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39.帰省

 多摩川達はゴールデンウィークに惑星オーデンのユー・デ・タマガー王国へ来ていた。

 一番の目的は、谷沢姫之と鮭川八千代を地球外に連れ出し、ユー・デ・タマガー王国を見てもらうためだ。

 到着した次の日に幹部と会議を行なったが、国内の状況は特に問題は無さそうだった。

 問題は外交だ。

 ガン・モードック王国とは一悶着あり、昨夜は暗殺者に殺されかけた。

 今度はこっちからちょっかいを出すらしい。その件は旨美に任せることにした。

 そんな会議は適当に終わらせて、地球から来たメンバーだけで打ち合わせをする。

 まずは無いと思うが注意喚起。

 旨美や妹達は強くて頼りになるが、その旨美を潰すような技を持つ奴もいる。

 正直な話、殺されそうになった技も余裕で避けられた。

「避けられる技を食らって殺されそうになったのかよ。何やってんだ」

 と、軽く信濃に怒られた。

「ちなみに、食らったのは防御する技でね。その防御壁に潰されかけた」

「つまり、攻撃する技では無かったから、悠長に構えていたと?」

「うん。竜之介が転送してくれなかったら死んでたね」

「アホだな」

 大した事無かったよ的な感じで言ったら白い目で見られた。

 どんな技もできるだけ避けないと何が起こるか分からない。

 良い教訓になった。

「みんなも気を付けてね」

 俺のミスは言うまでも無いので、軽い感じでこの話を終わらす。

「で、だ。話は変わるんだけど、みんなには考えておいて欲しいことがあるんだ」

「なんだ、改まって。多摩川らしくないな」

 自分の失敗を有耶無耶にして話を変える俺を最上が呆れた表情で見る。

「うん。殺されかけたことで、両親には本当の事を話しておこうかと思ったんだ。まあ、信じてもらえるかは別にしてね」

「俺は多摩川と国外で事業している事になっているな」

 最上は演武で稼いだ金を学費と生活費に充てる為、両親には嘘の報告をしている。

「その話を聞いて、私も隼兄に付いて行くと両親には伝えました。まさか、地球外とは思っていなかったけど」

 そうなると、最上家と鮭川家は親同士で情報が伝わるな。

「まあ、まだ時間はあるし、暇な時に家族にどう伝えるか考えておいてね。もし必要なら手伝うから言ってくれ」

 そう締め括り、この後は皆で買い物に地下街へ行った。


 ◆◇◇◇◇


 次の日の昼食後、地球へ戻るために竜之介の所に集まっていた。

 女神三人が何か言い合いをしている。

 どうも、誰が地球へ行くかで揉めているらしい。

「グスージィが残るのは確定よ」

「クヌークの言う通りだ。前回は俺達が譲ったんだから、今回はお前が譲れ」

「何度も言わすな。私はキクがいないとダメなのだ。離れられるのは、十日が限界だな。それ以上、キクと会わない日が続いたら、暴れ出してしまうだろう」

「そんな戯言は聞き飽きたわ。今回は私でいいわよね? ディークォン」

「まて、クヌーク。オレだって同じく待っていたんだ。ここはくじ引きだろ」

「いや、私が行くのだから、そんなのやっても無意味だぞ」

「グスージィ。あんたは残るの!」

「ダメだ。これだけは譲れない。力尽くでも私が行く!」

「ほう、面白いことを言うわね」

「つまり、最後まで立っていた者に行く権利が与えられるってことか」

 女神三人の目の色が変わる。

 三人が一定の距離を取り、相手の攻撃に備える。

 クヌークとディークォンが示し合わせたかのようにグスージィに攻撃を仕掛ける。

「二人掛かりとは卑怯なり」

 二人の鋭い攻撃が上へ下へと繰り出される。

 その攻撃を上手くかわしていたグスージィだが、挟まれる形になってしまう。

 ディークォンの蹴りが飛んできた。

 グスージィは既の所で蹴りをかわす。

 その蹴りがクヌークに当たる。

「何すんだこの野郎!」

 クヌークの右ストレートがディークォンを捕らえる。

「鈍くせぇテメェが悪いんだろうが!」

 ディークォンが左アッパーを返す。

 クヌークはその攻撃をガードするが体を浮かされてしまう。

 そこから回し蹴りを決めようとするディークォンに隙ができる。

 勢いをつけたグスージィがディークォンに体当たりをした。

 不安定な体勢だったディークォンが吹っ飛び、浮いて避けられないクヌークに当たる。

 接触して地に落ちる二人を逃がすまいとグスージィが飛び掛る。

 三人が団子状態で掴み合いの殴り合い。

 あまりに酷いので仲裁に入る。

「それ以上続けると、三人とも地球へは連れて行きませんよ」

 俺の言葉に三人がピタリと喧嘩を止める。

「うわーーーん、キク。あいつらが酷いのだーーー」

 グスージィが泣いて飛びついてきた。

「うーん。そう言いますが、ここでグスージィ様を擁護すると贔屓しすぎになってしまいます」

「ふぇ? 嫌なのだーーー。絶対に離れないのだーーー!」

 グスージィはぐすぐす泣いて離れようとしない。

「キク。そいつは放っておけ。我が儘がすぎる」

「そうですよ、キク。あまり甘やかすと付け上がりますわ」

 ディークォンもクヌークもボロボロだ。

「困りましたねぇ」

 グスージィの頭を優しく撫でる。

「うふふふ」

 グスージィがいつの間にか泣き止んでいる。

「じゃあ、少し狭くなりますが、三人とも地球へ行きますか」

 女神三人が顔を見合わす。

「それも有りかしら」

「だが、女神不在で問題ないか?」

 ディークォンはオーデンに一人も残らないのが不安のようだ。

「オーデンの様子は甘美達に聞けばわかります。何かあったら、二、三日かかりますが帰ってこれます。三か月毎に様子を見に来るのはどうでしょう?」

 少し考えるクヌークとディークォン。

 俺から離れる気のないグスージィは考えるまでもないようだ。

「三か月くらいなら大丈夫かしら?」

「分かった。キクの意見に乗ろう」

「断っておきますが、地球では従者は各々一人だけでお願いします。先ほども言いましたが、部屋は狭いですよ。グスージィ様が使っている部屋を三人で使って貰いますからね」

「げっ。まぁ、仕方ないか」

 部屋の広さを知っているグスージィの表情が少し曇る。

「それでは、まず身だしなみを整えてきてください。その恰好では出発できませんよ」

 女神三人はボロボロになったお互いの姿を見て、いそいそと着替えに行った。


 ◆◆◇◇◇


 なんか地球とオーデンを行き来する度に人数が増えてるような気がする。

 今回、地球へ戻る時の人数は十一人になっていた。団体でチケットを取ったらしい。

 クーヌクとディークォンは全てが物珍しいのか、直ぐにお店へ吸い込まれそうになる。

 迷子になりそうなので、右手はクヌーク、左手はディークォンと手を繋いで移動する。グスージィは俺のシャツの背中を摘まんでた。

 すげぇ歩き難い。

 そんな感じで移動しつつ、どうにか無事に自宅へ辿り着く。

「これは想像以上に狭いですね」

「なんでこんな狭い所に住んでいるんだ?」

 クヌークとディークォンが部屋の広さに驚いている。

「それは私が、地球では単なる学生だからです」

「キク、許してやってくれ。二人はこの狭さの良さをまだ分からないのだ」

「何を言っている、グスージィ。広い方が良いに決まっているだろう」

「ふっ。いいかディークォン。狭いと言うことはお互いの距離が近いと言う事なのだ。つまり、いくらでも甘えていいのだー」

 ぎゅーっと、グスージィが抱きついてきた。身動きが取れん。

「グスージィ様。そういうのは、また後で」

 と、適当に当たり障りの無いように優しく引き剥がす。

「そ、そうだな。まだ、ちと早いな。こ、今晩じっくりとだな」

 グスージィは顔を赤くして、えへへへと笑っている。

「つまり、今晩になれば良さが分かるというのね」

「そのようだな。今晩、じっくり教えてもらおう」

「えっ? いや、そう言う意味では……」

 グスージィは二人に詰め寄られて何も言い返せなくなっている。

 長い夜になりそうだなぁ。


 ◆◆◆◇◇


  一夜明けて目が覚める。

 何でこんな事になっているのだろう。

 体が重い。俺の体ではなくグスージィ様のだ。

 クヌークが俺の右腕を、ディークォンが俺の左腕を枕にして寝ている。そして、覆い被さるようにグスージィが俺に抱き付いて寝ている。

 身動きが取れない。

「ん。うふ。おはよう、キク。朝から元気だな」

「おはようございます、グスージィ様。健康な証拠ですよ」

「わ、私がお相手してもいいぞ」

「いえ、朝からはちょっと」

 グスージィと話していると両脇の女神さまが目を覚ます。

「おはようございます。クヌーク様、ディークォン様。授業がるのでそろそろ起きたいのですが……」

「キク。少しこのままで」とクヌーク。

「うん。キク、少しで良いんだ。もう少しだけ」とディークォン。

「むふー。キク、授業なんて休んでしまえ」とグスージィ。

 離れるどころか余計にすり寄ってくる。

 どうしよう。

 そこへ、勢いよくバンッとドアが開く。

「女神様、起きてください。きっくんが困っていますよ」

 俺から離れようとしない女神達を起こして、従者に預けていく。

「平瀬は厳しいな」

「皆さんはオーデンでは神聖な存在ですが、地球ではきっくんの居候なんですよ。困らしてはいけません」

 女神達が従者に連れられて寝室を出て行く。

「ちーちゃん、ありがとう」

 頭をボリボリ掻きながらベッドから出る。

「お礼はいいから、何か着なさい」

 平瀬は顔を合わせないが、ちらちらとこちらを見ている。

 俺は平瀬に近づきそっと抱き寄せる。

「うーん。やっぱり、ちーちゃんが一番落ち着くな」

「もう、しょうがないわね」

 平瀬も俺に腕も回す。

「へっくし」

「ご主人様。アバズレから離れて、服を着てください」

 いつの間にか旨美が俺の着替えを持って横に立っていた。

「ああ。ありがとう、旨美」

「アバズレは朝食を出してやるから、テーブルに着いていろ」

 平瀬は渋々と寝室を出て行く。

 俺はそれを横目で見ながら服を着た。

 旨美が俺を見て、少し整える。

「くーっ。ご主人様、完璧です。素敵です」

 そう言って、旨美は抱き着いてきた。

「「あっ」」

 綺麗に整えられていた服がクシャクシャになってしまった。

「す、少しシワがあった方が自然ですよね」

 旨美の目が泳いでいた。


 皆で朝食を取る。

 トーストにベーコンエッグとシンプルだがとても美味しい。

「きっくんはオーデンの事を両親に言うんでしょ? いつ帰省するの?」

「次の土曜に帰るつもりだよ」

「あの、さ、あたしも付いて行っていいかな?」

 そう言われると、早めに紹介しておきたい。

「うん。紹介するよ」

「私も行くのだ」

「「え?」」

 グスージィも来ると言い出した。話がややこしくなりそうだ。

「なんでグスージィ様が?」

「キクの両親を見てみたいのだ」

「ご主人様の御両親ですか。私も挨拶しないといけませんね」

 旨美まで?

「いや、ちょっと待て。そんなにみんなでゾロゾロと行くものでもないのだが」

「いいじゃないの。みんなで行きましょうよ」

「そうだな。かえって大勢で行った方がいいかもしれないぞ」

 なんかクヌークとディークォンまで参戦してきた。

「まあ、まだ日があるから、もう少し考えてから決めましょう」

 と、うやむやにして、その場を終わらした。


 ◆◆◆◆◇


 俺は実家のあるマンションに来ていた。

 意を決して家の中に入る。

「ただいま」

「あら。おかえ……」

 俺の声を聞いた母が出迎えてくれたが、言葉を失っている。

「はじめまして。お邪魔しまーす」

 と、俺に続いて家に上がり、母の手を取りながら、七人の女性が次々と挨拶をする。

「平瀬千歳です。同じ大学の同期です」

「谷沢姫之です。サークルの先輩です」

「秋川佳月です。大学で助教授をしています」

「空の女神、グスージィだ」

「海の女神、クヌークです」

「地の女神、ディークォン。よろしく」

「旨美です。ご主人様に仕える事を生きがいにしている。今日は大勢なので妹達を連れてこれなくて残念だが、みんなご主人様に全てを奉げているので心配しないでくれ」

 母は困惑気味に苦笑いをしている。

 そんな母を見て、俺の思っていたイメージとかけ離れているのを残念に思う。

 本当は平瀬だけ連れてきて、「俺の彼女だ」的な感じの紹介する予定だった。

 谷沢と秋川が自宅に遊びに来た時に、女神達が付いて来るのを諦めるように説得して貰うつもりが、「私達も行く」と予想外の展開になる。

 何かもうどうでもよくなって全員連れてきてしまった。

 女性達は父にも同じように挨拶をしていた。


 実家の広さは3LDK。

 俺は一人っ子なので、家族三人暮らしだった。

 その所為でもあったのか広く感じていた実家が、今は妙に狭く感じる。

 リビングのテーブルが六人掛けで、いつも広々と使っていた。

 今ここには十人もいるので、みんなが座れない。

 旨美がテーブルを一脚出し、皆を座らせてから飲み物を出す。

 両親はそれらの物を何所から出したのか少々困惑していた。

 色々面倒なので、先に現状を知ってもらう方が良さそうだと本題に入ることにした。

 俺の目の前には両親が、隣には平瀬がテーブルに着いている。

 旨美はいつものように横に立って、いつでも命令を聞けるようにしている。

 他の人達は別テーブルに座ってもらった。

「親父とお袋には現状を知ってもらおうと思って、説明しに帰ってきたんだ」

 俺はお茶を一口飲んで続ける。

「これからの話は就職先とかにも関わってくるから。ただ、ちょっと特殊な状況になっていて、理解してもらえるかどうか……。まあ、先ずは話を最後まで聞いてほしい」

 そう言って、現状を話し始めた。

 宇宙人と知り合って、演武のライブツアーをやったり、知り合いになったドラゴンが、ある星の国を取ってきてプレゼントされ、無理矢理、王位に就いていることを話す。

「まあ、信じてもらえないとは思う。ただ、そういった状況なので、これからは学費と生活費は自分で出すよ」

 両親は俺の話を微妙な表情で聞いていた。

「うーん。それを信じろと言われてもな。だが、理由はどうあれ負担が減るのは助かる。しかし、本当に大丈夫なのか?」

「ご主人様の学費くらいなら、私の一日の稼ぎで賄えます」

 旨美がドヤ顔で答える。

 女神以外の人がその答えを聞いて驚いている。正直、俺もそんなに売り上げがあるとは思っていなかった。

「菊。この方はお前のなんなんだ?」

 まあ、親父の疑問は当然だ。

「えーと。炊飯器だよ」

 一瞬キョトンとする両親。

「『飯炊き女』とでも言いたいのか?」

「いや、言葉そのまま。炊飯器」

「何を言っているんだ?」

 親父は混乱している。

「正確には、高度な人工知能を持った炊飯器が、人型発電機を作って遠隔操作しているんだ。ただ、今は遠隔操作できない距離なので、自律モードで動いているんだよ」

「な、るほど? 母さん。分かった?」

「ぜんぜん」

「えーと……」

 旨美が人型でうろつくようになった経緯を話す。

 宇宙人の訪問販売員から商品モニターを勧められ、それから現状までを噛み砕いて話した。

「と、言うことで、この旨美は人間ではなく機械人形なんだよ。本体の炊飯器は向こうのマンションにいるよ」

「いや、どう見ても人間だろ」

 親父は何度も旨美を見返す。

「困ったな。そうだ、裸の量産機を見れば人間では無いと分かってもらえるかな。旨美、一体呼んでくれないか?」

「分かりました」

 旨美が左側のマントを広げると旨美そっくりの裸の女性が方膝をついた状態で現れる。

 赤髪量産機だ。

 彼女が立ち上がり、

 俺の両親の方へ移動する。

「その女性は旨美の量産タイプだよ。確認してみて。親父は見るだけね」

 両親が量産機を確認する。

 人として有るべき物が無い。

「確かに作り物のようだな」

 確認が終わったので量産機がその場から消えた。

 ついでに女神様達も機械人形を依り代としていると説明する。

「つまり、平瀬ちゃん以外は人間ではないのかな?」

 親父が俺の隣に座っている平瀬を見る。

「いやーん。お義父さま。秋川佳月をお忘れなくぅ」

「わ、わたくし、谷沢姫之もです」

 秋川と谷沢が立ち上がり、両親にアピールする。

「秋川先生は大学の助教授で、谷沢さんはサークルの先輩だよ」

 両親が別テーブルの面子に目を向ける。

「ふむ。髪の毛が黒い人が日本人だな」

「うん」

 意外とキチンと見ているな。

「話を戻すと、そういう状況なので卒業後はオーデンという惑星で生活することになるんだ。表向きは外国で事業をしていることにする予定」

「そうか」

 親父はお茶を一口飲んでから俺を見る。

 何かを決断したかのように重い口を開く。

「実は、菊が自立したら都会を離れようと思っているんだ」

「え?」

 俺はお袋の方を見る。

「私もそうだけど、お父さんは人付き合いは苦手なのよね」

「そうなの? だって、しょっちゅう会社の人と酒飲んで帰りが遅かったじゃん」

 平日に親父と夕飯を一緒に食べた記憶はあんまり無い。大概、夜遅く顔を赤くして帰ってきていた。

「よく分からんが誘われるんだ。いつもやんわり断るんだが、分かってくれないんだ」

「そうだったのか。あれ? でも、日曜の昼間から酒飲んでなかったか?」

「酒は普通に好きだからな。俺は一人でちびちび酒飲むのが好きなんだ」

 言われて見れば、大酒飲みの印象はない。

 そうか。人付き合いが苦手だったのね。確かに、あまり人が尋ねてこない。親戚が来るのも極稀だった。そのおかげで、お年玉は少なかった。

「菊、俺はな。俺は早期退職して引きこもりたいんだ!」

 親父の力の籠もった衝撃の告白。

 うーん。なんて返していいのか分からん。

 俺の発言では無いのに、みんなの視線が俺に集まっている気がする。少し痛い。

「お父さんは昔からそう言ってるのよね。でも、ご近所の目とかあるし、それならいっその事、人里離れた所でひっそり自給自足の生活でもしようかって話していたのよ」

 予想していなかった展開になってきたので、仕切り直すことにした。

「まあ、大学は卒業するつもりだし、それまでは地球にいるから、また今度ゆっくり話そう」

 これで話を終わらす。

 旨美に食事を出してもらい、プチパーティーを開く。

 平瀬と谷沢と秋川が積極的に母に絡んで覚えてもらおうとしている。

 親父と酒を飲むのは初めてだ。

 なるほど。確かにちびちびと酒を飲んでいる。

「夏季休暇にオーデンに連れて行くから、後で行ける日を教えてくれ」

「うん。まさか菊が旅行に連れて行ってくれるとはな」

 俺はしみじみと親父と酒を交わす。

 この時は騒がしい夜になると考えもしなかった。


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