南と北の女王様
夫達も私も昨夜は余り眠れなかった。
と言うよりも眠る事すら勿体無いと思ったの。
これから何日か後には嫌でも作戦を実行する事に成るから。
執務室に向かうと、もうリゼッタ様は来ていた。
「どうやら昨夜は余り眠れなかったようね。無理してでも眠るようにしないと身体が持ちませんよ。私が言えた義理では無いけれど」
「昨日は色々夫達と作戦を考えて居たもので。大丈夫ですよ今日は寝ますから。心配おかけしてすみません」
「良いのです、貴方がたに頼らなければならないのが面映ゆいだけなのです」
「今日の予定としては南と北の女王をこちらに拉致して来ます。宜しいでしょうか?かなり癖のある御二方ですので御気分を害されると思いますけれど...」
「大丈夫ですよ。アリーが頑張ってくれて居るのですもの。私もいつまでも大人しい女王では居ません。言いたい事は言いますし、説き伏せてみせます」
「お任せします、それでも駄目なら私がやりますので!」
「ふふふ、やるのですね。説き伏せるのではなくて...なのね。アリーの手こそ煩わせないようにしないといけませんね」
そんな話をリゼッタ様と交わした後、わたし1人で南に向かうからと言うと、夫達からは猛反対。女王と宰相を連れて来なければならないし、一度に2人しか運べないのだからと言ったのだけれど。
2人を連れゲートルアの執務室へ。
この前と違うから一応呼び出しは無しの方向で。
部屋を出ると兵が居たので声をかけると思いっきり叫ばれた。
まぁやらかしたばかりだし、しょうがないけど、これで言わずとも女王様を連れて来てくれるでしょう。
なので、執務室で待つ事にします。
案の定しばらくするとバタバタと走って来る音が聞こえて来る。
バタン!「そ、そなた此度はなんじゃ...」
「なんじゃじゃ無いよね?鳩来なかった?返事ないからわざわざ来たのに」
「ひっ!バーテル!は、鳩は来てたのか?」
「鳩!は、鳩は来て居りませぬ。私の元に連絡は来て居りませぬので」
「来てないの?4日程前に飛ばしたらしいからまだなのかな?」
「4日では、き、来ませぬ。そのような速さで飛ぶ鳩は居りませぬので」
「成る程、んじゃわたしから報告するね」(もうさ、タメ語で良いやと思って。どんなに取り繕ったところで、もうすでにやらかしてるからね)
そして、ドレイドについて粗方話し終えると直ぐに西に飛ぶよと告げた。
女王も宰相さんも見るからに顔色が悪くなったけれどね。
宰相さんが少しだけ待って欲しいと言うので今は執務室で待ってるところ。
そりゃそうだよねトップ2名がいきなり居なくなったらそりゃあ困るよね。
「大変お待たせしてすみませぬ、今用意が整いました。直ぐに西に向けて出発致します」
「は?いや待って、それだと時間がかかり過ぎるでしょ?だから私が来てるのだし。女王様と宰相2人なら『瞬間移動』で飛びますから直ぐに女王様をここに呼び戻してくれます?」
「へっ?あ、は、はい今直ぐに」
「先に女王様と宰相さんを運んじゃうね。すぐ戻って来るからまっててね」
「「おぉ」」
そして私は南の女王様達を西のキーセントシアに連れて飛んだ。
「すごいものじゃのぉ。あっと言う間にキーセントシアに着いてしもうたの。じゃが少し目眩がするのぉ」
「リゼッタ様後はお願いしますね」
「済まないわねアリー、宜しく頼みます」
「はい、行って参ります」
また南に一度戻り、夫達を連れて今度は北のロスタリアへ...
ここでも又思いっきり怖がられたけど、無視して女王様に説明した。
「そうですか、その様な自体に成っていたとは...わかりましたトリエノール出発の準備を!」
「いえ、それでは時間が掛かり過ぎますのでわたしがお2人をお連れします。 ですので、急ぎ宮殿を留守にする準備だけでお願いします」
「わかりました、トリエノール直ぐに配下にその旨を伝え、準備が出来次第教えよ」
「畏まりました女王陛下」
少し変わったかな?女王の言葉が柔らかいね。
よし!これで2カ国OKだね。
後はガレスティアのみだけどママ様王を説得出来たかな?
北の女王様達を西へ送り、再びリゼッタ様に任せ、私達はガレスティアの実家に飛んだ。
思ったより北の女王様は行動力が有る人らしい。
あの事が有った後、国民から女王様に改善するように要望が殺到した事で女王様も大層反省したそうだ。
国民が居るからこその国だとわかって貰えたようで良かったよ。
家に入ると「アーちゃん!お帰り!」
「エド!ごめんねこの前逢えなかったね」
「アーちゃん、大丈夫?アーちゃん死なない? ねぇアーちゃん」
「エド、大丈夫だよアーちゃんは死なないからお利口さんにしててね」
「ルーちゃんも、ゼスオジちゃんも大丈夫だよね?」
「あぁ、大丈夫だよ。これが終わったら又、遊ぼうな」
「エド、お利口さんにしてねぇとお土産ねぇからな。しかしなんだなぁやっぱりお兄ちゃんではねぇか」そう言ってゼスはエドの頭をグリグリ撫で回してた。(普段は自分からオッちゃん言ってるのに気にしてたのね)
「まぁまぁ入り口で何をいつまでも。早く中に入りなさいなぁ」
「はいママ様。ところで王様の方はどうでした?」
「ママが行ったのに嫌と言う訳ないでしょう。安心して連れて行きなさいなぁ」
「プッ、はいママ様連れて行きます。でも、その前に出来ればママ様とパパ様達も一緒に西に来て欲しいのですがどうですか?」
「それは構わないわよぉ、エドも良いかしら?どうせなら西の方が安心出来るから」
「はい、勿論です」
先ずはママ様達を西に連れて行く。
さぁ、最後の王様を拉致りに行きましょうか!
次回四国会議




