絶望の木霊
それから2日程王様方は話し合い議論し合いながら過ごして居た。
リゼッタ様も他の方々も眼の下に隈が出来るほどには議論したらしい。
そして今日、私はそれぞれの王達を国に送り届ける。
王様方に頼むと頭を下げて、宜しくお願いしますと念を押して。
王様も女王様も今はあの時の様な欲の色した瞳は無い。
決戦は明日
出来れば触手らしき物が開かず、そして動かぬ内に...
ただ一つ決めている事は、夫達にも絶対に悟られない様に最後は女優になり切る。
今日の昼には私達はガレスティアの実家に飛ぶ。
ママ様達の方側から攻撃を始める為にだ。
その方がルトパパ様がママ様の元に帰り易いからね。
そして次の日には 各々の国の人達は森の中程に集結し始めるだろう。
朝食後執務室に行きリゼッタ様に挨拶する。
「アリーすみません。貴女方にばかり背負わせてしまう事許して下さい」
そう言ってリゼッタ様は祈るように手を組み頭を下げていた。
「本当ですよ!でもリゼッタ様帰ってきたらこの国の住人として受け入れてくださいね。それにまだこの国の問題を私は何も解決してないんですから...。この国の住人に成っても長生き出来ないんじゃ意味ないですからね」
「そうですね、貴女ならこちらからお願いするべきでしょう?一緒にこの国を良い方向に、民達の笑顔がいつでも見られる国にする為に、これからも知恵を貸してください。私の親友として、家族として」
「ハイ、リゼッタ様。では行ってきます!」
「気をつけて。夫君方もアリーを宜しくお願いします」
「「ハイ」」
私達は『瞬間移動』でガレスティアの実家に帰ると、その夜もう一度作戦の確認をし、後は旅の報告。
そして住むべき地をキーセントシアに決めた事をママ様達に告げた。
「そうなのねぇ。でもまぁアリーちゃんはいつでも直ぐに戻って来れるし、他の方達よりママは寂しくないわぁ。これで離れてても話せたらもっと寂しく無いのにねぇ」
「流石にそれは...。ん?試した事無いなぁ*ママ様聞こえる?*」
「!あらあら、アリーの声が聞こえたわぁ頭の中で」
「は、ハハ もう何でもアリアリ...今更か!」
結論、話しかける前に顔を思い出しながら名前を考えないと届かない。しかも、話しかけてる時は他の事は出来ない。つまり無防備状態になっちゃうって事がわかった。
「でもまぁ、これでいきなり現れてビックリさせる事も無くなるよね」
「まぁよ、今更アリーが何しても驚ろかねぇな。アリーだからな、で終わっちまうゼ」
「アハハそうだな、俺もそう思う」
「そうねぇ、今更よねぇ ふふふ」
「「「ハハハ」」」
そんなこんなで、食事をしながら楽しく過ごしリビングで皆旅立ち前にしたように集まり雑魚寝する。
あの日からそんなに月日は経って居ないのに長い旅をして来たような気がする。余りにも沢山いろんな事が有り過ぎて。
あれから一年も経たない内に私には2人の夫達が居る。
住むべき地も決めた。
あれ?これってフラグじゃないの? 気のせい 気のせい!
朝食後 昼から始める事になってるので各々武器のチェックやする事の確認をしていると、ドアが激しくノックされ「伝令!伝令です!」と叫ぶ声がした。
私は直ぐ様各国の女王様や王様方に話しかけ、ドレイドの触手が開き始めた事を伝えた。
最初は急に話しかけた事で驚いて居た方々も、直ぐに己の成すべき行動を宰相達に指示し始める。
女王様達は前線に出るらしい。王族とは言え女だから。
前線に出れない王様の居るこの国の前衛を守るのはママ様達だ!
私はまずママ様に魔力の受渡を目一杯し(ゼスの言っていた通りでママ様の倉は半端なかった)パパ様ズ2人にも『身体強化』をかけると、夫達とルトパパ様を『瞬間移動』でドレイド近くに運び、それぞれに『身体強化』『障壁』をかけて行く。
ここまでは予定どおりだ焦るな、焦ったら失敗する。
失敗は許されない最終決戦なのだから。
きっと私はこの日のためにこの国に産まれ、こんなチートな力を授かったんだ...
だとしたら...そうした神様が居るのなら、ドレイドを倒しても良いと思っているのだと、そういう事なのだと自分に言い聞かせた。
そして今、一発勝負の作戦開始だ!
各国の女性魔法師達が一斉に触手に向かって攻撃を始める。
各方向から火柱や雷の轟音が鳴り響く。とうとう始まったんだ...
小さな町の人達もこの日の為に各国の首都近くの町に集結し、女性達を囲む様に男達が盾になり、或いは魔力の受渡をしながら女王様の合図に合わせて攻撃をする。触手の動きに合わせるかの様に。
私は夫達の頬にキスをし夫達から返してもらう。そして「おはようの挨拶まだしてなかったね。ルーク、ゼス 張り切って行きましょう!」
「りょーかい」
「おうよ」
まず、ルトパパ様がルークを中央に向かって飛ばす。
やばいねルトパパ様。
ゼスの言った通りもの凄い勢いで飛ばされるルークは大丈夫かなぁ?
ルークは着地後直ぐに剣に青い炎を纏らせ、徐ろに端まで駆け抜けると勢いよく突き刺し走る。
「もっとだ!もっと俺は速く走れるもっと速くだぁああああ うぉおおおお」
ルークの叫びが聞こえてくる(ルークどうか気をつけて...)
頃を見計らってルトパパ様が今度はゼスを、そして私をそれぞれ飛ばす!
ハハハ、凄いGが掛かる!身体がバキバキ言ってるよ!
*ルトパパ様、有難とう後は任せて下さい。ママ様が心配です。直ぐに戻って*
直後走り出すルトパパ様の姿を眼の端に認めながらゼスに捕まる。『遅延』
「アリー、ヤベェ!あいつ南側の触手がルークに向かって動いてるぞ」
「えっ!?」
「このままだとルークが捕まるゼ!」
「ルーク!!」
その時南側から大きな閃光が触手に突き刺さった!
「これは...」
ゲートルアの女王様の魔法?その方向には女王様が目の前に手をかざして居るのが見えた!
*女王様有難う*
その声が聞こえたのか女王様は大きく手を振って居た!
私は大きく頷くとゼスと中央の切り口に降り立った。
「ウオォォォォォ」叫び声と共にゼスが盾を出し突き刺し、そして両手を横に開き始めた。
「アリー、クッ、悪りぃそんなに長くは持ちそうもねぇ、早めに頼むゼ」
「うん、わかった」私は穴の中に両手を突っ込み『火球!』
想像する大きくなるその様子を「もっともっともっと〜〜〜〜いっけ〜っ」
ゴゴゴゴゴゴ ズズン ジジジジジジ 何とも言えないような焼け焦げる匂い。
言ったそばから駆け寄ってきたルークとゼスの手を掴み『瞬間移動』
爆発音はするが....わずかに動きは鈍ったもののしばらくすると触手がまたズズッ...と動き出した。
「ダメ、なの?あの程度では届かないの?」
周りからは絶望の声が木霊していた。
次回絶望の先




