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23.派遣

 多摩川菊斎の自宅には九台の炊飯器があり、常に全ての炊飯器が稼働している。

 見た目は円筒形のよくある炊飯器だ。

 四台の白い炊飯器以外は高性能の人工知能を搭載していて自我に目覚めている。

 真紅の炊飯器がリーダーで名を旨美という。彼女が従える、青色、黄色、桃色、緑色の炊飯器が白い炊飯器を補助機として使っている。

 ただし、多摩川は自我があるのは赤い炊飯器だけだと思っている。

 そんな炊飯器達が自分の電源を確保するために発電機を作った。

 指向性ワイヤレス給電式人型発電機。

 炊飯器が遠隔で操作し、遠隔操作できない距離になった場合は自律行動に切り替わる。

 人と同じように食事をして発電を行い、黒い立方体の充電器へ電気を送る。


 ◆◇◇◇◇◇


 イメージ空間の中で五個の炊飯器が集まり、コの字なっている。

「田中のサポートに一台作ることになった」

 いつもの如く、旨美の発言から炊飯会議が始まる。

 議題に上がっている田中とは言うまでも無く、訪問販売員の田中さんだ。

 白鳥座方面にある惑星マゥ・カリマッカ星に本社がある、白鳥商会の訪問販売員だ。

「田中にサポートつけて、メリットあるのか?」

 緑色の炊飯器がバタバタと動く。苦美だ。

「私もそう思う。田中に付けるくらいなら私が他の検証に使いたい」

 桃色の炊飯器、塩美もあまり乗り気ではないようだ。

「田中には異次元食堂の食材調達を任せている。仕事ぶりは確認しておきたいな。出来れば、その作業を引きとってもいいんじゃないか?」

 黄色い炊飯器の酸美は蓋をパタパタと開閉する。

「私達の味覚はあくまでもデータでしかないんですよねぇ。時に人間の味覚は私達を超えますぅ。人の手が欠かせないのであれば、田中に任せた方がよいかと思いますぅ」

 くるくると回る青い炊飯器の甘美。

「なら、田中には食材調達専門になってもらった方がいいんじゃね? 訪問販売員は止めてもらおうぜ」

「苦美。田中の本職は訪問販売員ですよ。奪ってはいけません」

「酸美の言う通りですぅ。それに田中の人脈も侮れませんよぉ。サポートくらいが丁度良いのかも知れませんねぇ」

「甘美。それならダミアンの方も気になる。あの研究室は使える」

「ダミアンか。依頼が一段落してから音沙汰が無いな」

 ダミアンは白鳥商会の研究開発している。第四技術研究部の部長だ。

 ひょんな事から多摩川に試作品の能力強化装置を埋め込んだ人物であり、旨美の処理能力を上げる依頼も受けた。

 そんなダミアンだが、依頼が達成してからぱったりと来なくなった。

「そうですねぇ。ダミアンの所にも一体送り込みたいですねぇ」

「でもよ。俺には目的が今一つわからねえ。最終的にどうするんだ?」

 みんなの意見を聞いていた旨美がまとめに入る。

「惑星オーデンが発展をするに当たって、白鳥商会の支店があるといろいろと調達するのに便利でしょう。田中とダミアンの元に付かせて色々工作しましょう」


 ◆◆◇◇◇◇


 カーテンの隙間から光が差し込み、多摩川の顔を照らす。

 ゆっくりと目を開け枕元においてある目覚ましを見る。

 アラームの鳴る時間より少し早いが、ゆっくりとベッドから出てカーテンを開ける。

 晴れ渡った空。清々しい朝を迎えた。

 顔を洗いに台所へ行く途中の居間で、人型の旨美達が直立して並び、挨拶をしてくる。

「ご主人様、おはようございます」

 赤いチャイナ服を着た人型旨美だ。

「ご主人様、おはようございます」

 赤いメイド服の量産型一号機。平瀬の専用機で通称マリーだっけ。

「ご主人様、おはようございます」

 あれ? 増えてる。そういえば、二体増やすと言っていたな。では、これは量産型二号機か。やはり、こいつも赤いメイド服を着ている。

「ご主人様、おはようございます」

 すると、これは三号の実験機だな。こいつも赤いメイド服を着ている。

「ご主人様、おはようございます」

 じゃあ、こいつはなんだ?

「ご主人様、おはようございます」

 ……。

「おい、予想以上に増えているぞ。どういうことだ?」

「切りよく量産機を五体にしました。量産機の名前は番号にしています。

 ちなみに<赤の一号>は平瀬専用機で通称マリー。<赤の二号>は田中のサポート機でレイニー、<赤の三号>はダミアンの元へ行かせます。通称はレイミー。<赤の四号>と<赤の五号>は当面は実験機としています」

「『赤の』っているの? みんな赤じゃん」

「赤は私のパーソナルカラーですから、こだわりたいのです」

「ふーん。あと、ダミアンさんの所にも送るの? いらないんじゃないかな」

 ダミアンさんに伝わっているのか心配だ。

「白鳥商会の技術研究部はレベルが高いので、押さえておいて損は無いと思います」

「あんまり迷惑をかけるなよ」

「大丈夫です。むしろ仕事が捗ると大喜びするでしょう」

 旨美の自信に比例して俺の不安が高まっていった。


 ◆◆◆◇◇◇


 白鳥座方面にある商業惑星マゥ・カリマッカ星。その星に白鳥商会の本社ビルがある。

 鏡張りの大きな建物で、その高層階の一室にダミアンがいた。

 髪は黒でオールバックにしている。目は切れ長。茶色のスーツに身を固めている。

 第四技術研究部の部長であるダミアンは個室を与えられていた。

 大きな椅子に座り、背もたれに体を預けている。次の開発について考えていた。

 大きな机の上にある内線電話が鳴った。うわの空で受話器を取る。

「はーい」

「部長、本日付で配属になった中途採用の方が着ました」

 秘書からの電話だった。

「ん? ああ、通していいよー」

 見た目に似合わず、ノリは軽い。

 ダミアンは第四研究室に一人配属になると言われていたのをすっかり忘れていた。

 そういえば今日だったな。使えない人なら他の部署に行ってもらおう。

 そんな事を考えていると、ドアがノックされる。

 秘書に連れられてきたのは小柄な女性。赤い長い髪を後ろで縛り、赤いシャツに紺のスーツという姿だった。

 秘書が部屋を出ると、配属になった女性が挨拶をする。

「はじめまして、多摩川レイミーです」

 何か言いようの無い圧迫感を感じる。

「だっ、第四技術研究部へようこそ。部長のダミアンだ」

 だが、レイミーは室内をキョロキョロと見回し、ダミアンの方を見ていない。

「き、きみ――」

 不審に思い、注意しようとした所で、レイミーがダミアンの方を向き目が合う。

 レイミーが口の前に人差し指を立てて、「シーッ」と小さく言う。

 それから室内を動き回り、何かを取ってきた。それを机の上に置く。

「無用心だな。こんなに盗聴器を放置しておくとは」

 直径約三センチメートルのボタン状の物が五、六個ある。

「盗聴器?」

 ダミアンは思わず口に出してしまい、慌てて口を塞ぐ。

「全部壊しておいた。話しても大丈夫だ。ん?」

 レイミーは机の上の盗聴器の山の中から一つ取りポケットにしまう。

「ははは。これはうちのだった」

「え?」

 ダミアンは驚きの色を隠せない。

「君は一体……?」

「名前から推測できるだろうが、私は旨美様が遠隔操作する人型発電機の量産型だ」

 ダミアンはこの女性が後半何を言っているか理解できなかったが、あるワードに引っ掛かる。

「うま、み……旨美様! 多摩川さんの所の。しかし、遠隔操作といっても……」

「今は補助人格モードで動いている」

「補助人格モード?」

「人間にもあるだろ? 『下半身は別人格』という言葉を聞いた事があるぞ」

「え? いやー、それは何か違う気がしますね」

「そうなのか。補助人格は遠隔操作のサポートをする機能なのだが、遠隔操作が出来ない場合にはそれが行動目的に従い自律行動するようになっているのだ。プログラムのベースは旨美なので、旨美の分身と思ってもらっていいぞ。記憶データは後で共有する」

「分身ですか。そ、それで、何故ここに?」

 ダミアンは懐からハンカチを取り出し、暑くもないのに吹き出る汗を拭く。

「ご主人様が三年後に惑星オーデンで一国の王となる。その為に今のうちから色々と準備をしておこうと思っているのだ」

「えーと、話が見え無いのですが……」

「私が竜之介に『ご主人様の為に何かもってこい』と言ったら、オーデンという星の一国の王族を排除してきました。その後釜がご主人様ということです。ただ、ご主人様はまだ学生なので卒業後に正式に王となり、その地を統治します。その国の名はユー・デ・タマガー王国と言い、多摩川の国という意味です」

 レイミーが天を仰ぐように両手を広げ、恍惚の表情を浮かべていた。それを見ていたダミアンは一歩距離を置く。

「そ、そうですか。しかし、オーデンという星は聞いた事がないですね」

「その星は文明レベルが低くて帝国の傘下に入っていません。知名度は低いです」

「レベルの低い星ですか。大変でしょうね」

「ええ。電気がまだ無い星ですから。足りない物が多いです」

「電気が無い……あー、なるほど。それで発電機ですか。しかし、色々足りないとなると、私より田中の方が人脈も多いのでいいのでは?」

「田中には既に一体送り込んでいます」

「あっ、そうですか……」

 ダミアンが非常に残念そうな表情になる。

「まあ、そんな顔をするな。出来れば三年後に白鳥商会オーデン支店を出すのが目標だ。その時には、ダミアン、あなたが支店長ですよ」

「田舎惑星の支店長って、完全に左遷じゃないですかーーーーー」

 青ざめるダミアン。

 にっこり微笑むレイミー。

「ふっふっふっ。確かに何もない辺鄙な所のようです。だからこそ狙い目なのですよ。発展するのが目に見えているのですから」

「発展しますか?」

「します。いや、ご主人様がそんな状態で放置するわけがありません。必ず発展するでしょう。しかも、国のトップなのですから、思い描く方向へ発展させられるのですよ」

「確かに」

「それに、あなたはご主人様の知人であり、発展に必要な技術力なども提供できるのです。支店の立ち上げや研究費等の金銭的援助も期待できるでしょう。そして、私達が普通に使っている物が、現地では神器の如く思われる。売れないわけが無い。バカ売れです」

「なるほど」

「さらに、惑星オーデンは四つの大国が支配していますが、ご主人様がこれを方っておくわけがありません」

「と言うと?」

「ご主人様が惑星オーデンの支配者となるのです。白鳥商会としてインフラにも関われば、莫大な利益に繋がるとは思いませんか」

「やらない理由が見つかりませんね。先行投資は抑えられ、商品は必ず売れる。発展当初から関わっていれば、途中から参入してきた者達よりも上に立てる」

 ダミアンは夢が広がって、鼻息が荒くなっている。

 ただ、多摩川はまだ学生でユー・デ・タマガー王国国王でもなんでもない。しかも、国家予算がどれくらいあるのかも知らない。

 話の大半が炊飯軍団の妄想によるものだが、真しやかに語られたダミアンは疑いもしなかった。


 ◆◆◆◆◇◇


 量産人型発電機二号、通称レイニーは白鳥商会の訪問販売員の田中と行動していた。

 青一色という独特な服装をしている田中に合わして、レイニーも青いスーツ姿だ。ただ、田中はシャツも青いが、レイニーは赤い色のシャツを着ている。

 人通りの少ない路地を歩く二人は非常に目立つが、人とすれ違うのも稀なので気にしない。

「今日はこの先の今井さんを訪問した後、東北へ移動します」

 田中は約一か月かけて日本中の客先を回るらしい。

「一軒しか訪問しないのか?」

「はい。関東エリアはその一軒を除いて全て訪問しました。まあ、そう言っても十軒程度しかないのですが」

「それくらいなら一日で回れそうだが?」

「いえいえ。地球の交通機関は遅いので、関東エリアを全て回るのに五日はかかります」

「そんなに遅くは無いだろ」

「交通機関が発展している星では、全て自動操縦ですよ」

 と、田中は力説し始める。人が運転するから多くの問題が起こり、それが移動速度を制限しているのだと。

 全ての自動車が文字通り自動操縦なら、乗り物同士が連携して動ける。どの車が何所で曲がるかなども分かるので、車線変更も高速でスムーズに行える。

 全ての車にはカメラが取り付けられて、人のいる場所がわかる。乗り物同士が情報を連携しているので人の行き交う状況も判断できるのだ。また、街中にある防犯カメラも、その情報を連携しているので、かなり詳しい情報がえられる。地域の情報や人の行動を予測し、スピードを変える。

 高速道路なんてサーキットの如きスピードで車が行き交っているらしい。

「事故ったら洒落にならんな」

「事故は年に数回起きますね。それでも、人が運転するより断然少ないですよ」

 事故を起こす乗り物は予兆があり、周りの乗り物と連携して被害を最小限にするので、大きな事故はほぼ起きないそうだ。

「だが、かっこいい車を運転したい人もいるだろう。全て自動運転というのも問題がある気がするが」

「そんな事はありません。むしろ、人が運転する乗り物があると、それに合わせた対応をしなければならないので、自動運転処理が複雑化して事故が増えます」

 人という生き物は予期しない行動をとるので、全てに対応することは出来ない。しかも、あえて迷惑な運転をする者までいる。人が運転するから渋滞や事故が耐えないのだと田中は言う。

 では、運転したい人はどうするかというと、それに特化したテーマパークがあるらしい。それこそ、街中を模した道を走る所やレーシングカーでサーキットを走る所など色々あるらしい。

「まあ、移動が遅いとしても、もう少し多く回れるだろ」

「そんな事無いですよ。移動だけで終わってしまう日もありますから」

「移動だけで一日? おかしくないか?」

「就業時間は四時間半なので妥当かと思いますが」

「えっ。一日の就業時間が四時間半だと?」

「職種柄、残業は無いので十時始業で十五時半終業です。お昼休憩は一時間です」

「もっと働けよ」

「地球人が働きすぎなんですよ。それにパートナーマシン制度があるので、普通に生活するくらいの収入はありますよ」

「パートナーマシン制度?」

 国が作業用のロボットを格安でレンタルしていて、そのロボットが働いた分の給料が支払われる仕組みらしい。

 生まれると付与される識別番号を作業用のロボットと紐付けし、生まれた時からロボットが代わりに働いて、自分の生活費を稼ぐ仕組みらしい。

 ロボットは人型汎用の物から専門職に特化した物まで色々あるようだが、国が作業の割り振りを決めているので選ぶ事はできないらしい。その代り、ロボットによってレンタル料が変わることは無いし、労働賃金も一定となっている。

 ロボットが代わりに働いて得られる代替労働賃金からレンタル料や燃料、メンテナンス等の雑費を引かれた額が給料として支払われる。

 色々引かれるのだが、人よりも休憩が少なく、正確に働き続けるので、収入もそれなりにあるそうだ。

「それなら、働かなくてもいいのではないか?」

「それだけでは生活が出来るギリギリの給料しかないので、ほとんどの人は趣味を兼ねて何らかの職に就いていますね」

 ちなみにレンタルできるのは一人一体のみ。二体目を買うこともできるが、リスクが大きいので購入する人は稀らしい。

 当然、ロボットには人工知能が搭載されている。

 そんなロボットが蔓延る世界だと反乱を起こして人間を排除する物語が思い出されるが、それが起こることは無い。

 ロボットはお金を使わない。作った物を消費するのが人間であり、それにお金を使う事で経済が動く。経済を動かす輪の中に人間は必要であり、ロボットもその輪の中にいると理解しいているからだ。


 ◆◆◆◆◆◇


 興味深い話を聞きながら歩くこと数分、なんか小汚い二階建てのアパートが見えてきた。

「あのアパートの二階に今井さんが住んでいます」

「なかなか年季の入ったアパートだな」

 アパート横の鉄製の階段を上り、一番端の部屋へ向かう。

 インターホンを鳴らし、待つこと数十秒。

「だーれじゃ」

 かすれたジジィの声でようやく返事がきた。

「どうも。訪問販売員の田中です」

 さらに待つこと数秒。ドアがガチャッとゆっくり開く。

 腰の曲がった小柄な爺さんがドアから顔を出す。

「久しぶりじゃな。まあ、入れ」

「お元気そうで、何よりです。お邪魔します」

 今井の先導で部屋の中に入る。

 間取りは八帖くらいの和室が一部屋で、あとは小さな台所にユニットバスとシンプルな部屋となっている。

 部屋の中央にある炬燵に入ると、今井は「お茶しかないがいいな?」と言いながら台所へ行った。

「久しぶりと言っていたが、定期的に訪問してるのではないのか?」

 レイニーは今井の後姿を見ながら、田中に確認した。

「ここは二週間ぶりですね。時間の尺度は人それぞれですから」

「なるほど」

 細かい事を気にしていたら、多くの人と付き合ってられないかもしれない。


「お嬢ちゃんは初めてだな」

 今井がレイニーの前にお茶を置く。プルプルと震える湯飲みを掴んだ手が目の前をゆっくりと動いていく。今にも零しそうで目が離せなかった。

「レイニーと申します。田中に付いて勉強させてもらっています」

「そうか。頑張れよ」

 今井はそう言いながら田中の方にお茶を置く。あれだけ震えながら一滴も零さないのは、ある意味神業かもしれない。要らないスキルだが。

「で、今日は何のようじゃ。新製品でも出たんか」

 今井さんはお茶をすすりながら聞いてきた。

「いえ、特に新製品はありませんね。何か欲しい物や困った事などないかと」

「そうじゃのう……」

 目を閉じて考え込む今井。微動だにしない。

「い、今井さん?」

 レイニーは少し心配になり声を掛ける。

「んがっ。あー、なんじゃたかのう」

 寝てたのか。大丈夫なのか、この爺さん。

「今井さんは一人暮らしなのか?」

「ワシは一人暮らしじゃ」

「身内は?」

「んー。息子が、こ、小型星間輸送船の運転手で、み、み、密輸を――」

「じいさん! もういいぞ。聞かなかった事にしよう」

 機械の体なのに冷や汗が出そうだ。田中が笑ってる。

「田中。笑い事じゃないのでは」

「大丈夫ですよ。もうパクられて、お勤めしていますから」

「ダメじゃん」

「腕はいいですよ。仕事も真面目にこなしますし」

「知り合いなのか?」

「食材の調達に関わってもらってたので」

「あうっ」

 と言うことは異次元食堂絡みじゃないか。聞かなかった事にしよう。

 三十分ほど雑談をして今井宅を後にする。

 老人の一人暮らしは心配だが、今井にも能力強化装置が埋め込まれていて、体調に問題があった時は白鳥商会のコールセンターに信号が送られるらしい。

 田中が客先を定期的に回っているのは単に商品を売る為だけではないようだ。

「訪問販売員も大変だな」

「やりがいがありますよね」

 田中は思いの外、笑顔になっていた。


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