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24.竜之介愚痴る

 惑星オーデン。ナーベン銀河内にある星だ。

 この銀河は帝星チ・ヤーンカが支配しているのだが、文明レベルの低い惑星との交流はしていない。

 惑星オーデンは正に発展途上の星で帝国の傘下に入っていない星だった。

 そのオーデンの一国であるハンペイン王国の王族をドラゴンの竜之介が排除。友人の多摩川へこの国をプレゼントした。

 多摩川はこの国を統治しろと言われたのだが、学生の身でそれは無理だと断る。話し合いの結果、大学を卒業するまで待ってもらい、その間は竜之介が代わりに統治することになった。


 ハンペイン王国から『多摩川の国』と言う意味のユー・デ・ダマガー王国と名を変えた国の中央に王都ニグートがある。

 大きな城をそれほど大きいと思わせない広い庭。城の直ぐ近くに竜之介用の家が突貫工事で造られた。

 自分の家の中で机に向かう竜之介。その机には大量の書類が置かれている。

 竜之介が書類に目を通していると、ニャン・ポンズが家に入ってきた。

 ポンズは行政を行う組織、行中ぎょうちゅう組の組長である。

「竜之介様。こちらも目を通してください」

 追加で書類の束を置く。竜之介の顔が歪む。

「読み終わる前に書類が増えるのだが」

「そればかりは私にはどうすることも出来ません。夜通し行えば片付くのでは?」

「我に寝るなと言うのか? やってられんぞ」

 文句を言いながらも夜通し仕事をした。だが、一向に減ることのない書類の山に、ついにキレる。

「納得いかないながらも一か月頑張ったが、もう無理!」

 そう言って、家の中で暴れまわる。そして、少し落ち着いてから幹部達を呼び出した。

 机の前に横一列に並んだ幹部達を見ながら竜之介が口を開く。

「どう考えても、この書類の量はおかしいだろ」

 みんなを代表して国防組組長、ガウ・マスタードが答える。

「量的には以前から変わりはないかと思います」

「この量を前王は処理していたのか? 信じられんぞ」

「もともと、いい加減な人だったので、全てに目を通していたかは疑問ですが」

「それ、ダメだろ。問題は起きなかったのか?」

「有耶無耶になっている件はそれなりにありますよ。もう、どうにもなりませんね」

「お前ら、それでいいのか?」

「それは、許可した王の問題で我々には何の問題も――」

「アホか! こなせぬ量を出す方にも問題があるわ!」

 幹部達に任せても何も改善されそうにない。そして、我も書類なんか見たくない。

「我に多摩川の代わりは無理のようだ。多摩川を呼ぶから話し合ってくれ」

 多摩川は宇宙人に能力強化装置を埋め込まれていて、竜之介はそれを介して多摩川と通信が出来る。だが、惑星オーデンと地球では距離が離れすぎていて使えない。

 呼び出す為に少しオーデンを離れると言って、山済みの書類を放置するのだった。


 ◆◇◇◇◇◇◇◇


 多摩川はさっぱりした気分で帰宅した。

 借りている部屋が風呂無し、トイレ共同なので毎日とはいかないが銭湯を使っている。

 この日はアルバイトの終わる時間が遅かったので、帰る前に銭湯で汗を流したのだ。

 アルバイト先が個人経営のコンビニなので、夕食に弁当を貰って食べた。後は寝るだけ。

「ただいまー」

「お帰りなさいませ。ご主人様」

 本来なら一人暮らしの自宅なので帰っても誰もいないのだが、最近は炊飯器が遠隔操作する人型発電機が出迎えてくれる。

 自分でもおかしな事態になっていると思う。

 発電機が人型になっているのも変だが、それを操っているのが高性能の人工知能が組み込まれた炊飯器なのだ。

 そもそも、炊飯器が電源を確保するための発電機なのに、自ら動いて電気を消費するっておかしい。そう突っ込んだら、発電効率がかなり高いので問題無いと返ってきた。

 人と同じように食事をして、発電機用のバッテリーと蓄電器へ充電する分の電気を作る。

 その電気量は一日三食で十分賄えるらしい。

 炊飯器の名前は『旨美』と名付けた。

 旨美は自分の分身とも言える人型発電機を一体作成し、その他に実験機として量産型を五体作っている。

 分身といえる個体は炊飯器の色に合わせた赤い髪で、赤いチャイナ服を着ている。身長は百六十センチメートルくらいで、どう見ても人間にしか見えない。分身なので、こいつも旨美と呼んでいる。

 量産型は赤いメイド服以外は全て同じなので集まるとちょっと怖い。こいつらは人型旨美が遠隔操作しているらしいが、補助人格システムというのを組み込んでおり、遠隔操作できない時は行動目的に従って独立して行動する。ちなみに旨美にも同じようなシステムが組み込まれており、炊飯器の遠隔操作ができない場合は自律モードに入るようになっているらしい。

 現状の量産型の活動状況だが、赤の一号は俺の彼女の平瀬千歳の専用機で、常に彼女の側で護衛をしているらしい。ステルス機能を搭載したそうで、普段は姿を消している。

 赤の二号、赤の三号は知り合いのサポートに行っている。

 三体とも、たまにここに戻ってきてスリープモードに入っている。スリープモード時は黒い立方体の蓄電器を椅子にして座っている。蓄電器への充電とデータの保存をしているようだ。

 赤の四号は実験時のみ起動するので、ほぼスリープモード。

 赤の五号が旨美のサポートとして常時起動している。


「夕食はどうなさいますか?」

「弁当食ったからいらない。何か飲み物もらえるかな」

「わっかりましたー。ご主人様」

 居間のテーブルに着きテレビをつける。ニュース番組が何かしらの事件を伝えている。 一日くらい「今日は何の事件もありませんでいた」って言葉を聞いてみたいものだ。

 などとくだらない事を考えていると、旨美がドリンクを持ってきた。

「ご主人様。お待たせしました」

 目の前にはオレンジから黄色を経て緑にグラデーションしている飲み物が大ジョッキに入っている。

「何だこれは?」

「旨美特製ミックスジュースです。美味しいですよ」

「これは……かき混ぜた方がいいのかな?」

「それはお好みですが、そのままの方が味の変化が楽しめます」

 ならそのまま飲んだ方がいいかと思いながらジョッキを掴む。

 残暑も過ぎて心なしか肌寒くなった季節には似つかわしくない冷え方だ。

「キンキンに冷えているな」

「ご主人様の好みはインプット済みですから」

 満面の笑みをみせる旨美。

「俺の好み?」

「この前お出ししたアイスコーヒーもこれくらいでした。『やっぱり、このくらい冷えていると最高だな』と言っていました」

 まだ残暑の厳しい時に言った気がする。そういえば、旨美がここに来て一年経っていなかったな。

「いいか、旨美。日本には四季があってな、これから段々寒くなっていくのだ」

「はい、知っています。春夏秋冬、今は秋ですね」

「そう、夏の暑い日がキンキンに冷えたドリンクを最高にしている。だが、その暑い日々は過ぎ去ったのだ。最近は少し肌寒くなっているから、冷たすぎるのはちょっとな」

「申し訳ありません。ホットミックスジュースにするべきでした」

「いや、それもちょっとな。ホットのミックスジュースが好きな人もいるだろうが、俺は少し冷えているくらいがいいな」

「ふっ、我が儘ですね。ですが、そんなご主人様に対応するのが私の生きがいです」

「わ、我が儘なのかな?」

 納得いかないと思っていると体内に埋め込まれている能力強化装置から通信が入る。この機械は俺の能力を色々底上げしてくれている良い物だ。

『多摩川、起きているか』

 ドラゴンの竜之介からだ。

『竜之介か。どうした?』

『緊急事態だ。オーデンにすぐ来て欲しい』

 ドラゴンが緊急事態というくらいだ。よほど大変な事が起きたと思われる。

『何があった?』

『通信で伝えるのは難しい。詳しくは此方に来てから話す』

『しかし、急に言われても今すぐに向かうという訳にはいかないぞ』

『うむむむ。仕方があるまい。出来るだけ早く来てくれ』

 そう言い残して通信が切れた。無茶苦茶気になる。

「さて、どうしたものか」

「トカゲ野郎の事など放っておけば良いとかと」

「そうもいかんだろ」

 どういう訳か旨美も能力強化装置にアクセスできるようで、今の通信も聞いていたようだ。

「とりあえず、明日みんなに話してみるか」

 そうと決まればとっとと寝よう。冷たいミックスジュースを一気に飲み干す。

 頭を襲う痛みは未来を暗示しているようだった。


 ◆◆◇◇◇◇◇◇


 次の日の夕方。今日はバイトが無く、学校から帰宅し一息つく。

「ご主人さま。何か飲みますか?」

「うん。アイスコーヒーをもらおうか」

「わかりました。少々お持ちください」

 旨美が炊飯器の置いてある方へ行く。本体が作っているようだ。

 その姿を横目で見ながら、ショルダーバックから手帳を出す。

「確か前回オーデンに行った時は片道二日くらいだったな」

 そもそもどんな用事なのかわからないので、何日滞在するのかもわからない。

「スケジュールの立てようがないな」

 出発を明日にするか明後日にするか迷う。

「お待たせしました。アイスコーヒーです」

 旨美が俺の目の前に大ジョッキを置いた。

 作ってもらっているのに文句は言いたくないが、多すぎる。

「ありがとう。美味そうなアイスコーヒーだ。コップがお洒落なら見た目にも美味しくなったのにな」

「申し訳ありません。ご主人様に沢山飲んで欲しかったので、できるだけ大きいコップを選んでいました。以後、気をつけます。ところで、ご主人様は何をしているのでしょうか?」

 旨美が俺の目の前に開かれた手帳を覗き込む。

「オーデンへ出発する日をどうしようかと思ってね。今回は一人旅だ」

 学校でみんなに聞き回ったが、用事があって今回同行する人はいなかった。

「そうですか。実は今回のオーデン行き、私達も同行させて頂こうと思っていました」

 旨美と一緒か。何かあった場合、一人より対応の幅が広がるからありだな。最悪でも飯は作ってもらえる。

「まあ、俺一人だし、別にいいけど……達?」

「はい。私と赤の五号を」

 掃除をしていた赤の五号が雑巾を持ったまま旨美の横に来た。

「よろしくお願いしまーす」

 赤の五号は笑顔で頭を下げる。

 並んだ二人を見て、この二人と街中を歩いている姿を想像する。

 旨美は赤いチャイナ服、赤の五号は赤いメイド服。すげえ目立つ気がする。

「服装は何とかしてくれ。恥ずかしい」

「そうですね。外でメイド服は目立ちます。赤の五号には街に馴染むような服を着てもらいましょう」

「旨美、お前もだ。チャイナ服も目立つだろ」

「えっ!?」

「出発は明日の夜。それまでに仕度を済ませておくように」

 遅れれば遅れるほど問題が増えるような気がしてきたので、とっとと出発する事にした。


 ◆◆◆◇◇◇◇◇


 次の日、早めの夕食を済ませ、出発の準備をする。

 何日滞在する事になるのか分からないので、着替えをどうするかと悩んでいた。

「ご主人様、荷物は私に預けてください。私には四次元釜があるので、いくらでも入りますよ」

「おお、便利だな。もしかして、俺も運んでもらえる?」

「四次元釜に入ったら死にますね。生き物は無理です。あっ、ドラゴンは大丈夫かもしれません。あいつら、おかしな時空間魔法を使うので」

「そ、そうか。でも、荷物が多くてもいいのは助かる。着替えは多めにしよう」

 大きめの旅行カバンに着替えや必要そうな物を片っ端から詰め込む。だが、ふと、疑問に思う。

「四次元釜って本体にあるんじゃないの?」

「はい、そうです」

「じゃ、荷物は本体に預ける事になるんだよな。人型が取り出せるのか?」

「基本的に本体が位置を特定できれば、そこに荷物を出す事ができます。異次元食堂の料理も客先を特定できるように特殊なランチョンマットを送っています」

「つまり、人型の場所が特定できるから、荷物も届けられると」

「はい。ただ、荷物を受け取るのも、送り出すのも本体なので、本体へ要求を出さなければなりません。その為、多少時間がかかることもあります」

「赤の四号はここに残るんだから、要求出せば送ってもらえるじゃん。大きな荷物を用意する必要ないんじゃ?」

「それもありです」

 早く言ってほしい。今まで悩んでいたのは何だったのか。

「荷物は最小限にしよう。出発するから、お前らも着替えろ」

「「はーい」」

 旨美と赤の五号は別の部屋へ着替えに行った。いくら機械でも見た目が人間なので、他の所で着替えてもらう。

「お待たせしました」

 と、旨美がきた。赤い軍服のような服で黒いマントを羽織っている。

 文句を言おうとした所で赤の五号が「準備完了であります」と、白シャツに赤いもんぺと赤い防空頭巾という出で立ちで現れた。

「何だ、お前ら。その恰好は?」

「行く先が発展途上の田舎だと聞いているので、少し古臭い衣装にしてみました」

 余計に目立つ気がする。

「見てください。ご主人様」

 とマントを広げる旨美。裏地は赤い。

「このマント、できたばかりの新作なのです。先ほど話にもありましたように、本体へ物を預けたり、本体から送って貰うのには本体へ要求を出す必要があるのですが、それを省くために開発されたのが、このマントです」

 普段はただのマントだが、暗証コードを入れることで内側が四次元釜と繋がるらしい。長々と説明を受けたが全然理解できない。大体、暗証コードって何所に入れるんだ?

 嬉々として説明する旨美には何を言っても無駄そうなので、諦めて放置する事にした。まあ、移動は夜だし、地球を離れれば理解し難い服装の人は沢山いるので違和感は薄まるだろう。


 夜になり自宅を後にする。

 火星の衛星フォボスにある宇宙港へ行く電車は、とある地下鉄の最終電車が出た後に来る。できるだけ人気の少ない道を選びつつ、その駅のホームまでやって来た。

 他に人がいない、静まり返ったホームで待つこと十数分。宇宙港行きの電車が静かにホームへ入ってきた。

 客がいないわけではないが、かなり少ない。客のいない車両に乗り込む。そこから、二時間ほどかかるので、赤の五号はスリープモードに入ってしまった。

 旨美はテーブル出し、そこへ飲み物とお菓子を出してくれた。酒を飲むと眠くなって乗り換えが面倒になってくるので、飲み物はコーヒーにしてもらう。それに合うようなクッキーやスナック菓子が盛られた皿を出してくれる。

 小説を読みながら、お菓子をつまみ、コーヒーを飲む。思ったより快適な時間となった。


 多摩川が惑星オーデンへ出発してから数日後、床園町である噂が持ち切りになる。

 平瀬と魚野は床園大学構内で、次の授業の講義室へ移動していた。

「平瀬はもう聞いたのかしら」

「何を?」

「ほら、この辺で幽霊が出たって話」

「聞いた聞いた。戦争で亡くなったもんぺ姿の女性と兵隊さんでしょ」

「そうそう。ぼーっと歩いていると付いて来ちゃうらしいわよ。そのまま気付かずに連れて帰ると呪い殺されてしまうとか」

「怖いわ。私そういうのダメなのよね。でも、ぼーっと歩く人ってそんなにいないと思うけど」

「あんたの彼氏はよくぼーっとしてるわよ」

「失礼ね。そう見えるだけよ」

 知らない所でネタにされている多摩川だった。


 ◆◆◆◆◇◇◇◇


 電車がフォボスに着き、多摩川はホームへ下りた。ホームの向かい側に電車はなく、隣のホームが見える。何所の国の人かは分からないが西洋人っぽい人が歩いている。

「そりゃそうか。宇宙港を使う人は世界中にいるよな」

 という事は、ここから他の国へいけるという事だ。前回はそこまで考えなかったが、空路より早く移動できるかもしれない。ただ、料金は半端無く高く付くが。

 ゲートを抜けて真っ直ぐ進むと宇宙港に入るゲートが、左手にはチケット売り場に並ぶ人達がいる。

 予め行き先までのチケットを購入していれば真っ直ぐ行けばいいのだが、今回は少し急な事もあって行き先も明確になっていない。とりあえず、列に並ぶ。

「ご主人様。行き先はどこなのでしょうか?」

「まず、ハブ宇宙港の惑星ユーセで竜之介に連絡だな」

 並ぶ人はそれほど多くないのだが、一人ひとりに時間が掛かる。十数分してようやく順番が回ってきた。

「ユーセまでのチケットが欲しいのですが」

「等級はどうしますか?」

 窓口の女性は型通りに進める。等級は三級から特級まであるようだ。

 一級、特級は個室になっていて、乗車券と個室代で料金もかなり高い。二級はテーブル付きの少しゆったりした席。三級は少し窮屈な席のようだ。

 二級が無難で一番人気があるらしい。

「ご主人様が特級以外を選ぶと思うのか、愚か者め」

 旨美がいきなり暴言を吐く。三級は無いが二級で十分だと思うのだが。

「特級ですね。三名でいいですか?」

 窓口のお姉さんは、一々突っ込んでられないといった感じで、淡々と進める。

「あ、いや――」

「私とこいつはご主人様の所有する荷物だから一人分でいいぞ」

 二級に訂正しようとしたが遮られた。旨美は親指で赤の五号を指しながら会話を進める。

「あなた達も乗るなら料金は必要ですよ」

「私らは生物ではないのだ。鞄と同じだ。あんたらは鞄にも料金を取るのか?」

「鞄に足が生えていて自律行動をするなら料金は必要です」

「ぐぬぬぬ」

「乗るの? 乗らないの? 後がつかえているから早くしてください」

「あー。三人でお願いします。あと――」

「仕方あるまい。これ以上揉めてはご主人様に申し訳ない。今回は折れておく」

「特級三人部屋と三人の旅費ですね。五百六十帝金です」

 旨美は懐からカードを取り出し、窓口のお姉さんに差し出す。

「一括だ」

「はーい」

 と、窓口のお姉さんは処理を進める。

 ちなみに帝金とは帝国金貨のことで、日本円にすると約一万円らしい。他には帝国銀貨、帝国銅貨があり、帝銀は約百円、帝銅は約一円なっているようだ。

「それでは、こちらがチケットになります。部屋番号も記載されていますのでご確認ください。不明な点がございましたら船内にサービスカウンターが有りますので、そちらを活用してください。よい旅を」

 笑顔で差し出されたチケットを受け取り、宇宙港のゲートへ向かう。

「さすがに受付のお姉さんは手強かったようだな」

 旨美は悔しそうな顔を隠し切れない。

「あれが経験値の差と言うんでしょうね。でも、次こそは」

「勝負を挑むな。それから、おれは二級席で十分だったのだがな」

「王になろうという御方がそれではダメですよ」

「そんなものかな。しかし、お前、金持ちだな」

「あれは、ご主人様のお金ですよ」

「えっ?」

 さらっと、とんでもない事を言われたのだが、ゲートを通る時にちょっとした荷物検査があるので後で追求する事にした。

 荷物検査では武器になるような物や輸出入の禁止している物を持っていないかをチェックする。

 当然、旨美と赤の五号は引っ掛かる。散々揉めた結果、頭にアイテムを装着する事になった。西遊記の孫悟空が着けている緊箍児に似ている。問題ありそうな人や過去に問題を起こした人に付けられる。

 このアイテムは危険な行動をとったりすると行動を抑制する機能が働くらしい。最悪、船外に放り出され爆発するようだ。

「面白そうですね。試してみたいです」

「止めておけ」

 特殊な方法で装着しているので外れない。ユーセの宇宙港を出る時に外してもらえるので、それまで大人しくするようにと言われた。

「大体、そんな物を付けているのはお前らくらい……」

 言っているそばから、頭に金色のアイテムを付けているごっついおっさんが目に入る。

 絡まれないように遠回りして船内へ入った。


 船内では多少迷ったが、スタッフに案内してもらい、無事に目的の部屋へ到着する。

 たまにネットで豪華客船の客室を見て、「凄い部屋だな」などと思っていたが、まさか同じ様な部屋を自分が借りるとは思わなかった。

 色々堪能したいのだが、今回は自分で受付などの対応をしてきたので、少々疲れた。

「疲れたので寝る。何かかあったら起こしてくれ」

 服を脱ぎ散らかして、Tシャツ、パンツ姿でベッドに潜り込む。

「何か音楽でも?」

 旨美が服を片付けながら聞いてきた。

「いらん。あっ、そうだ。思い出した。乗船料金が俺の金とか言ってたな」

「はい、そうです。異次元食堂の売り上げはご主人様の物ですから」

「その金か。しかし、いいのか? お前も金は必要だろう」

「我々は炊飯器なので、給料は要りません。今は発電機ですが。必要なお金は経費として売り上げから引かれています」

 人型発電機も経費で作ったのだろうか? 気になる事も色々あるが、異次元食堂を実際に運営しているのは旨美だし、好きなようにさせておこう。

 俺はそのまま、深い眠りについた。


 ◆◆◆◆◆◇◇◇


 火星の衛星フォボスにある宇宙港と惑星ユーセにあるハブ港を行き来する宇宙船は二隻ある。この二隻は同じ船体で違うのは名前だけ。<パンゲア>と<パンサラッサ>だ。

 全長は約五百メートルで、全幅は約五十メートル。白い直方体の箱にブースターを付けたような感じで、飾りなどは一切無い。

 各港には常にどちらかの宇宙船がいる。今、多摩川の乗っているのは<パンゲア>だ。

 この宇宙船が宇宙という大海原を渡って港を行き来する。なんて事はしない。

 停泊している<パンゲア>の前方と後方に大きなリングがある。リング間は宇宙船四隻分くらい。

 このリングが惑星ユーセにある宇宙港と繋がるゲートで、ゆっくりと回転している。

 このゲートをくぐれば目的地に着くのだが、ゲートを繋げるエネルギーをためるのに約十時間かかる。繋げられている時間は約一時間なので、その間に移動する。

 ゲートが繋がっている間にリングが熱を持つので、閉じた後は冷却時間が必要で、その後にメンテナンス作業などを行う。

 色々と手間がかかるので、一日に一回の移動らしい。

 <パンゲア>のエンジンに火が入り、ゆっくりと動き出す。船内にいると動いているのが分からないくらいだ。

 速度はそれほど上がることなく、ゆっくりとゲートをくぐって行く。リングの内側は水を張ったような質感で、波立たせながらゲートに入っていく。

 <パンゲア>の後方のリングからは<パンサラッサ>が入港してきている。

 高エネルギーのゲートを通り抜けた宇宙船は、かなりの熱を帯びているので、少し時間を置いてからの下船となる。


 惑星ユーセのゲートで旨美と赤の五号が頭に装着されたアイテムを取ってもらう。

 旨美はゲートから出る時、係員に一枚のメモ紙を渡した。

「そのアイテムには欠陥があると思われる。詳しく書いておいたから責任者に渡してくれ」

 係員は今一つ理解できていないようだが、下手なことを言って揉めると面倒なので、逃げるようにゲートから立ち去った。

 離れた所で注意しておく。

「旨美。何してるんだよ。また揉める気か?」

「船内では暇だったので、あのアイテムを解析していました。今の私なら、あれより数段良い物を作れますよ」

「作らんでいい」


 さて、前回オーデンへ行った時は、ここからさらに惑星ケームティまで行ってから転送してもらったと記憶している。惑星ケームティは帝国の支配下にある惑星の中で、目的地の惑星オーデンに一番近い。ただ、帰りはこの惑星ユーセに転送してもらったのだ。

 転送距離が近い方が竜之介の負担は小さくなるらしい。ケームティまで移動しても良いのだが、当然、時間と費用がかかる。竜之介の方から来いと言ってきたのだから、ここからでも転送してもらえると思った。

 竜之介に連絡を取ろうとすると旨美から待ったがかかる。

 電気の無い所へ発電機が行くのだから、家電を買って行きましょうと言われた。

 なるほど。地球なら荷物をどう運ぶかということになるが、ここなら人目を気にせず四次元釜に放り込んでも大丈夫だ。

 それも有りだと思い、宇宙港周辺の店を見て回った。だが、正式に買い揃えるのは城内に配線し終わった後にすることにし、とりあえず、洗濯機一台とフロアライトを二つほど購入した。

 買い物を済ませ、軽く食事をとる。こんな技術の進んだ世界でもジャンクフードは無くならない。むしろ、進化し続けているようだが、得体の知れない具材が多い。

 俺は無難に牛肉百パーセントと謳っているファストフード店に入り、シンプルなハンバーガーを食べた。

「美味いハンバーガーだった。いい牛使ってるんだろうな」

「ご主人様。ここで言われている牛は、地球のとは違いますよ」

「え?」

「そうですね。地球にいる生物で一番近いのは……ゴ――」

「何も言うな。いい、俺は極上の牛を食ったという事にしておいてくれ」

「分かりました。ご主人様の好物リストに加えておきますね」

「それも無し。俺の好物は日本にある食べ物だけにしてくれ」

「せっかくレパートリーが増えたと思ったのに、残念です」

 何だよ、「ゴ」って。気になるけど、怖くて聞けない。動物と言わず生物と言ったのには何か理由があるのだろうか。

 俺は、ついさっきまで美味いと思っていたハンバーガーの味を忘れてしまった。


 ◆◆◆◆◆◆◇◇


 食休みをしていると竜之介から連絡が入る。

「お主らはいつまでそこにいるのだ?」

「あー、竜之介か。今連絡しようと思っていたんだよ」

「嘘を言うな」

「本当だよ。ここからでも転送はしてもらえるのか」

「少し遠いが問題ない。三人か?」

「ちょっと待ってくれ、店を出る」

 席を立つと箱状のロボットが来て、トレーやゴミを回収してくれた。

 店を出てから竜之介に頼み、オーデンへ転送してもらう。

 前回と同じ場所に転送された。

 旨美はゆっくりと首を動かす。

「ここが惑星オーデンですか」

「そう。オーデンのハンペイン王国」

「それはもう昔の国名じゃ。今はユー・デ・タマガーと呼ばれている」

 転送された横には竜之介がいた。旨美が声がした方を向く。

「お前が竜之介か」

 竜之介と目を合わせた旨美がにやりと笑う。

「炊飯器がのこのこやってくるとはな」

「ふっ、まあいいか。しかし、貧相な城だな」

「立て直した方が良いかもしれませんね」

「旨美、五号。それは竜之介の小……城だ。あっちがこの国の城」

 竜之介の小屋の隣にある城を指差す。その指先を見て旨美と赤の五号が腹を抱えて笑っていた。

「はー。最高のギャグだな。少し竜之介を見直したぞ」

 竜之介は少しムッとしているが、旨美は無視する。

「冗談はさておき」

 旨美が急に謎の行動をとりだした。マントを広げ、横に回転しながら移動する。

「さあ、妹たち。出ておいで!」

 回転するごとにマントの陰から片膝をついた人型発電機が現れる。

 量産型とは髪の色が違うのが四体。現れた順にブルー、イエロー、ピンク、グリーン。

「はじめましてぇ、ご主人様。炊飯器ブルーの甘美ですぅ」

 タレ目のおっとりしたお嬢様といった感じ。青髪をローツインテールにしている。

「よろしくお願いします。炊飯器イエローの酸美です」

 しっかり者のお姉さまといった感じで、顔も少しきつめ。髪型はポニーテール。

「炊飯器ピンク、塩美」

 ボブヘアで幼い表情する大人しそうな娘。

「これからは大手を振ってお仕えできるな。炊飯器グリーンの苦美だ」

 ショートヘアでやんちゃな男の子っぽい元気な娘。

 うーむ。予測できる事だった。旨美の人型が作られたなら、他の炊飯器の人型も作られるのは当然だ。声を出していた炊飯器が旨美だけだったので、他の炊飯器はそこまでの機能が無いと勝手に決め込んでいた。量産型にわざわざ「赤の」を付けていたのはこの為か。

「お前ら性能を隠していたな。旨美、この四人はお前と同等の性能があるのか?」

「お主人様、隠していたわけではありません。言うほどの事でもないと思っていました。性能はほぼ同等です。姉妹という体を取っていますが、親子に近いと思います。私からの指示は絶対です」

「俺からの指示は?」

「当然、私の指示より優先されます」

 一応、言う事は聞いてくれそうだ。ならば、確認しておかなければなるまい。

「あと、人型発電機は何体作ってあるんだ?」

「えー。それ聞いちゃいます?」

「可愛い子ぶっても駄目だ。正確に答えろ。あと、今後の作成予定も」

「私達幹部五人の下に量産型を約十体ずつ作成済みです。今後は決まってません」

「本当か? 嘘はつくなよ」

「嘘ではありません。ただ、今いる量産型は部隊長として働いてもらう予定です。部隊の人数は未定ですが、この国のインフラを早急に整える為の人数は作る予定です」

 インフラを整えるか。やらなければならない事だし、当然人手もいる。作るなとは言えない。

「作り始める前に一言連絡する事。忘れるなよ」

 なんか隠していそうで怖いが、追及しても仕方ない。しかし、すでに五十体以上の人型発電機が作られていたとは驚きだ。


 旨美の妹達は自己紹介の後、声には出さず裏で会話をしていた。

「あれぇ、量産型は各十八体作成済みだったようなぁ」

「予定だと各二十体まで作って、それからは現地の状況から判断って事だったかしら」

「姉様、『約』って誤魔化してる。誤魔化しになってないけど」

「あと、俺らの予備に二体ずつ作ってあるぞ。各二十体って言っておけばいいのに」

「あなた達、わかってないわね。こういうのは少しぼかして言っておくのがいいのよ。一気にではなく、徐々に数を増やしていくの」

 と、悪びれる事も無く言う旨美に、妹達は「まあ、怒られるのは私達じゃないし」と思うのだった。


「おい、多摩川。大丈夫なのか?」

「何が?」

 やり取りを聞いていた竜之介が心配そうに聞いてきたが、何に対して言っているのか分からない。

「何がって……その人形一体一体からかなりの力を感じるぞ。どう考えても過剰な戦力になっている気がするのだが」

「でもなあ、都市発展には欠かせないだろ。かなりのマンパワーが必要になるんだし」

「とにかく、お主しか制御できないだろうから、しっかり監視しろよ」

 釘を刺されてしまった。監視しろって言われても無理だよな。でも、そんな事を言ったら怒られるのは目に見えている。話を変えた方がいい。

「そ、それより、何が起きたんだ?」

「おう、そうだ。こっちに来てくれ」

 竜之介が自分の家に入っていくので、後を付いて行く。

「なんじゃこりゃ」

 ドラゴン用の広い家に入ると両側には所狭しと積まれている大量の紙の束。

 家の奥にはドラゴン用の大きな机があり、その上にも紙の束が積まれている。

「我にはもう無理だ。あとは任せたぞ多摩川」

「え! 何が?」

 話が全然見えないので、詳しく順を追って話してもらった。

 要するに毎日、書類が大量に届けられ、処理するスピードが全然追いつかないらしい。

「緊急事態と言うから何事かと駆け付けたのに」

「緊急事態だろ。このままでは、この国が書類で埋め尽くされるぞ」

「大げさな」

 言ってるそばから「竜之介様。これもお願いします」と書類の束が届けられてた。

 旨美達が近くの書類を数枚目に通す。

「これくらいの処理が出来ないとは情けないですね」

「でもよ、姉貴。半分くらい要らない書類だぞ」

「そうなのだ。緑の奴、よく言った。だが、ここの幹部連中は決まりだからと我の言うことを聞かんのだ」

 困ったな。何とかなだめて書類整理を進めてもらわないと増える一方だよな。かと言って、何の案も出さずにやれと言っても、言う事を聞くとは思えないし……。

「旨美。量産機はすぐに動かせるのか?」

「城内の配線等の作業を考えていましたので、いつでも動かせます」

「よし、何名かを竜之介のサポートに回してくれ。この書類の山を片付けてもらいたい」

「ではぁ、私の配下の五名をお使いください」

 ブルーの綺麗な髪を揺らしながら甘美がマントを広げると、彼女の背後に片膝をついた五体の青髪の量産型が青いメイド服姿で現れる。

「竜之介はこの量産機五体と書類を片付けてくれ。俺はこの国の幹部達に話を聞いてくるから」

「我はもうやりたくないのだが」

「わがままを言うな!」

 緊急事態と言うから飛んで来たら、書類が処理しきれないってなんだよ。来る必要もなかったのではと思いつつも、竜之介の言い分も聞き入れないこの国の幹部達も気になる。

 俺は竜之介の家を後にし城へ向かった。


 ◆◆◆◆◆◆◆◇


 城内の会議室に幹部達を呼んだ。

 頑丈そうな木製の長机の片側のど真ん中に俺が座り、旨美達は俺の背後に一列に並んで立っている。

「何で立ってるの。座れば?」

「私達がご主人様と同列に並ぶなどおこがましい。ここで十分です」

 正直、後ろに立たれるのも緊張するんだよな。

 向かい側には四人の幹部が座っている。

 国防組の組長、狼人族ガウ・マスタード。

 行中組の組長、猫人族ニャン・ポンズ。

 総労組の組長、猿人族ウッキ・ゴマダレ。

 法形組の組長、猿人族モキー・ミソダレ。

 他にも財務と外交の組織があるのだが、組長が元国王に付いて行ったので不在となっている。

「ようこそお出で頂きました。タマガー様。して、その後ろの方々は?」

 マスタードが旨美達を怪訝な表情で見ている。

 しかし、何と答えていいのか。正直に、炊飯器が遠隔操作する人型の発電機が自律モードで動いている。えーと、伝わるかどうか以前に、それで合っているのかな。いや、そもそも電気の無いのだから、発電機が理解できないか……。

 悩んでいたら旨美が自己紹介をしてくれた。

「私たちは多摩川様に仕える機械人形だ」

「機械人形? よくわかりませんが人ではないのですか?」

「そうですね。今は魂の込められた人形とでも理解しておいてください」

「何故人形なんかをお連れに?」

 俺の方を見て答えを聞いてくるマスタード。だが、俺が口を開く前に旨美が答える。

「お前らより、数倍能力が高いからだ。ご主人様に背く時は、思い描く数倍の覚悟をするんだな」

 苦美が一歩前に出てテーブルの端を掴み、握りつぶす。

「もっとご主人様にふさわしい机に買い替えようぜ」

 向かいの幹部連中が青ざめる。

「苦美、下がってろ」

 苦美は一歩下がりながら、「名前呼んでもらった」と呟いていた。

「共の者がすいません。それより本題に入りましょう。竜之介に呼ばれてきたのですが、書類がすごいことになっていますね」

「私どもとしては以前と変わらぬ量なのですがね」

 マスタードは自分たちに非は無いと言いたいのだろう。

「前国王はその量をこなしていたという事ですか?」

「斜め読みしてほとんど理解しないでサインしているようでした。竜之介様は真面目過ぎるのですよ」

 ポンズは自ら書類を届けに行った時の様子を語る。

「それ問題起きるでしょ?」

「まあ、起きますが、責任はサインをした王になります。大抵の事は有耶無耶にしてしまいますよ」

 ゴマダレが、後始末の手伝いを何度もしたと語る。

「なんか上げなくていい書類まで上がっているようでしたが?」

「それは前国王の命令でして、法にも組み込んでおります」

 ミソダレが前国王から要望があり法律に組み込んだと。肝っ玉の小さい国王だったので、何か裏でコソコソやられるのが嫌なようだ。

「なんでもかんでも書類っで上げさせて、ほぼ読まないって意味ないじゃん。やめろよ」

「しかし、法として組み込んでしまっている以上、私達で変える事はできません」

 そりゃそうか。法形組らしい意見だ。

「じゃ、俺が止めろと言えばいいのか?」

「そうですね。正確にはタマガー様が正式な国王となって、ですね」

 うっ。そうきたか。どうしよう。三年間竜之介に我慢して……もらえないよな。

「良いではないですか。ご主人様が国王になられれば、私達も動き易くなります」

 人が必死に悩んでいるのに、旨美の奴があっさりと言ってくれる。

「そう言うけどな、旨美。俺はまだ学生で、学校に通っているんだよ。こっちに住めるのは卒業してからだよ」

「ここに妹達を残して管理させます。ご主人様は数か月に一度、状況を確認しに来て頂ければと思います」

 数か月に一度ならなんとかなるか。この娘達の能力も高そうだし、ついでにこの国について色々と調べておいてもらうのもいいか。

「半年毎くらいでいいのかな?」

「惑星オーデンの一年に合わせた方がいいでしょう。一年が十か月なので、半年は五か月になりますね」

「うーん。他になんも思いつかないし、そうするしかないか。幹部の皆さんはどう思いますか?」

 少しの沈黙の後、マスタードが口を開く。

「王が不在という状況は良くないので、即位して頂けると助かりますね。タマガー様に連絡したい場合はどうすれば?」

「妹達に伝えてもらえばよいかと。私を介してご主人様に伝えます」

「分かりました」

 幹部のみなさんも納得したので話が一気に進み、即位式までの日程が決められる。

 細かいことは分からないので、幹部連中に任せることにした。

 旨美以外の人型発電機がここに残ってサポートしてくれるので大丈夫だろう。

 即位式は二か月後。約一か月後、様子見にここへ来る予定。その時に詳しい予定を決めることになった。


 竜之介にはさらにサポートを五人付けることで、あと二か月間我慢してもらう。

 まあ、話は終わったので帰っても良かったのだが、高い金を払ってここまで来たので二、三泊する事にした。竜之介の仕事ぶりや街のを散歩して過す。

 帰りは一人でゆっくり帰ろうとしたら旨美が駄々をこねるので、仕方なく二人で帰ることになった。

 当然、乗船チケットは二級。

 これから何往復もするのに無駄金を使ってられないのだ。

 友人へのお土産に牛肉百%のハンバーガーを買って地球へ帰った。


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