59.双頭の海賊
広い宇宙で掃いて捨てるほどいる海賊。
宇宙警察はそんな海賊達を九級から一級までランク付けしている。
小型艦一隻でフラフラと小銭を稼ぐ海賊もいて、そんな奴らは九級海賊。
一級ともなると広い縄張りを持ち、残虐性も突出している。
宇宙海賊の猫死香は惑星ニャーブ・オーの衛星軌道上にある要塞<ニクQ>を拠点として活動している。
縄張りの広さはそこそこあるが、残虐性は低いので宇宙警察からは五級海賊と認定されている。
ただ、縄張りの境界はかなりアバウトだ。
その猫死香の縄張りと隣接する海賊の一つである双狼牙。
狼人族の兄弟が取り仕切る海賊だ。
規模は猫死香とほぼ同じだが、計画性が低く、手当たり次第に獲物を襲う。危険度は少し高いと判断されて四級海賊と設定されている。
双狼牙も要塞をアジトにしている。
元は旧式の海賊艦だったが、色々付け加えているうちに要塞化した。
その形状は円柱形で直径約二百キロメートル、高さは約五百キロメートル。
現在もまだ巨大化し続けている。
要塞の司令室でバウ・カルビが踏ん反り返って座っている。彼は双狼牙の海賊長だ。
「お頭、聞きました? 猫死香のシナモンがパクられたようですぜ」
下っ端のワン・センマイが取って置きの情報を持ってきたと言わんばかりの大声で司令室に入って来た。センマイはカルビの専用海賊艦<雷牙>の操縦士をしている。
「アホ。その情報は古いんだよ」
「えっ、そうなんすか」
持って来た情報が既に古いと聞かされて、がっかりするセンマイ。
「奴は脱獄して行方知れずになっているらしいぞ」
「へーっ。じゃあ、どっちにしろ居ないんですね。今なら責め時じゃないですか?」
「うーん。確かに奴には何度も邪魔されたから、本当にいないなら責めるのもありなんだが、確証がねえんだよ。罠の可能性もある」
「お頭にしては慎重ですね?」
「あったりめぇだ! そこらをうろつく獲物には手ぇ出すが、攻め込むのは話が違う。簡単にできるならとっくにやってる」
「兄貴、それなら捕まえて情報を聞けばいいだろ」
二人の話を聞いていたバウ・ロースが酒の入ったコップを片手にカルビの席まで来た。
ロースはカルビの弟で副長の地位についている。
「捕まえるにしても、当てがあるのか?」
カルビが踏ん反り返ったままロースを見る。
「猫死香と思われる海賊艦を見たと報告があった。ちょっと遊んでくる」
ロースが楽しそうに笑いながらコップの酒を飲み干す。
「相手も海賊だ。油断はするなよ」
部屋を出て行くロースにカルビが声をかける。ロースは言葉にはしないが片手を少し上げて答えた。
ドックに停泊してる三百メートル級の宇宙海賊艦<風牙>に乗り込むロース。
彼の専用艦である<風牙>は直方体でゴツゴツとした無骨なフォルムをしている。
海賊になって初めて手に入れた専用艦で、カルビの専用艦<雷牙>と共に暴れまわる、年季の入った宇宙艦だ。
艦橋に入ったロースは艦長席にドカッと座る。
「何か問題はあるか?」
「ありません。何時でも出航可能です」
操縦席に座る男がロースに答えた。
ロースから少し遅れて副艦長のガルル・フィレが少し速足で艦橋に入って来た。
「ロース。どういうことだ」
構内放送で急に出航を伝えられ、急いで来たフィレは服が乱れている。
「猫死香の船を襲う」
「はぁ? そんなの襲って金になるのかよ」
「金が目的じゃない。情報だ」
「なんだ。急にやる気が失せたぞ」
フィレは副艦席に座って寝始めた。
「しょうがねぇ奴だな」
ロースは呆れた顔でフィレを見ながら出航した。
◆◇◇◇◇◇
宇宙警察のトレント・ウィンソープ一級刑事とクライド・アースキン三級刑事が酸美の専用艦<黄豹>で惑星ケームティへ向かっている。
惑星ケームティの宇宙港にプライベートポートが作られているので、ゲートを使って移動するのが普通なのだが、惑星オーデン周辺の確認も兼ねて、ゲートを使わずに移動することになった。
<黄豹>は黄色い流線形のボディで宇宙を流れるように進みながら、危険な要因が無いのを確認していた。
多摩川からの要請で惑星オーデンに隕石などの脅威が無いか調べている。
「クライドちゃん。どうやって調べるつもり?」
やることが無いので応接室で待機する二人。
トレントは優雅に紅茶を飲みながらチーズケーキを食べていた。
「分からないですよ。とりあえず、署に戻って有名な天文台を聞きます。そこに行って調べてもらいましょう」
クライドは新聞に目を通しながらコーヒーを飲んでいる。
「ツイード署長には連絡したのかしら?」
「しましたよ。この仕事は署長経由で来ましたから、その時に愚痴を言ったら。多少のサポートはしてくれると言ってました。天文台のピックアップをしてくれているはずです」
初めは多摩川が直接クライドに依頼をしたのだが、クライドは組織で動いているからと断ろうとした。それを聞いた多摩川はツイード署長と直接話したようで、直ぐに連絡が来たのだった。
「じゃあ、署に着くまでは、特にやる事無いのね」
トレントはそう言いながらチーズケーキの最後のひと欠片を口へ入れ、給仕をしている黒髪量産機に別のケーキを頼んでいた。
<黄豹>がケームティの衛星軌道上にある宇宙港へ入港した。
酸美は二人を呼びに応接室へ入る。
「はぁ、二人とも着きましたよ。起きて下さい」
トレントとクライドは暇すぎて椅子にもたれ掛かり寝ていた。
「ん……あぁ。いつの間にか寝てしまったようだ」
クライドは椅子から立ち上がり、グーッと伸びをしてからトレントを揺すり起こす。
「うーん、あと五分」
「自宅じゃないんだから。早く起きて下さい」
クライドはトレントを無理矢理起こす。
「私もご一緒致します。ご主人様から全面的にバックアップするように言われていますので」
「それは心強い」
クライドは思う。何だかんだで人型発電機は優秀だ。同行してくれるなら安心だ。
三人は宇宙港から高速鉄道に乗り継ぎナグヌェグ連邦国の首都ツ・イブへ向かう。
結局、目的地の第七六三警察署につくまでに五時間を要した。
◆◆◇◇◇◇
「頼まれていた物だが、署内のサーバーにデータを置いておいた。そこのコンピュータからでもアクセスできるから、勝手にダウンロードしてくれ」
ツイード・ガラフット署長が大変だったぞと大げさにジェスチャーをする。
クライドは、いつもの事だと相手にせずコンピューターの操作を始める。
ナーベン銀河内のそこそこ名のある天文台をリスト化している。
「かなりの数がありますね」
クライドが頭を掻きながら、どう絞り込むか悩んでいる。
「一番大きい所は外せないな」
手土産をツイードに渡した酸美がクライドの後ろからモニターを見ている。
そう言われたクライドがソートをかける。
「うっ。そりゃそうか……」
一番先頭に出てきたのは帝星チ・ヤーンカの帝国天文台。
チ・ヤーンカはナーベン銀河を支配する星だ。
「じゃ、そこは必須だな」
酸美は座標を記録する。
「待て待て。獣人は帝星チ・ヤーンカに入れないぞ」
種族階級というものがあり、竜族は上級で、竜人族は中級、獣人は下級と位置付けられている。
竜族と竜人族で支配されている星、チ・ヤーンカは獣人族が近づくことを制限していて、領宙侵入した獣人を容赦しない。
どんなに急で重要な要件があろうとも、先ずは許可申請が必要で、許可が下りることがほぼ無い。
クライドは諦めろと酸美に言う。
「面倒だな。ご主人に確認をするから、クライドさん達は絞り込みを頼む。あっ。それから、ケームティの天文台も何件か上げておいて欲しい」
「何を確認するか知らんが、チ・ヤーンカは諦めろ。ケームティの天文台か。確かにオーデンに一番近い惑星だから、異常があるなら共有しておきたいな」
クライドは黙々とコンピューターを操作する。
酸美は空いている席に座り、静かに目を閉じる。旨美と連絡を取り始める。
トレントは応接エリアでツイードと手土産のスイーツを食べていた。
◆◆◆◇◇◇
惑星オーデンのある恒星系。オーデンより二つ外側にある惑星で待機していた宇宙海賊艦<猫の尻尾>。その格納庫が開き、小型艇が入っていく。
小型艇から降りた四人は艦橋に移動し、速やかに惑星を離れた。
来た時と同じように、補給をするために途中で惑星に寄る。
小型艇はかなり酷使してきたので、メンテナンスが必要と判断し、数日停泊することになった。
入港した次の日の昼。食堂で昼食を取る四人。
「いっその事、別行動にしないか?」
ミントはパスタをフォークでクルクルしている。
「どうした、急に。エッチな店に行きたくなったの?」
マーシュがニヤリと微笑みながら分厚いステーキにナイフを入れる。
「行きたくないと言えば嘘になるな。だが、言いたいのは帰路を二つに分けた方が良くないかってこと」
ミントがフォークの先に巻かれたパスタを一目見てから口に入れた。
「そうだな。<猫の尻尾>が確実にアジトに着くとは限らない。確実に情報を届けるなら別れた方が良いかも知れないな」
オレガノがカツ丼を掻き込みながら、ミントの言葉に同意する。
「面倒だが、それもありか。他の海賊と接触する可能性もあるしな」
ディルもその話に乗る。
今回の情報はどうしても総司令のローズマリーに伝えたい。
シナモンという彼女の夫が生存していたという情報もそうだが、彼を捕まえた奴らがアジトにやって来るというヤバイ情報を早めに伝えて、対処方法を検討したい。
「別れるとしたら<猫の尻尾>と小型艇か。小型艇はゲートを使うことになるから、オレガノとミントは駄目ね」
「じゃあ、私とマーシュが小型艇か。メンテナンスが終わるまで動けないわね」
マーシュとディルはそう言って一口大に切った肉を頬張る。
「そうなると小型艇の方が早く着きそうだな。ミント、俺達は先に出航しよう」
「そうだな。今日にでも出よう」
オレガノとミントは早々に食事を終え、出航の準備に取り掛かり、その日の内に惑星を後にした。
マーシュとディルが惑星から離れたのは、それから十日後となった。
◆◆◆◆◇◇
多摩川は、まだ惑星オーデンのユー・デ・タマガー王国にいた。
女神達は人形から離れてオーデンの状態を確認している。
多摩川の役割は巨大隕石などの脅威がオーデンに迫っていないかを宇宙警察に頼んで調査して貰うことだった。
それを早々に終わらせ、やる事も無いので風呂に入ることにした。
王宮ビルの大浴場は旨美お得意の四次元釜を使って温泉を持ってきているので、白濁した湯となっている。
「ふーっ、いい湯だ。……てか、俺が来る必要なかったよな」
そもそも、女神達が駄々を捏ねなければ、多摩川がオーデンに来ることは無かった。
旨美か甘美あたりが宇宙警察へ話を付けてくれれば済んだのだ。
やる事無いから帰りたいのだが、先に帰ったら女神達は怒るだろう。
想像するに恐ろしい。戻ってくるのを待つしかないなと、両手で湯を掬い顔を洗う。
「ぷはっ。ん?」
ボコ、ボコ、ボコと目の前の湯面に気泡が現れる。
俺しかいないので、俺がおならをしたということか? おならをしたことに気が付かないほど、俺の尻は力を失って絞まった、もとい、しまったのか。
などと、多摩川がアホなことを考えていると、突然、ザザーッと旨美が顔を出した。
「うわっ! 何やってんだ?」
「宇宙警察に付き添っている酸美から連絡がありました」
「お、おう。それより、普通に現れろ。心臓に悪い」
「少しでもご主人様を楽しんでもらおうと頑張ったのですが」
「いらん努力をするな。それより、何があった?」
「折角なので、お背中を流しながらお話しします」
「んー。じゃあ、頼むか」
何が折角なのかは分からないが、湯船に浸かったままで話しを聞いていたら、のぼせそうなので背中を流して貰うことにした。
「酸美の話ですと、ナーベン銀河で一番大きな天文台がある所が帝星チ・ヤーンカだそうです」
帝星チ・ヤーンカ。確か竜之介みたいなのが住んでいる星だったよな。
あんなのがごろごろいると思うと個人的には近づきたくない。
「じゃあ、そこでも確認してもらうのがいいよね」
クライドには頑張ってもらおう。
「はい。ですが、チ・ヤーンカは竜族が支配していて獣人族が領宙内に入るのを制限しているようです」
「えーっ。面倒な星だな。申請だしても駄目なのか?」
「まず無理です。乗っ取りますか?」
怖いことをさらっと言う。許可したら本当に乗っ取りそうだ。
「ダメだ。まあ、話は分かったが、どうしようかな」
無理なことはどう足掻いても駄目なので、チ・ヤーンカで調べてもらうのは諦めるしかないか……いや、良い機会だから頼るか。
「チ・ヤーンカはこちらで検討するから、酸美にはできる範囲で調査をするように伝えてくれ」
旨美は泡だらけになった俺の体に湯をかけて流す。
「何か良い方法でも?」
「竜之介に頼んでみよう。いつも寝ていて暇そうだし」
「分りました。酸美に伝えますので、その間、ご主人様は私の体を洗ってください」
「えっ?」
さあさあと、俺は旨美と強制的に場所を交代させられる。
「私はご主人様の物ですから、大切にしてもらわないと」
間違ってはいないが、ちょっと納得がいかない。
そう思いながら、多摩川は旨美の体を洗った。
◆◆◆◆◆◇
補給を終えた宇宙海賊艦<猫の尻尾>はメンテナンス中の小型宇宙艇を残して、一足先に惑星を後にする。
マーシュとディルは小型宇宙艇で帰るので惑星に残った。
海賊という立場でゲートが使えない<猫の尻尾>は歪時空間航行を使う。
時間の流れを歪めた空間を航行する技術だが、空間を移動することには変わらないので、ある程度安全が確認された航路を算出する必要がある。
そうなると、距離に比例して計算も複雑になるので、ある程度の距離を数回に分けて行うのが一般的となっている。
<猫の尻尾>が二回目の歪時空間航行を終えて通常空間に戻った。
艦橋では艦長席にはオレガノが座り、操縦席にはミントが座っている。
<猫の尻尾>は全長約三百メートルあり、そこそこ大きな宇宙艦なのでクルーも多い。
艦橋には二人の他に通信士や航海士など十名のクルーがいる。
特殊な空間を航行するのは、現状では機械の自動化も進んでいるので、ひと昔前よりもかなり楽にはなっていた。だが、通常空間を航行するとは違い、それなりに精神的に疲労が大きい。
歪時空間航行を終えた後はクルーと共に艦を少し休ませるのが一般的だ。
「よし。暫くは慣性航行を――」
「オレガノさん。識別不明艦です。十.八時方向、距離千」
航海士が立体レーダーを見ながら報告する。
最初の十は水平方向を表し、点を挟んだ次の八は垂直方向を表す。
具体的には、先ず十二時を真上、前方を九時としたアナログ時計をイメージしてほしい。そして、前方、つまり九時方向を、水平のクロックポジションの十時の位置へ、イメージした時計を回転させる。その移動後の文字盤の八時の位置を表している。
要するに、今回は前方左下辺りに不明艦がいることを示していた。
ちなみに距離は一万キロメートル単位。
「なんだと? 拡大できるか?」
艦橋内の全天周囲モニターの不明艦の位置が拡大される。
「ん? オレガノ、見覚えないか?」
「んー。あれは……。ヤバイ。<風牙>だ!」
オレガノが記憶を辿り、思い出したのは最悪の海賊艦。
「なっ? 速度を上げろ! 逃げるぞ。双狼牙だ!」
ミントが機関士に告げると船が加速する。座っている者達は椅子に沈み込み、立っていた者は後方へ転がって行った。
<風牙>は既に<猫の尻尾>を捕捉しているようで真っ直ぐ突っ込んでくる。
「ちくしょう。通常空間へ戻る所を捕捉されたな。防御壁展開しとけ」
「艦長、攻撃、来ます!」
航海士が叫ぶ。
「こちらも、攻撃準備急げ!」
四発の光弾が<猫の尻尾>目掛けて飛んで来る。防護壁が間に合わず、内一発がエンジン近くに被弾する。
更に四発。内二発が<猫の尻尾>に命中するも防護壁が防いだ。
だが、一発目の被弾でエンジンの出力が落ちる。
二隻の距離が徐々に縮まる。
<猫の尻尾>の側面に砲台が現れ、砲撃を開始。射出された無数の光弾が<風牙>を襲う。
<風牙>は前面に防護壁を展開し、攻撃に怯むことなく突進してくる。
「ダメだ。避けられない」
操縦しているミントの声が艦橋内に響く。
「敵の体当たりだ。衝撃に備えろ!」
オレガノが艦内放送で叫ぶ。
一拍おいて、強い衝撃が<猫の尻尾>のクルーを襲う。
<風牙>の前面が<猫の尻尾>の横っ腹にめり込んだ。
激しい衝撃で、床に叩きつけられたクルーもいる。
「くっそ。無茶しやがる」
オレガノが頭を振りながら、腹立たしそうな口調で言葉が漏れる。
「オレガノ。敵が移乗攻撃を仕掛けてきたぞ!」
全天周囲モニターで接触箇所を確認するミント。
その映像で<風牙>から宇宙服を着た奴らがゾロゾロと出てくるのが見える。
その言葉にオレガノが直ぐに艦内放送で告げる。
「敵が乗り込んでくる。銃を取れ。応戦するぞ」
敵は良く知る海賊だ。こちらが降伏しても受け入れないと分かっている。
双狼牙のクルーが<猫の尻尾>の外壁に爆弾を仕掛ける。
あちこちで爆発が起こり、開いた穴から侵入していく。
<猫の尻尾>艦内の至る所で銃撃戦が始まった。
艦橋にも敵の攻撃が及ぶ。
オレガノは右腕を、ミントは両足を銃で撃たれ敵に捕まった。
二人は両手両足を縛られ、ロースの前に突き出される。
オレガノとロースは何度も戦闘している顔見知りだ。
今回で三勝三敗といったところだ。
「元気そうじゃないか。オレガノ」
「ちっ。お前がこんな所にいるとは思わなかったよ」
<猫の尻尾>は他の海賊との接触を避けるために大回りをする航路を取っていた。
完全に油断していた所に出くわしてしまったのだ。
「お前んとこの情報が欲しくてな。わざわざこんな所まで出張って来たんだよ」
「ご苦労なこった。情報なんて何も無いぜ」
「ふん。まあ、ゆっくり聞き出すさ。いい宇宙船も手に入ったしな」
<猫の尻尾>のクルーが<風牙>の艦内にある牢屋に押し込められていく。
「この二人は脱獄の常習犯だからな。縛ったままで個室に入れておけ」
ロースの指示で別々の牢屋に入れられるオレガノとミント。
勝ち誇ったように笑うロースの足音が徐々に遠ざかっていった。