泣くも、笑うも 紙一重
アリーにとってこの街はどう成るんでしょうね?
首都キーセントシアに着いた。
ここは今まで通って来た町と全然趣が変わっている 。
今まで通った 町々は木や石で出来ており、安らぎや暖かさを感じたのだけれどこの街は……………。まるで冷たい要塞だ。
ゆうに17、8mは、有りそうな鉄の門に鉄の壁…街全体をスッポリと覆い隠す様なそれらは、至る所ボルトが剥き出しに成って居り、冷たい印象を受ける。
この街の女王陛下があの絵画の少女?一体どうしてこう成った!!
門番さんにカードを見せて街に入るが、成る程この街は鍛治の街だったんだ。
それにしても、皆んな顔色が余り良くない。
それもそうだろう。空気が淀んでいて目は痛いし、喉がいがらっぽく成る。
街に入って直ぐにこれなのだから、ここに住む人たちは健康被害が大きいでしょうね。
これは、どうしたものだろう....。
取り敢えずはギルドへ向かう。
受付に向かい、いつもの様に討伐報告をしカードを提出する。
やはり、ギルドの受付の叔父さんも見るからに顔色が良くない。
「私は旅立ちで国を回って居ます、女王陛下に謁見は可能でしょうか?」
「少しお待ちを、今問い合わせて見ますが、御加減がよろしい様で有れば出来るかとおもいますよ」
「分かりました、お待ちしてますね」
やはり病弱なんだね。
「2人共、この街は長居するのは危険かも知れないね」
「そうだな、さっきから喉が痛い」
「俺は目が痛いゼ」
ギルドの人によれば女王陛下の様子はその日その日で変わるらしく、申し訳ないがその日毎に宮殿に行き、直接聞いてはくれないだろうか?と言われたよ。
大丈夫か?この国...。
三人連れだってギルドで教えられた宿屋に向かうが、路も整備され歩きやすく、店も綺麗にデコルテされているのだけど、どの店も煤けて居る。
1日でこんな風に成るのかなぁ?だとしたらかなりヤバイよね...。
宿屋は、『碑の小屋』に決めた。中に入るとオジさんが「よう、いらっしゃい」と、低い声で言ってくれたよ。
オジさんの名前はロベルトさんと言う方で、奥さんはニーナさんと言う。
ご夫婦で経営して居るそうだ。
部屋を3つ借りて取り敢えずいつ逢えるかわからないので1週間にし、その後はまた考える事にしよう。
各自荷物を置いたらこれからの事を話すために私の部屋に集まった。
「いつ逢えるかわからないと成るとどうしようか。困ったね」
「さっきロベルトさんに聞いた話だと、歴代の女王陛下達もやはり短命だったらしい」
「そりゃそうだろうな。首都から離れりゃ少しはましだがよ、これは酷いゼ」
「そうだね、この街で永住はこのままだと難しいかも知れないよね」
「皆んな分かって居るのだろうけど、何か方法を考えないとその内誰も住めなく成りそうだな」
「方法かぁ。多分街の後ろに有る山のせいで空気がこの街に溜まってしまってるんじゃないかと思うんだよねぇ。だから山から離れたところに街を移すとか、鍛治の仕方を見直すとか...。山を無くすのは私なら出来そうだけど、それはしてはいけないと思うんだよね。自然は成るべく残す方が良いだろうし、後は城壁をもう少し低くするとかかなぁ」
「どれもよ、今の状態だと難しそうだゼ。山から離れると魔物がってなぁ」
「でも、このままでもどの道遅かれ早かれじゃない?ここでは、子供は育たないよ。長生きなんて出来そうもない」
「俺らの話をまともに聞いてくれそうな女王ならましだが、もこればっかりはなぁ逢って見てじゃねぇか?」
「そうだな。しかし、どの国も酷い有様で嫌に成るな」
「あぁ、ま、一度南にはお礼しとかないとなぁ。 フッその時はよ、ぜってぇ連れてけよ」
「ハハ、そうだなお願いするよ」
「とにかくどんな女王陛下なのかは逢ってから決めましょう!」
「そうだな」
「おうよ」
その後は楽しい話題で盛り上がり、気がつくと夕飯時だったのでマップ片手に3人で食堂を目指した。
そして私はヤバイ物に出会ってしまったの...。
そう!あの懐かしい味! 醤油と味噌...味の香辛料?!
この国で良く取れる実の種がまさに醤油と、味噌の味がするの!
なんて事でしょうもう。諦めて居た懐かしい味がここに有ったんだよ!
この感動、この感激!この国、絶対に何とかしないと!この味がもう食べられなく成るのは正直、知ってしまった以上無理です!
私が余りにも興奮してるので2人の夫はドン引きしてますが、そんな事より今はこの溢れる涙を、何とかしてくれ〜〜。
この種は海沿いのあの山でしか取れないらしい。
これは是が非でもあの山は残す方向で考えなければいけない! 絶対に! うん、私の中では決定事項です!
その日の夕食は涙無くしては食べられなかった。
味噌汁も最高!あと、米が有れば言う事無しなんだけど...。
4カ国回って出会わなかったのだから無理なのかな....トホホ。
まぁ、この2つに出会えただけでも良かったと思う事にしよう。
夫達も美味いと言ってたので良かった。
夫婦の味のマッチングは結構大事だからね。
食べるだけ食べ満足して宿屋に帰り、それぞれの部屋に別れた。
さてと、明日は女王陛下に謁見は可能でしょうかね? シャワーを浴びて身体の煤を落として寝ましょう。
これが無ければ今の所私にとって良い街なんだけれどなぁ。
ルークも差別らしい差別は受けてないし、街の人達も今の所良い人ばかりだしね。
後は女王陛下しだいだよね。楽しみだねぇ
次回女王陛下謁見




