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3. 旅行

 晴れ渡った空が清々しい気分にしてくれる春の午後。

 平瀬千歳(ひらせちとせ)は親友の魚野八海(うおのはつみ)との待ち合わせの場所へ向かって歩いていた。

 ゴールデンウィーク明けに提出するレポートがあるので、分からない所を教え合う事にしたのだ。

 待ち合わせ場所は駅近くの喫茶店。

 時間に少し遅れ気味だったので、早足で歩を進めていると声を掛けられた。

「平瀬じゃん、げんきー?」

 向かいから歩いてきているのは高校時代の友人だ。すごく親しいという訳でもなく、たまに遊ぶくらいの関係だった。

「あーっ。吾妻。久しぶり、ってほどでもないのか」

 名を吾妻美咲。ロングヘアーで細身の体、背は少し高くモデルのようだ。

「ははは。二か月も経ってないか。平瀬ってこの近くの大学行ったんだっけ?」

「うん。吾妻は何処行ったんだっけ?」

「高校の近くの短大」

「あー、あそこか」

 ちなみに平瀬達の通っていた高校はここから電車で二十分程行った所だった。

 二ヶ月くらいの間しか空いていないが、環境が変わっているので話も盛り上がる。

「この前さ合コンやって、ついに私にも彼氏が出来たのだ。平瀬もいるんでしょ、彼氏」

「えっ。あー。ね」

「やっぱいるよね。平瀬はモテそうだもんな」

 言葉を濁したら、勘違いされてしまった。

「そうだ、平瀬。ダブルデートしない? いや、して欲しいんだ」

「え? えーと……」

「彼氏と泊りがけで旅行がしたいんだけど、親が二人じゃダメって言うんだよね。他に女性がいれば許してくれると思うんだ」

「と、泊りがけ?」

「ゴールデンウィーク後半でいいよね? よし、ちょっと彼と相談してくる。また、後で連絡するね」

 吾妻は一人で盛り上がり、その場を去って行った。

「ど、ど、どうしよう」

 とりあえず、魚野との待ち合わせ場所の喫茶店へ向かった。

 だいぶ前に来ていたのか、コップのコーヒーが半分になっている。

「魚野、ごめんね」

「随分、遅かったじゃない。平瀬にしては珍しいわ」

「途中で吾妻に会ったんだ」

「あら。あいつ、この辺に住んでたの?」

「うん。中学とか同じだった」

「ふーん。じゃ、盛り上がっちゃうわね」

「いや、あー、んー。魚野、どうしよう」

「何、取り乱してるのよ。落ち着きなさい」

 なだめられて、ダブルデートの経緯を話した。

「行ってくればいいじゃない」

「あ、あたし、彼氏なんていないんですけど」

「何で、いないって言わなかったのよ」

「えへっ。何かちょっと見栄張っちゃった。てか、いるとも行ってないし」

「どうすんのよ」

「んー。魚野が代わりにどう?」

「ゴールデンウィークは用事があるから無理ね。断れば?」

「見え張ったの丸わかりで恥ずかしい」

「あとは、知り合いの男に声かけるかね」

「泊りがけなのよね。それに頼める男子っていない」

「吾妻は私と柳都が付きあってるのを知ってたわよね。吉野は空いてるんじゃない?」

「サークルの? 絶対ヤダ。……あっ」

「ん?」

「あいつに声かけてみようかな」


 ◆◇◇◇◇◇◇


「凄いわね。こんな堂々と『元祖』を名乗るなんて」

「私には見慣れた光景なんだけどね」

 平瀬と魚野の目の前には『ファミリーマサト』と書かれた看板のあるコンビニに来ていた。入り口の前には『元祖ファミマ』と書かれたのぼり旗が立てられている。

 このコンビニエンスストアは個人経営店で、経営しているのは平瀬達が所属しているサークルの初代会長だ。

 何故、平瀬達がここに来たのかというと、同期の多摩川がアルバイトしているのだ。

「こんにちわー」

 平瀬を先頭にコンビニの中へ入る。

 カウンターにはアフロヘア―のおっさんがいた。この人が初代会長の古角正人(こかどまさと)だ。

「いらっしゃい。って、見たことある顔だな」

「新人歓迎会はありがとうございました」

「まー、毎年の事だからな。で、何の用だい?」

「多摩川君はいますか?」

「おう。おーい、きっくん。お客さんだよ」

「はーい」

 と、奥の部屋から多摩川が出てきた。


 多摩川菊斎は床園大学 文学部 想像言語学科の一年生。平瀬達と同期だ。

 髪は少し長めでボサボサ。顔は少し整っている程度で決してイケメンではない、普通より少しましな程度だ。

「俺にお客って。あら、二人ともどうしたの?」

「えーっと、ちょっといいかな?」

 なんだろ、平瀬が照れくさそうにしている。

「きっくん。カウンターで店番頼むよ。俺は裏でちょっと休むわ」

 店長は気を聞かせて奥へ消えていった。

「はい。ありがとうございます」

 そんな店長を見て、女性二人はビックリしている。

「古角さんに気を使わせちゃったかな」

「以外ね。もっと怖い人かと思ったわ」

「店長は見た目が怖し、口が悪い時もあるけど、基本的には気を遣う優しい人だよ。会長達が頼りにするのよく分かるわ。で、どうしたの?」

 平瀬が口を開けるが声が出ないようで、魚野が代わりに話し出す。

「平瀬が多摩川君に頼みたい事があるのよ」

「ん、俺に? なんだい」

「ほら、平瀬。あたしはあくまで付き添いなんだから、あんたからきちんと話しなさい」

「う、うん」

 魚野に言われて、ダブルデートの経緯を話す平瀬。恥ずかしそうにずっと俯いたまま話している。

「ど、どうかな。空いてたら、助けてもらおうかなと」

 話は分かったし、正直声をかけてくれてうれしいのだが。

「うーん。行きたいのは山々だけど、ゴールデンウィーク中、全部バイト入れちゃってるんだよね」

「あっ。そうなんだ。む、無理言ってごめんね」

 もうちょっと早く言ってくれたらと残念で仕方がない。

 平瀬もうつむいたままだ。

 しばしの沈黙。

 そんな中、奥から出てきた店長が沈黙を破る。

「悪いが話は聞かせてもらった。きっくん、行ってこい」

「えっ。でも――」

「バイトの事は気にするな。ゴールデンウィーク中は来なくていい」

「ありがとうございます。でも、えーと、恥ずかしながら旅行するほどの――」

「そんな事だろうと思ったぞ」

 店長が尻のポケットから茶封筒を出し、俺に渡す。

「そこに十五万円入っている。俺が競馬で一山当てようとしていた金だ。使え」

「え、しかし、こんなに」

「きっくん。男なら女に負担をかけさせるな。見栄を張ってでも」

 なんか、店長が無茶苦茶格好良く見える。

「は、はい。ありがとうございます。このお金、大事に使わせて頂きます」

 俺は平瀬の方を向く。

「平瀬さん。その旅行に俺も付き合わせてもらうよ」

 平瀬は声を出せず、コクコクと首を縦に振る。

 魚野は、奥へ歩き出す店長を見ながら「あれが男の中の男なのかも」と呟いていた。

 ただ、店長は奥の部屋に消える前に俺に言った。

「きっくん。分かっていると思うが、それは貸しだからね。ゴールデンウィークが終わった後の一か月間は毎日閉店まで、アルバイトよろしく頼むよ」

「……、えーーーーーっ!」


 ◆◆◇◇◇◇◇


 次の日、ゴールデンウィークの後半に二泊三日の旅行が決まったと平瀬から連絡があり、詳しく聞く為に俺の自宅に来てもらった。

 東北の方へ移動し観光して温泉宿で一泊、次の日は観光しながら移動して別の温泉宿で一泊する予定。誰も運転できないので電車、バスでの移動になる。

 店長の言葉を胸に刻んでいる俺は、当然、平瀬の交通費、宿泊費も俺が払う。

「私の方が無理に誘ったんだから、自分で払うよ」

「平瀬さん、このお金には店長の思いが乗っかているんだ。見栄を張らせてくれ」

 ざっとした計算だが余裕はある。大丈夫だろう。


 下準備を十分にして、当日を迎える。

 平瀬の友人の吾妻は地元らしく、駅に三人で待ち合わせとなった。

 俺と吾妻の顔を知っている平瀬が、気を聞かせて一番早く待ち合わせ場所に来ていた。

 待たせるのは悪いと思って少し早めに自宅を出たが、すでに平瀬がいてビックリした。

 待ち合わせの時間まで少しあるので、今日の予定を二人で確認する。旅行のプランは吾妻が決めたようだ。

 頭の中に予定を叩き込んでいると吾妻がやって来た。

「平瀬。ホント無理言ってごめんね。こちらが彼氏さんかな?」

「うん。多摩川君」

「多摩川さん、本当、急なお願い聞いてもらってありがとうございます」

「いえいえ。せっかくの旅行ですから楽しみましょう」

 俺は吾妻と握手しながら、あいさつを交わした。


 電車に乗り、新幹線に乗り換える駅で吾妻の彼氏と合流した。

 彼の名は利根。背が高く、身長が百八十センチメートルくらいあるらしい。

 スポーツ刈りでがっしりした体をしている。高校では野球をしていたようだ。

 第一印象は取っ付き易いスポーツマン。

 俺と同じく大学一年生なので、対等に来るかと思ったら、「学校違うし年齢は一つ違うので、『多摩川さん』と呼びます」などと言われた。先輩風吹かすのも恥ずかしいので、俺も呼び捨てせず、『利根君』と呼ぶことにした。

 新幹線で駅弁を食べながら、今日の予定を再確認。

 まず、在来線に乗り換える駅で一旦降りて観光。そこから電車で目的の駅まで移動し、そこでも軽く観光予定。その後、今晩泊まるホテルへ移動するらしい。

 観光先ではソフトクリームやら団子やらと色々な物を食べた。正直、平瀬がそんなに食べる印象は無かったのだが、「甘い物は別腹」らしい。四人でワイワイ騒ぎながら観光するのも結構楽しかった。


 観光を終えた俺達は駅まで戻り、そこからホテルに電話をして送迎してもらった。

 一泊目の宿は十階建てのホテルだ。

 玄関を入ると右手にフロントがあり、この旅行を計画した吾妻と友人の平瀬で受付を済ませる。エレベータで八階まで上がり、廊下の端まで移動する。角とその隣の二部屋が今回予約した部屋だ。

「やっぱり角部屋がいいよね。どうしようか」

 と、こちらの事情を知らない吾妻は言う。

「吾妻達が角部屋でいいよ」

「えっ、いいの?」

「計画したのが吾妻だから、譲るよ」

「ありがとう、平瀬。お言葉に甘えちゃいます」

「はいはい。あっ、夕食って十九時半からだよね? 一回温泉入る?」

「そうだね。歩き回って汗かいたし、一回入ろう」

「じゃあ、三十分くらいしたら、迎えに行く」

「オーケー」

 女性二人で段取りを決めて、二組に分かれた。

 部屋に入ると、十帖の畳部屋だった。ユニットバスも付いている。

「思ったより広いな。高かったんじゃない?」

「そうでもないよ。ほら、向こうも学生だから安い所探したみたいよ」

 宿は吾妻が決めたらしい。向こうも苦労してるんだな。

 部屋の中央に木製のテーブルがあり、その上には茶菓子が置いてある。

「とりあえず、座って一服しよう」

「そうね」

 荷物を端に置き、向かい合って座る。

 平瀬がお茶を注いでくれた。

「ありがとう」

「わ、分かってると思うけど、えっちは無しだからね」

 釘を刺されてしまった。平瀬の目がコワイ。

「分かってます。俺はこう見えて、良くも悪くも諦めのいい男なんだよ」

「そうなの?」

 よし乗ってきた。ここは俺の定番の掴みネタで場を和ましておこう。

「そう。俺のフルネーム知ってる?」

「多摩川菊斎でしょ。菊斎って、なかなかよね」

 なかなかって何だよ。と、突っ込みたいがスルーする。

「親父が菊次郎で、爺さんが雲斎。二人から取ったらしい」

「お爺さんの名前凄いわね。芸術関係の人とか?」

 平瀬がろくろを扱うような真似をする。

「ただの百姓。それはさておき、俺はこの名前で苦労する」

「なんで?」

「小学生の時にね、同級生に言われたんだ。『玉が脇臭い』って」

「たまが、わきく……ぷーっ、くっくっくっ」

 平瀬が腹を抱えて笑い出した。

「それで、あだ名が『ワキガ』になったんだよ」

「くっくっ、そ、それは、ぷっ、酷いわね」

 笑って言うセリフじゃないぞ。

「止めさせようと頑張ったけど、あだ名って自分で付けるものじゃないからね。相手が止めないと、どうにもならない。世の中には諦めるしかない事があると分かって、無理に頑張るのを止めた。あっ、勘違いしないで欲しいのは、頑張らないわけじゃないんだよ。自分なりに努力はするんだけど、ある所で見切りをつけちゃうんだよね」

「じゃ、ずっとそのあだ名だったんだ」

「中学の初めまでかな。さすがに呼ぶ方も恥ずかしいよね。俺に向かって『おーいワキガー』って言ったら、周りの人はまず言った奴の方見ちゃうでしょ?」

「ぷっ。確かに」

「どんなに頑張ってもどうにもならない事があるから、いや、そんな事の方が多いと思うんだよ」

「それで、諦め易くなっちゃったんだ」

「そう。でも」

「ん?」

「でも、いつかくると思うんだ。こんな俺にも絶対に諦めてはいけない時が。その時は……」

 言葉に詰まり、お茶を飲む。

 笑っていた平瀬が、いつの間にか俺を真顔で見つめていた。

 変な話をしてしまって、呆れられたか。話題を変えよう。

「えーと、ここの温泉って広いのかな」

「えっ。ああ、時間が無くなっちゃうわね。着替えないと……」

「ああ、俺は外出た方がいい?」

「大丈夫、私はユニットバスの中で着替えるわ」

「じゃ、俺はここで着替えちゃうね」

 平瀬は着替えを持ってユニットバスに入っていった。


 平瀬は鏡の前で自分の顔を確認する。

「普通のよね。変じゃないよね」

 多摩川の最後の言葉に何か妙に惹きつけられ、彼を見入ってしまった。

 超恥ずかしい。

「こんな事で二泊も大丈夫なのかしら」

 気になる存在だから声を掛けたのは間違いない。だが、自分の気持ちがよく分からない。

 確かに、話していると楽しいし何か落ち着く。多少なり好意があるのは間違いないのだが……。

 平瀬はモヤモヤする気持ちをかき消し、ばたばたと着替えを終えた。


 みんなで大浴場に移動して、男女に分かれる。

 利根は大浴場の広さに感動していたが、銭湯通いの俺はそれほどでもなかった。ただ、やっぱり銭湯と違い、体の芯から温まる感じがした。

 利根のテンションが高い。体を三回も洗っていた。アホだな。だが、正直、羨ましくないと言ったら嘘になる。

 夕食はバイキング形式で、俺はここぞとばかりに食いまくったが、野球部出身の利根には適わなかった。女性陣は色々気にしているのか、少し控え目にしているようだった。

 食事をしながら明日の段取りを確認し、食事後は各々の部屋に分かれた。


 ◆◆◆◇◇◇◇


 部屋に入るとテーブルが奥に寄せられて、布団が二組敷いてあった。

 ドアから見て、縦に並んでいる。向かって右側に枕があった。

 何か気まずいな。

「布団……少し離した方がいいかな?」

「少し離して何か変わるのかしら」

 確かに対して変わらないけど、その距離が大きいんだよな。

「えーと、気分的な距離かな」

「私は多摩川君を信じている。大丈夫よね?」

 そう言いながら満面の笑顔を見せる平瀬。

 そんな風に言われたら、大丈夫としか言えないじゃん。

「う、うん。テーブルが端に寄せられてるんだね。まだ寝る時間には早いし、向こうに行こうか」

 布団を見てると要らない妄想をしてしまう。

 俺はテーブルの方に行き、布団を背にして座る。

「本当に今回は無理言ってごめんね」

 そういいながら、平瀬が俺の向かいの座椅子にゆっくり座る。

 妙に色っぽいんですけど。何だろ、新手のいじめですか?

「あー、でも、色々見れて楽しかったし、気にしないで」

「うん。観光地を回るのも思ってたより、楽しめたよね」

 観光地の話になって、気をそらす事が出来た。

 このまま話を盛り上げて、流れが変わらないように頑張る。

 しかし、いくら頑張っても、その時は来る。

「あー、もうこんな時間なのね。そろそろ寝ようか」

「ん、うん。そうだね」

「どっちがいい?」

「俺はどっちでもいいよ。平瀬さんが選んでいいよ」

「じゃ、こっちー」

 無邪気にドア側の布団に潜り込む。

「ふっかふかだー」

 俺だけ起きてるのも、怪しまれるよな。

「電気は点けておこうか」

「えーっ。眩しくて寝れないよ」

 本当に俺を信じてくれているのは嬉しいが、こっちにも限界があるぞ。

「そ、そうだよね。じゃ、消すよ」

「いいよー」

 電気消すと、当然何も見えなくなる。この方がいいのかも。

 俺も布団に潜り仰向けになる。確かにふかふかで軽い。

 このまま、寝てしまえばいいんだよ。簡単じゃないか。

「多摩川君は友達と旅行とかしたことあるの?」

 うお、話しかけてきた。寝た方がいい気がするが、大丈夫かな。

「えーっと。無いよ。家族旅行くらいだね」

「ふーん。じゃあさ」

 隣の布団からガサガサと音がした。

 なんか、平瀬がこっちを向いたような……。

 暗くて見えないとは分かっているが、気になる。

「もし、本当に付き合ったら、私を何所へ連れて行ってくれるのかな?」

 この状況で何て質問してくるんだよ。

 仰向けで寝ていると横顔を見られている気がして、より平瀬の存在を感じる。

 このままではダメだと思い、平瀬に背を向ける。

「そ、そうだね、何所がいいかな」

「んー。聞こえないぞ」

 俺が横を向いたので、声が少し聞き難くなったようだ。

 平瀬がごそごそ動いている。こっちの布団に入ってきてるよね。

 何を考えてるんだ。

「何て言ったの?」

 真後ろで声がする。

 どうする? 運動音痴な俺でも、この距離なら確実に……。いや、ここで無理やり抱き着いてイベント失敗になると、残りの旅行が地獄になるよな。旅行だけならまだしも、学生生活にも影響が出るか。しかし、この状況でそれが失敗っておかしい気がする。男なら普通いくよね。俺、悪くないよね。でも、結局それも言い訳に過ぎないわけで……。

 本能が背中を押し、理性が押し止める。もう、わけわからん。

「平瀬さん。出て」

「えっ、何?」

「この布団から出て」

「ど、どうしたの?」

「いいから。早く、この布団から出ろ!」

 大声で怒鳴る。

「わ、わかったわよ」

 平瀬がごそごそと自分の布団へ戻っていく。

 急に大声を出したので、怖がらしてしまったか。

 とりあえず、距離が取れたので気持ちを落ち着ける。

 その間、部屋が静まり返る。時々隣の部屋から、うっすらと変な声が聞こえる。

 深呼吸。深呼吸。……少し落ち着いてきた。

「怒鳴って、ごめん」

 平瀬からは何の返事もない。

 だが、こんな事を続けられたら、俺は絶対平瀬を押し倒す。自重してもらわないと。

「平瀬さん。男の中ではね、常に戦っているんだ。本能という名の戦士と理性という名の魔術師が。

 戦士と魔術師は俺を取り合って激しい戦いを繰り広げている。時には意識下でも。

 戦士は強くて、酷い時は一撃で魔術師を倒してしまうんだ。

 真っ向勝負できない魔術師は手を変え品を変え戦士の攻撃をかわし、隙を見て攻撃する。だけど、そんな状態で出す攻撃はなかなか当たらない。酷い時は防戦一方になる。

 魔術師は弱いながらも必死に戦っているんだ。

 せめて平瀬さんには戦士の後押しをするような行動を控えて欲しい」

 長々と変な話をしてしまった。

 平瀬からの返答はないので、伝わってないかもしれない。もしかしたら、怒っていて俺の話なんか聞いていなかったのかもしれない。

 だが、本当に本能という戦士は強いのだ。

 例えば、この目の前いるムキムキマッチョの利根似の戦士。

 こんな奴が俺をさらいに来るのだ。

「きっくん、あぶない!」

 俺と戦士の間に入るのは魔術師。しかも店長似でアフロヘアー。

 戦士が大きな斧を振り下ろす。

「アフロ師匠!」

 魔術師はマジックシールドを展開し攻撃を防ぐ。

「きっくん、フォースを使え」

「フォース?」

「これじゃ」

 魔術師が俺にゴムホースの先を渡してきた。

 長いゴムホースの反対側の先には公園の水飲み場のような物があり、蛇口にゴムホースが繋がっている。

 いつの間にか水飲み場の所に魔術師がいて蛇口を捻る。

 手元のゴムホースから水が出てきた。

「きっくん。その水で頭を冷やすのじゃ」

 俺は言われるがままに水を頭から被る。頭が冷えて冷静になれそうだ。

「ありがとうございます。アフロ師匠」

「ふぉふぉふぉ。フォースが共にあらんことを」

「これホースですけどねー」


 平瀬は眠れないでいた。

 上半身を起こし、多摩川の方を向く。暗くて見えないが「くーくー」と寝ているのが分かる。

「何が諦めのいい男だよ。諦めきれてないじゃん」

 多摩川の強がりに甘えていたようだ。

「男は常に戦っているのか」

 私の為にずっと戦っていたのだ。

 多摩川で無ければ無理矢理抱かれていたかもしれない。

 自分の軽率な行動に恥じている。私の方が謝らなきゃいけないのに。

「ありがとう、多摩川君。あなたは強いのね。今も何かと戦っているのかしら」

 寝ているので声は聞こえていないだろう。だが、寝言が返ってきた。

「ホースが共にあらんことを」

「……何と戦ってるのよ」


 ◆◆◆◆◇◇◇


 結局、平瀬はいろんな感情が入り乱れ、眠れぬまま朝を迎えた。

 平瀬は布団から出て、身だしなみを整えてる。

 気持ち良さそうに寝ている多摩川が羨ましい。

「多摩川君。朝だよ、起きなさい」

 平瀬は横を向いて寝ている多摩川を揺らす。

「ん。あ、あれっ。アフロ師匠は?」

「えっ、誰?」

「あ、あー。夢か」

「おはよう。大丈夫?」

 クスクスと笑う平瀬。

「おはようございます。何の問題も無いです」

 多摩川が平瀬を見つめる。

「平瀬さん、眠れなかった? 怒鳴ったりしたから、気分悪くしたよね。ごめん」

「ううん。謝らないで。私の方の配慮が足りなかった。ごめん」

「今日は観光しながら移動でしょ? 大丈夫かな」

「移動中に寝るから大丈夫」


 チェックアウトして駅まで送迎してもらう。そこから観光地まで電車で二十分。ゴールデンウィークだけあって人も多く、電車では座れなかった。

 観光地を回るが、寝不足の平瀬の足取りが重そうだ。

「平瀬さん、大丈夫?」

「大丈夫だよ」

 笑顔で返してくるが、少し辛そうに見える。

「心配だな。支えたいけど、どうしていいのか分からん」

「じゃあ、腕借りるね」

 平瀬はそう言って、俺の左側で腕を組んできた。普通の状態なら諸手を挙げて喜ぶんだけど。こんなので支えになるのかな。

「少しは楽になれそう?」

「うん」

「体力に自信はないけど、体重かけていいよ」

「ありがと。言葉に甘えちゃうね」

 腕に体重を乗せてくると思ったら、体を預けてきた。

 本当にこの娘は俺の理性をタコ殴りにする。だが、これで俺がふらついたら格好が付かない。変な所に気を使うことになり、観光どころではなくなっていた。


 昼になりフードコートがあったので、そこで昼食にする。

 吾妻と利根はハンバーグを食べるようだ。

「平瀬さん。体調はどう?」

「うん。大丈夫。少しボーっとしてるけど」

「何食べる? 俺が買ってくるから」

「んー。じゃあラーメンで」

「それだけでいいの? 結構歩いてるから、お腹すいてるんじゃない?」

「大丈夫。余りお腹すいてないかも」

 そう言われては仕方がないので、平瀬にはラーメンを俺はチャーハンと唐揚げを買った。

 平瀬は俺の左隣でラーメンを食べている。俺は平瀬との間に唐揚げを置いた。

「平瀬さん、唐揚げ美味しいよ。食べていいからね」

「え、でも」

「いいからいいから。ラーメンだけじゃ味気ないでしょ」

「じゃあ、一個頂きまーす」

 平瀬は唐揚げをひとかじり。

「美味しい」

「でしょ。四個あったから、二個づつね。もう一個食べていいから」

「そんな、悪いよ」

「気にしないで」

「う、うん」

 それから雑談を交えながら食事を進めてほぼ食べ終わる。

 残すは平瀬の唐揚げ一個。それを半分ほど食べる。

「うーん。お腹一杯だな。多摩川君」

「ん?」

「あーん」

 平瀬は箸で掴んだ食べかけの唐揚げを俺に向けてきた。

「あ、いや、それは」

 吾妻と利根の視線を感じる。無茶苦茶恥ずかしい。

「ほーら、いいから。あーん」

「あ、あーん」

 口の中に唐揚げを入れられた。

 周りの視線が気になって味が分からん。速攻で飲み込んで、平静を装う。

「じ、じゃ、片付けようか。平瀬さんはここで待っててね、俺片付けてくるから」

「なんか申し訳ないわ」

「いいから、座ってて」

 俺は逃げるように食器を返却口へ持っていく。

 途中で平瀬の使っていたコップが目につく。まだ、半分くらい水が入っていた。

 ふっ。くらえ、間接キスじゃ。

 コップの水をゴクゴクと飲む。

「多摩川さん、凄いですね」

 ぶふーっ。

 急に後ろから声を掛けられ噴き出す。

「利根君。いきなり後ろから声を掛けないでほしいな」

「す、すいません。午前中の多摩川さんを見ていて、女性への気遣いが凄いなと」

 俺だって平瀬が寝不足じゃなかったら、そんなに気を使わない。

「利根君。女性に気を使わせちゃダメだよ。男なら女の笑顔の為にとことん尽くせ」

「はい。師匠」

 俺は適当なことを言ってお茶を濁したのだ。師匠と呼ばれるにはまだ早い。


 それから少し観光した後、今日泊まる宿の近くの駅まで行くバスに乗る。

 二人掛けの席で窓側に平瀬を座らせた。

「三十分以上乗るらしいから、ゆっくり寝て」

「ありがとう」

 平瀬は座ると窓側にもたれ掛かり、直ぐに眠りに落ちた。

 俺は平瀬の左隣に座り、背もたれに体を預ける。

 バスがゆっくりと動き出した。

 十分くらい経った頃、平瀬が俺の方にもたれ掛かってきた。

「眠かったんだろうな。ぐっすり寝てる。……ん?」

 なんか右腕に生ぬるい感触が。

 ぎょっ。平瀬さん、涎が。

 ハンカチを取り出し、平瀬が起きないように優しく口を拭く。すると平瀬が拭き易いように顔をこっちに向けてきた。

「起きて……無いよな」

 もう一度、軽く拭くと「うーん」と唸りながら反対側を向いた。


 テーブルに着く平瀬の前にはデミグラスソースのたっぷりかかったハンバーグがある。

 ナイフで切ると中からはトロリとしたチーズが入っていた。

 一口サイズに切って口へ運ぶ。

「美味しぃー」

 バクバク食べていると、席の隣には執事のような格好をした多摩川が立っていた。

「お嬢様。お口がソースで汚れていますよ」

 多摩川はナプキンを取り出す。

「お口を拭きます。顔をこちらに向けてください」

 平瀬は「んー」と言いながら、多摩川に顔を向ける。

 多摩川が優しく口を拭く。

「うふふふ……ん?」

 あれ、夢か。いや、実際に口を拭かれている?

 寝てて、口を拭かれているって……ヤダッ。最悪。恥ずかしい。

 平瀬は寝たふりをしたまま顔を背ける。それからは涎を垂らしてしまう恐怖で寝れなかった。


 ◆◆◆◆◆◇◇


 夕方には二泊目の宿に到着した。

 今回の宿は四階建てで、昨晩泊まった宿よりは小さい。

 だが、食事は美味いし、温泉も源泉掛け流しで十分満足できた。

 温泉に入っている時に、何を勘違いしているのか利根が「俺も多摩川さんを見習って、朝まで頑張ります」と意気込んでいた。とっとと忘れよう。


 今回も部屋は和室で昨日より狭いが、二人で泊まるには十分な広さだ。

 テーブルに向かい合って座っているが、平瀬は突っ伏している。

 眠たそうな平瀬に布団に入るよう勧める。

「多摩川君は信頼しているのよ。でも、横になったら熟睡してしまうわ。それが怖いの」

「俺のこと縛っておく?」

「いいの?」

「えーと。それはそれで、燃える」

「ばか。信頼してるんだから縛るわけ無いでしょ」

「とにかく、テーブルに突っ伏して寝るのは体によくないよ」

「でも……」

「俺は君がテーブルで寝てしまったら、抱きかかえて布団へ寝かせるよ。そんな事されたくないだろ?」

「それもありかな」

 平瀬は眠そうな眼でこちらを見て微笑む。

「ま、また、そんな冗談を。さっ、自分で布団に行きなさい」

「はーい」

 平瀬は自ら布団へ入っていった。

「電気消そうか?」

「だい、じょう……」

 ふかふかの心地よい布団が平瀬を一気に夢の世界に運んでいった。

 多摩川は隣で寝るのはしんどいかもと考えながら、スマホに連絡が無いか確認する。

 すーすーと寝息が聞こえてきた。

 その寝息に誘われるように平瀬を見る。

 うーっ。寝顔がかわいい。

 ……写真撮るくらいならいいよね。

 多摩川が本能にちょっぴり負けた瞬間だった。


 平瀬の目の前には多摩川がいる。見つめ合う二人。

「平瀬さん、俺と付き合って欲しい」

「はい。お願いします」

 平瀬が多摩川に抱きつく。

 二人の方へ、ムキムキマッチョの戦士が凄い勢いで走って来る。

 多摩川は戦士の方を向き、平瀬を守るように身構える。

「何だ、こいつは」

「ハーーーーーッハッハッハッ」

 高らかに笑いながら迫りくる戦士。

 その時、多摩川の前に助っ人が現れる。

「きっくん、下がっておれ」

 アフロヘアーの魔術師だ。

 長い杖をかざして、防御壁を出す。

 勢いの止まらない戦士は全力の右アッパーで防御壁を砕き、魔術師を吹き飛ばす。

「くはぁ」

「アフロ師匠!」

 魔術師に駆け寄ろうとする多摩川。

 戦士は多摩川を捕まえ、荒縄でぐるぐる巻きにし、担いで立ち去る。

「多摩川くーん!」

 あっという間の出来事で、平瀬は何も出来ない。

「平瀬。早くアヤツを追うのだ。早くしないときっくんが暗黒面に」

 声のする方には鼻血を垂れ流しているアフロ師匠が。

「あ、暗黒面?」

「そうじゃ。早くしないと、そこの男のようになってしまう」

 アフロ師匠の指差す先にはテーブルに着いている一人の男。

 よく見ると多摩川の親友。信濃だ。

 なんかラーメンを食べている。

「うひょー。このイカ墨ラーメン、超うめぇ」

「暗黒麺!」


 平瀬が飛び起きる。

「ここは……」

 一瞬、状況が飲み込めず、ぼーっとしてしまった。

「そうか、旅行中だった。しかし、変な夢を……あっ、やばっ」

 胸元がはだけているのに気付き、急いで胸元を整える。

 ほんと、変な夢。最初と全然違うじゃん。最初と。

 告白される夢を見るなんて、やっぱり私は多摩川君のことを……。

 隣の布団を見る。そこに多摩川はいなかった。

 多摩川は座椅子に座って、スマホで音楽を聴きながら寝ていた。

「また、無理させちゃったのかな」

 平瀬は多摩川に近づき、そっと頬にキスをする。

「ありがとう。きっくん」


 ◆◆◆◆◆◆◇


 帰りの新幹線では席を回転させ、向かいに吾妻と利根が座って爆睡していた。

 本当に朝まで頑張ったのか? こいつら少し心配だ。

「なんか妙に長い二泊三日だった気がするわ」

「楽しめなかった?」

「そんな事無いよ。きっくんの方が色々大変だったんじゃないの?」

 平瀬さんが俺を「多摩川君」から「きっくん」と呼び方を変えていた。

 余計な詮索をして機嫌を損ねられると嫌なので、触れないでおく。

「うーん。よく分かんないけど、レベルが上がったような気がする」

「それは戦士? それとも魔術師?」

「あの話、聞こえてたのね。思い付きの例え話だったけど、うん、俺は高位の魔術師になれるかもしれない」

「それって茨の道じゃないの? あまり目指さない方が良い気がする」

「確かに。無理に目指しちゃいけないのかも」

 俺の携帯が鳴った。何か連絡が来たようだ。

 携帯を出し電源を入れる。

 横から平瀬に見られた。

「やだ。私じゃない。いつ撮ったのよ」

 昨晩の寝顔の写真を待ち受け画面に設定して忘れてた。

「あっ、えーと、寝顔が可愛くて、つい……」

「か、かわっ。……他には撮ってないでしょうね?」

「これ一枚だけです。本当、嘘じゃない」

「とりあえず、信じてあげるから削除して」

「……やだ」

「恥ずかしいわよ。そんなの残さないでよ」

「こ、この、平瀬(の写真)は俺のものだ。絶対に消さない」

「なっ」

 実はこの時、平瀬には「平瀬は俺のもの」の部分しか耳に入ってなかった。顔が真っ赤になり、口を開けたが声が出せずにいた。

 俺はそんな平瀬を見て思う。

 やべぇ、凄く怒ってる。で、でも、絶対消したくない。大切にするって言えば許してくれるかな?

「一生大事にするから、いいよね?」

 ぷるぷる震える平瀬が急に力が抜けたようにへなへなと俺の体に顔を埋めてきた。

「せ、せめて、待ち受けにはしないで」

「わかった。自宅で変える。帰るまではこのまま」

「ばか」

 平瀬は、しばらく顔を埋めたままだった。

「平瀬さん、大丈夫?」

「千歳でいいよ」

「じゃあ、『きっくん』って呼ばれるから、俺は『ちーちゃん』にしようかな」

 平瀬はそのまま抱きつくように両手を回してきた。そして、少し力強くギューっと締められる。

 ありゃ。ちょっと馴れ馴れしかったかな。

「いいよ」

 なんだ、いいのか。よくわからん。

 とりあず、大丈夫みたいだし、好きにさせておいた。


「復活!」

 平瀬が顔を上げた。

「ちーちゃん、何か飲む? 確か自販機あったから買ってくるよ」

「あ、わ、私が、買ってくるわ。きっくんは何にする?」

「じゃ、アイスコーヒー。微糖で」

「うん。行ってくる」

 平瀬は自販機で飲み物を買い、戻る途中にあった洗面台の鏡で自分の顔を確認する。

「大丈夫。普通よね」

 多摩川に「ちーちゃん」と呼ばれたのを思い出すと口元が緩んでしまう。

 傍から見ても何も変わらないのだが、本人はにやけているように見えてしまう。

 さらに、さっきの会話を思い出してしまい、顔が少し赤くなる。

「変な魔法にかけられたみたい。さすが、レベルアップした人ね」

 深呼吸をして気を落ち着かせ席へ戻った。


「しかし、この二人はよく寝るね」

 吾妻と利根は新幹線に乗ってからずっと寝ている。

「寝なかったのかしら?」

「これじゃ、二人で旅行できないね」

「きっくんは」

「ん?」

 平瀬の方を見ると恥ずかしそうに俯いてる。

「きっくんは私を何所に連れて行ってくれるのかな?」

 あー。一泊目でそんな質問してきたな。

「そうだな。ちーちゃんの行きたい所なら何所でも」

「そんなぁ。何所でもは無理でしょ」

「いや、何所でも。行きたいのなら宇宙でも。男なら女の前では見栄を張れ。師匠の教えだね」

 平瀬がクスクスと笑いだす。

「アフロ師匠?」

「ん。うん、そう。アフロ師匠」

 それから、アフロ師匠の話で盛り上がり、二人で腹を抱えて笑った。


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