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後悔と胸の痛み



夕方になりノック音がしてゼスさんが迎えに来た。


「よっ、飯喰いに行くか?」


「あ、はい少し待って下さい今用意します」

一度部屋の中に戻り大きく深呼吸、軽く頬を両手で叩きドアを開けた。


「お待たせしました、行きましょう」


(ウゥ、何か話した方が良いのかな?でも、何を話したら...)


「何処か気になる店とかあるか?」


「ゼスさんは夕食後お酒飲むのでしょう?だったらそれ系の食べ物も有る店が良いですか?」


「んにゃ、そこまで気を使うこたぁねぇよ。後で勝手に飲みに出れば良いだけだしよ」


「そ、そうですか」


「お!あの店なんかどうだ?結構繁盛してそうだぞ」


「そうですね、美味しいと良いですね」

カランコロン♪


「結構混んでますね、どうしましょう...?」


「アリー、お前さんの好きそうな魚料理も有るぞ。少し待って見るか?」


「え!是非待ちましょう!」


「ハハハ、んじゃそうするか!」


しばらくしてお兄さんが空いた席に案内してくれた。

名前を見てもどんな料理なのかさっぱり解らないので「魚を使った料理でお任せします」これしか無いよね。


「なぁアリー、すまねぇな。あんな事言うべきじゃ無かったな」


「え?」


「さっきからアリーはよ、俺に気を使ってるだろ?話し方や、態度で何となくわかるゼ。 もう良いさ。さっき言った事は忘れてくれ。この国が終わった頃ルークも戻ってくんだろ?そしたら俺は切ってくれて良いからよ。まぁ、それまでは今まで通りって言うのは難しいのかもしんねぇけどよ。そんな感じでなぁ」


「あ、はい...」

(あ、何んだか胸がチクチクする。今の話聞いてガッカリしてるの?私)


「明日女王に謁見だったな?それが終わったら一度帰る準備とかするのか?」


「宿は4日取ってあるので、明後日は街の中色々見て歩きたいなって思ってますけど、ゼスさんはつまらないですかね?」


「ん?いや、付き合うゼ。荷物持ち位は出来るしよ」


「じゃあ、それでお願いします」


「おう、わかったゼ」


その後他愛も無い話をしなが食事をし宿に帰った。

何だろう...心がそわそわして落ち着かないや。


部屋の前までゼスさんが送ってくれて、そのままゼスさんは酒場に行った。


一体私はどうすれば良かったのだろうか。ルークが好き、それは私の中では間違いない。

なのにこの気持ちは一体何なのだろう。

一緒に旅をして来てその間緊張も有ったし、俗に言う吊り橋効果なのだろうか?

でも、辛かった時、悲しくてどうしようも無かった時、そっと側で慰め励まして抱きしめてくれたのはゼスさんで...依存...なのかな?離れたら素の私に戻るのかな?


ベットに横になり考えて居たらいつのまにか寝てしまって居た様だ。




朝が来ても珍しくノック音がしないので私から迎えに行く事にした。

ゼスさんの部屋の前 ドアをノックする。 コンコン♪


少ししてゼスさんが、頭を掻きながら


「すまねぇな、寝過ごしちまったか、直ぐ着替えるから待ってくれ」と。

珍しいな いつもゼスさんの方が私を起こしに来る程早起きなのに。


しばらくしてゼスさんが着替えて出て来た。(結構飲んだのかな?少しお酒臭いし、いつもなら髭も髪もスッキリさせてるのに)


2人して階下に降りロンドさんに鍵を渡す。


「あ〜昨日は飲みすぎちまった。酒臭ぇか?悪りぃな」


「クスクス、大丈夫です。でも、珍しいですよねゼスさんが寝坊するなんて」


「あ〜まぁ〜ん、そうだな 明日はちゃんと起きるからよ今日は勘弁だな」


「はい ふふ」


朝食を食べた後、ロンドさんに宮殿に行く事を伝えて外に出る。前回の事もあるし...。


「ゼスさん、宮殿の中には私1人で行きます。ゼスさんは何処かで待っていて貰えませんか?」


「は?馬鹿言うんじゃねぇよ、何の為に俺が居ると思ってんだ。言ったよな?俺を避けるなと。側を離れるなと!ヨォ 一体何聞いてたんだ!」


「それは、そうなんですけどルークの時も...」


「ルークは、ルークだろうが。たとえ同じ目に合おうが俺は後悔しねぇって言ったよな?」


「はい...」


「行くぞ!」


「あ!待ってください 行きますから」(相当怒ってるよね、仕方ないけど)


魔法士さんの前で検査をし、女王陛下にお逢いする為に謁見の間の隣にある控え室に連れて行かれた。ここも又豪勢に飾られていた。


ゼスさんも一緒で良いと言って貰えたので、2人して謁見の間に向かう事にし移動すると、玉座の前に跪いてそのまま待てといわれた。

趣味が良いのか悪いのか、ただ煌びやかで豪華な玉座だ。


しばらくして来られた女王陛下はスレンダーな方だった。

特に何事もなく無事に終わったのだけど...。

女王陛下の目線の先が私にでは無くゼスさんに向けられて居たのが気に掛かったし、薄い扇の下の口が何か言いたげに開いたり閉じたりしているのが不気味に見える。

気味が悪い。

こちらまでは何を言ってるのか解らないから余計だ。

何も起こらずこの街を離れられたら良いけれど。


無事に終了し、夕食後まで2人でブラブラしながら街の中を見て歩いたよ。


夕食時間になり昨日とは違う店にしようと言う事で今度は肉メインのお店に入った。

ゼスさんはそれにしても良く食べる。しかも美味しそうに。


「流石に茶はアリーが入れたやつの方がうめぇな、明日の朝入れてくれや」


「はい、良いですよ!」


「おう、頼む」

(良かった機嫌治ったみたい)


そしていつもの様に部屋の前で別れた後ゼスさんは、今日もまた飲みに行くらしい。





次の朝、ゼスさんが来ないのでまた寝坊かな?と思いながらゼスさんの部屋のドアをノックした。


コンコン♪ コンコン♪


「あれ?コンコン♪ ゼスさん?アリーです。起きてますか?」


おかしい...私は階段を降り、受け付けに居たロンドさんに聞いてみた。


「あ、あの、昨日連れは帰って来ましたか?」


「ん〜ちょいと待っとくれよ.....鍵は有るね。帰って来て無いんじゃ無いかい?」


え?そんな...。

今までゼスさんが何も言わずに私の側を離れる事なんて事は無かった。

黙って居なくなるなんて事、ゼスさんに限って絶対にする筈はない。

そんな人じゃない....。それじゃあ一体何処に?


ゼスさんが突然消えてしまった....。




次回ゼスさんを探そう

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