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7. 銭湯で英雄 前編

長い気がするので、前編と後編に分けました。

 俺の名は多摩川菊斎。床園大学 文学部 想像言語学科の一年生だ。

 入学してから一人暮らしを始めて間もないのに色々あった。

 一番気になるのは宇宙人に埋め込まれた装置で、俺の能力を高めてくれるらしい。

 能力強化装置といった所か。

 聞いた話では翻訳機能と他にも何かあるようだ。

 急に暗算ができるようになったのはこいつのお陰だと思う。

 俺は脳の処理速度を上げるような機能があるのではと思っている。

 ただ、使い方や詳しい性能が分からないので、実際はよく分からない。


 今は夏休みに入っている。

 賃貸マンションの安い部屋を借りているが、生活費に余裕があるわけでもないので、バイトの日々だ。

 だが、今日はバイトを休んで、同じ学科の友人と遊んでいた。

 友人の名は最上隼(もがみはやと)。少し長めのスポーツ刈りでがっしりとした体格。

 こいつも一人暮らしをしている。

「最上はどんな部屋に住んでるんだ?」

「じゃ、俺の所で飲むか。ビールと摘まみを買って帰ろう」

 最上も俺と同じで一浪している。六月に二十歳になったらしく、これで胸を張って飲めると言っていた。ちなみに俺の誕生日は四月だ。


 最上の部屋は1Kだった。玄関から部屋に続く通路にキッチンとユニットバスがある。部屋は洋間の六帖でロフト付き。

「思ったより良い部屋じゃないか」

「そうか? 普通だろ。お前の借りてる所がおかしいって」

 俺の借りてる所は風呂無しのトイレが共同。それを聞いた最上は笑っていた。


 最上の部屋で飲み始めて、気が付くと二十三時を過ぎていた。

「なんかビールは飽きたな。アルコール以外の飲み物が欲しい」

「確か麦茶があったかと思うのだが」

 最上は冷蔵庫の中を確認しに行く。

「わりぃ。なんも無いわ」

「そうか。じゃ、涼みがてらにコンビニまで行くか」

 ほろ酔い気分で外に出た。蝉の鳴き声が夏の蒸し暑さを倍増させる。

 最上の自宅は俺の所とは駅を挟んで反対側にあり、この周辺に来たことは無かった。

「コンビニって、駅の方だよな?」

「そうだな。この時間で空いてるのは駅前くらいか」

 少し広めの道を歩いていると、最上が細い路地を見つける。

「こんな道あったかな」

「方向からすると近道っぽいぞ。通ったこと無いのか?」

「無いな。確実な広い道しか使ってない」

「行ってみようぜ」

 細い路地を入っていく。多少、ショートカットできれば良いし、迷ったら戻ればいいと簡単に考えていた。

 くねくねとした路地を進んで行く。適当に駅に近づきそうな道を曲がっていた。

「細い路地から全然出れないな」

 俺は少し心配になってきた。普通に広い道を通ってたら、とっくに駅についているはずだし、少なくとも広い道に出ていてもいいはずだった。

「そろそろ着くだろ」

 最上はあまり気にしてないようだった。

 しばらく進むと広い道に出た。だがこの道は、最上の自宅へ行く時には通ってない。

「この道は知ってるか?」

「知らん」

「あそこ明るいな」

 街灯も少なく薄暗い道の中で、明るくなっている所がある。

「店かな? 行ってみよう」

 明かりに向って進みだす。虫が光に集まる気分が、ちょっとだけ分かる気がした。


 ◆◇◇◇◇◇


 そこには小綺麗な銭湯があった。

「こんな所に銭湯か。やっているみたいだし、入っていくか?」

「そうだな。暑い中歩いていて汗もかいたし、たまには湯船にゆっくり浸かりたいな。入っていくか」

 冗談で言ったのだが、最上が乗ってきたので入っていくことにした。

 下駄箱の先は休憩室のようなスペースになっており、その先の入り口が男女に分かれている。その間に受付があり、おっさんが暇そうに座っていた。

「すいません。ここは何時までやってるんですか?」

「あー。午前八時だぁ。入るなら、そこの自動販売機で入浴券買ってくれぇ」

「こんな時間に、客は来るんですか?」

「あと三十分もしたら、近くの土木作業員が仕事を終えて入りに来るぞぉ」

 この暑苦しい中の土木作業は大変だろうな。

 多分、すげぇ汗をかいたムキムキの人達が汗を流しに来るんだろう。

 その前には銭湯を出たい。

 最上は何故かジュースを飲んでいた。

「何を飲んでいる」

「いや、外があまりにも暑かったので」

「分からなくもないが、やっぱり、風呂上りに取っておくだろ」

「風呂上りも飲めば良いじゃん。もう、外歩いて汗かいてるんだ。お前も水分補給しておけ」

 うっ。なんか説得力があるので断れず、俺も一本飲み干す。

「ふー。美味いな」

「だろ。じゃ、もう一本――」

「とっとと、風呂に入るぞ」

 入浴券とタオル等の必要そうな物を借りて中に入る。

 休憩室にも人はいなかったが、脱衣所もガラガラで、貸しきり状態だ。

「ゆっくり入れそうだな」

 最上はそう言いながら、ロッカーを選んでいる。

「あと三十分くらいで人が来るらしいぞ」

「えっ。そうなの?」

「やっぱり、聞いてなかったな。夜に工事している人達が仕事を終わらせて、汗を流しに来るんだってさ」

「えーっ。絶対、マッチョマンじゃん。こえぇよ。来る前に出ようぜ」

 素っ裸になり、タオルを首にかけ、浴室に足を踏み入れる。

「おー。やっぱり広いな」

 俺は風呂無しの部屋を借りているので、銭湯にはちょくちょく入っている。だが、ユニットバスばかりの最上にとっては、新鮮なのだろう。

 俺は浴槽に近づき、お湯に手を入れて温度を確認する。

「うん。いい湯加減だな」

 大きな浴室を見渡していた最上が、俺の方を見る。

「なに! 俺も確認するぞ」

 テンションの上がっている最上が走ってくる。

 浴室では危険なので、良い子は真似をしてはいけません。

 案の定。止まれない最上が俺にぶつかり、その勢いのまま頭から湯にダイブした。


 ◆◆◇◇◇◇


 いきなり湯の中に放り込まれて、俺は焦り、もがく。だが、ここは銭湯なので落ち着いて立てば何の問題も無いのだ。

「ぶはっ」

 タオルを絞って顔を拭きながら、湯から出る為に歩く。

「最上、何やってんだよ」

「悪い悪い。すべっちゃった。まあ、このいい天気に免じて許してくれ」

「確かに良い天気だな。日差しが気持ち良い」

 抜けるような青空。足には砂の感触。遠くに見える水平線。

「最近の銭湯は広いんだな」

「ああ。ここが銭湯ならな」

 どう見ても銭湯じゃないだろ。どうなっているんだ。

 浜辺に佇む全裸の男が二人。持ち物はタオル一枚。

 暫しの沈黙。

 なんか、非常に不味い状況な気がする。

 とりあえず、辺りを見渡すが人はいないようだ。

「多摩川。お前はよく銭湯来るんだろ? こういう場合はどこから戻るんだ?」

「しらん。こんな状況ある訳無いだろ」

「そうか。そうだよな。どうする。どうする」

 最上がプチパニック状態だ。

「どうすると言われてもな」

「よし、海から出てきたんだから少し戻ってみよう」

 最上が海に向って走り出す。

 波に足を取られて転び、波に翻弄される。

 海水浴に来て、はしゃぐ子供のようだ。

 海を堪能した最上が戻ってくる。

「はぁはぁ。駄目だ、戻れん。どうしたものか……ん?」

「どうした?」

「あそこに有るのは、店じゃないかな」

 最上が指差す方向に何かある。確かに砂浜に建つ小さなお店のように見える。

「とにかく何も分からないし、行ってみるか」


 ◆◆◆◇◇◇


 ドアは無く開放感はあるが、色々な物が所狭しと並んでいる。売り物だろうが、そのスペースは意外と狭い。四帖くらいだと思う。

「きったねえ店だな。多摩川、これ何語だ?」

 最上が手に取った商品を見た後、俺へ渡す。

 その箱は手に収まるくらいの大きさだ。お菓子だろうか?

 奥にはテーブルがいくつか置いてある。食事もできるようだ。壁にメニューらしき物が書いてあるが、知らない文字で読めない。

「見た事の無い文字だな。一切読めない」

 奥でガタッという音がしたので、商品を戻しそちらを向く。

 小柄なおっさんが何か言いながら出てきた。Tシャツに短パン、足にはビーチサンダルとラフな格好をしている。

「何語を話してるんだ? 雰囲気すら掴めないぞ」

「そうだな。最上、身振り手振りで状況を伝えてみてくれ」

「無理だろ。話が通じても状況は伝わらないぞ」

 おっさんはずっと話し続けていた。

 時々商品を指差している。商品の説明をしているのか?

 注意して聞いていると、片言だが何を言っているか分かってきた。

「これ、子供、人気。こっち、酸っぱい、やみつき」

 やはり、商品の説明みたいだな。

「多摩川、どうする? 一旦離れるか?」

「いや、少し分かってきた。商品を売り込んでいるようだ」

「すげぇな。なんだその能力」

 これも宇宙人に埋め込まれた能力強化装置の御陰だろう。

 確か、翻訳機能があると言っていたし。

 コミュニケーションを試みる。

「金無い。風呂入ってた。気が付くとここにいた。助けてくれ」

 オッサンの表情が曇る。

「文無しか。帰れ」

「着る物も無い。困っている。助けて欲しい」

「知らん。帰れ」

「そこを何とか。せめて着る物を。くれとは言わない。貸してくれ」

 おっさんは大きな溜め息を吐く。

「やれやれ。しかたないね。少し待ってろ」

 そう言って奥に消えていった。奥の方でなにやらガサゴソと音がする。

「おい、おっさんが奥に引っ込んじゃったぞ」

「服を貸してくれって言ったら、待ってろって言ってたぞ」

 おっさんが戻って来た。両手に一本ずつ、動物の角のような物を持っている。

「これやる。そこ登って行くと、大きな家、ある。村長の家。そこ頼れ」

 それを俺と最上に一本ずつ渡してきた。

 その長さは三十センチメートルくらい。少し反っているが立派な物だ。

「これは何ですか?」

「知らないのか? ペニスケースだ。昔は皆、付けていた」

 予想外の物を渡された。いらないと返すのも失礼な気がする。

 最上は渡された角を不思議そうに見ている。

「最上。これはペニスケースらしい」

「なんだそれ?」

「ほら、どこかの民族が股間に着けていたヤツだ」

「あー。なんか見た事があるな。あれに比べるとすごく立派だぞ」

「折角持ってきてくれたんだから、突き返す訳にもいかないよな……」

「まあ、使おうじゃないか。ただな。気になる点が一つあるんだが」

「ん、何だ?」

「これ、未使用品だよな……」


 ◆◆◆◆◇◇


 さすがに裸足はキツイので、頼み込んでサンダルも貰った。

 ビーサンにペニスケース、首にタオルを掛けた出で立ちで村長の家を目指す。

 ちなみに、ペニスケースは塩水で洗っておいた。

 浜辺から少し離れると高台になっていて、そこまで登ると家がちらほら見える。

 道は狭く、舗装されてはいない。

「こう言っては何だが、文化レベルは低そうだな」

「見た目では分からないぞ。こういう所に限って、普通に携帯使ってたりするんだよな」

 家から出ている人を見かけたので声を掛けようとしたが、こちらに気が付くと直ぐ家の中に引っ込んでしまった。

「話を聞こうと思ったのだが、警戒されているのかな」

「多摩川、俺の姿を見ろ」

「ん。どうした?」

「この格好の人が近づいてきたらどうする?」

「……逃げるな」

「そう言う事だ」

 確かにこの格好では警戒されるか。引っ込んだ人は普通の服着ていた。

 仕方なく道に沿って歩いていると、庭に椅子を出して座っているお婆さんがいた。

「あー。懐かしい格好してるねえ」

 チャンス! 向こうから声を掛けてきた。

「こんにちは、お婆さん。ちょっと聞きたい事が――」

「昔は狩に行く者達がその格好をしていたもんだね」

「ああ、そうなんだ。だが、今聞きたいのは――」

「爺さんかい? そりゃ立派な戦士だったさ。それこそ村でも一、二を争う――」

 駄目だ。自分の世界に入って出てこない。こうなった婆さんは手強いんだよな。

 すると、家から一人の男性が出てきた。

「済まないな。迷惑をかけた。母さん、家に入ろう」

 男は婆さんを抱き抱えて家に戻ろうとする。

「あー、問題無い。それより村長の家が何所か聞きたいのだが」

「もう少し道なりに進めば大きな家がある。すぐ分かるさ」

 男はそう言うと家の中へ消えていった。

「何か分かったか?」

「もう少し行けば村長の家があるってさ。大きいから、すぐ分かるらしい」

 言われた通り進むしか選択肢は無い。

 しばらく歩くがそれらしい家は見当たらない。

「だいぶ歩いたぞ。何処がもう少しだ」

「田舎と都会で距離感が違ってくるからな。田舎の『すぐそこ』を侮ると痛い目に会う」

 小学生の頃の記憶が蘇る。

 夏休みに祖父の家へ親戚が集まった時だ。そこは辺鄙な田舎で、周りに何も無い。

「すぐそこに店があるから、タバコを買ってきてくれ。お釣りはやるから」

 叔父にそう言われ、お駄賃に目が眩んだ俺はさっそうとお使いに出た。だが結果は、店に辿り着けず迷子になった。

 唯でさえ距離感が違うのに、子供だったので更にその差が出る。

 道を歩いていて段々不安になっていく、あの何とも言えない恐怖。

 子供って、その許容量が急に越えるんだよね。大泣きして助けられた。

 今のこの状況の方が酷いのに。ほんと泣きたくなる。

 子供が泣いていると助けてくれる人はいるが、いい大人が泣いていたら、皆その場から離れるよね。今なら動画取られてアップされたりして……。

 どっちにしろ、ろくな事にはならないので、大人は泣くのを我慢するのだ。

 そんな、たわいの無い事を考えていたら、他の家よりも少し大きな家が見えてきた。

「あれかな?」

「多少大きく見えるが、あまり変わらないような」

「まあ、とりあえず聞いてみよう」


 ◆◆◆◆◆◇


 その家は他の家と同じく平屋建てで、玄関が少し立派に見える。

「すみませーん」

 ドンドンドンとドアを叩く。

 ドアがゆっくりと開き、男性の老人が出てきた。背は低く、甚平のような服を着ている。白髪はかなり長く、白くなった髯も口を隠すくらい伸びていた。

「なんじゃ! うるさいのう。呼び出す時はそこのインターホンを使うのじゃ!」

 インターホンがあったのか。気が付かなかった。というか、どこかでこの村の文化レベルを下に見ていたようだ。

「まあ、いいか。何のようじゃ?」

 老人はこちらの姿を見て、何か言いたい事を飲み込んだようだ。俺達の文化レベルが下に見られたのかも……。

「村長さんに会いたいのですが」

「村長はわしじゃ。何の用じゃ?」

「実は困っていまして、お力をお貸し頂けないかと……」

 と言っているものの、村長に助けを求めても、どうにもならないと思っている。

 村長は俺達を見ながら何かを考えているようだ。

「ふむ。まあ、ええじゃろ。立ち話もなんじゃから、入れ」

 と家の中へ迎え入れてくれた。自分で言うのも何だが、俺ならこんな格好しているヤツを絶対に家に入れないぞ。

 居間に通され、椅子に座ると水を出してくれた。喉がカラカラなので凄く助かる。

「それで、どうしたのかの」

「信じて頂くのは難しいと思いますが――」

 今までの経緯を話しながら、自分でも変な事を言っているなと思う。

 村長は何も言わず最後まで聞いてくれた。

「なるほどのう。それを信じろと言われても、普通は無理じゃな」

 やはり信じてもらうのは難しいよな。帰る術を見つける糸口さえも分からないが、それを見つける間、どう生き抜くかも問題なのだ。

 言葉の通じない最上は水を飲んでホッとしている。

 どうやって村長に生き抜く為の援助をして貰うか、と思っていた。だが、村長からは意外な言葉が返ってきた。

「普通は無理なのじゃが、今は少々状況が違ってな」

「状況ですか?」

「うむ。実は先日、北の浜辺にドラゴンが舞い降りてな。伝説上の生物が現れて島中がパニックになったんじゃ」

「ド、ドラゴン? 本当にドラゴンだったんですか?」

「島民を避難させる際に、遠くからじゃが見た。体長はおよそ十メートル。青い鱗で覆われていて、大きな翼もあった。あれは正しくドラゴンじゃ」

 どこの国かと思っていたが、地球上ですらなかったようだ。予想外の自体に動揺が隠せない。

「どうした、多摩川。急に大きな声を出して」

 最上が呑気に聞いてくる。

「ドラゴンが現れたそうだ」

「えっ? ブルース・リーって、だいぶ前に亡くなってるぞ」

「いや、そのドラゴンじゃなくて、ファンタジーの世界に出てくるヤツ」

「何言ってんだ? そんなのいるわけないだろ」

「いや、そんなのがいる世界に来てしまったって事だろ」

 最上は怪訝な顔で腕を組む。

「うーん。仮にそうだとして、ドラゴンが俺達に何か関係があるのか?」

 うっ。確かにそうだ。予想外のワードに動揺したが俺達にドラゴンは関係ないな。ただ、村長に「ドラゴンって俺達に関係ないですよね」なんて言えない。とりあえず、村長の話の続きを聞く事にした。

「どれくらいの被害が出たのですか?」

「被害は無い。今の所、大人しく浜辺で寝ている」

 村長は水を一口飲み、コップをテーブルにコンと置く。

「お前達の話は信じ難いが、ドラゴンが現れたというのもありえない事実。何か関係があるのかもしれん」

「えっ? それは、たまたまですよ」

「たまたまドラゴンが現れ、たまたまお前達がこの地に現れ、たまたま戦士の格好でわしの前に現れた。ここまで続けば、たまたまでは済まんじゃろ。わしはお前等がドラゴンを倒す為に現れた戦士だと信じておる」

 全裸でペニスケースを着けただけなのに戦士の格好っておかしいだろ。

「えーっ、無理無理無理」

 横にいた最上がビックリしている。

「どうした急に」

「このおっさんがドラゴン倒せ言ってる」

「無理に決まってるだろ。ボケてんのかじじぃ。テメェを先にしばくぞ」

 最上は言葉が通じ無いので言いたい放題だ。ただ、顔は笑っている。

「村長。私達は戦った事が、いや、武器を持ったことすらないのですよ。ドラゴンを倒すなんて無理です」

「近くで道場をやっているヤツがおる。勇者の研究もしている変わったヤツじゃが、そいつを紹介する。時間はあまり無いが、できるだけ頑張ってくれ」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。友と相談する」

 水を一口飲み、自分を落ち着かせる。

「最上、村長は本気だ。指導者を紹介すると言っているぞ」

「そうか。頑張れ」

「お前もだよ!」

 最上と話し合った結果、訓練中は生活が保証されるのではという事で指導を受ける事にした。


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