅固さに信を置きすぎなのじゃ」半兵衛
「いえいえ、それは義龍様でなくても誰でも思いまする」光圀
「いや、違う城というのはあくまでも象徴、守るべきは城ではなく民なのだ」
「た、確かに・・」
「事実先日織田方に墨俣を奪われたのにいまだに殿は安穏としている」
「ですが確かに稲葉山城を攻め落とすなどは不可能に近く」
「内部がボロボロでは容易きこと」半兵衛
「分かりました、それでは我らだけで稲葉山城の天守を占領して義龍様の
目を覚まさせれば半兵衛様の申す事に耳を貸すようになりましょう」
「ば、ばかな。今の話はものの例え、実際に天守を奪うなど出来る訳がない」
「短時間かつ少人数で占拠なら十分可能にございます」光圀
「しかし、稲葉山は天然の要塞、天守に上がるには幾重もの防壁があるぞ」
「信長軍の新兵器なら可能でございます」
「ごにょごにょ」
「な、なんと!」驚く半兵衛
「一兵たりとも命を奪わないのであれば賛成するが」
「勿論でございます、こたびは戦ではございません」光圀
義龍と信長、どちらを選ぶ?




