モテるオッちゃん 呆れる私
今回は、後半ゼスタークのつぶやきです。
ここはまだガレスティアの町
北のロスタリアに近いせいか春半ば近いのに少し肌寒い位だ。
この調子だとロスタリアはかなり冷え込みそうだね。
今年は特に春が遠いのだと、すれ違った馬車の人達は言っていた。
この頃ようやくゼスさんからのダメ出しが減ってきて少し嬉しいけど、町に着く度女性達の熱い眼差しが痛い。
私が怖く無いと解ってからのゼスさんは髪も髭も御構い無しで伸びっぱなしで、髭も髪も伸びるのがとても早い。
髪のせいで目が見えなかったから余計に威圧感が有ったけど、本当のゼスさんはタレ目がちで優しい顔立ちだとわかったから、この頃は私も余り気にしない。
ダガシカシ、この格好の何処が良いのか解らんが、何故か女性にモテる。
再びの解せぬ!
本人は御構い無しで見向きもしないけれど、女性の中には私に譲れと言う人まで現れる。
なんぞ?ゼスさんは、店先に並んだ野菜と同じ扱いか?
「おい、アリー 間違っても譲る何て馬鹿な事だけはしてくれるなよ!オッチャン泣くからな」と、笑いながら言うけど目が笑ってないからある意味脅してるんだね!と思う。
ゼスさんはとにかく大きい。
この世界では身長を測る物がないのでハッキリとは解らないけれど、わたしが155cm位で、ルークは180cm位かな?そして多分ゼスさんは2mは有ると思う。見上げると首が死ぬからね。
髭や髪が伸びてると熊っぽい。
ガタイも良いしね...。
う〜尻尾が有ったら見たかったな。
ギルドで魔物討伐の精算したら(二つ目の町だよ此処は)嘘だろ?って顔される しょうが無いけどねもう隠してないし。スパルタでしごかれてる成果だし。
この前の町でも同じ顔されたし流石に慣れたよ
ゼスさんの賃料は1日5000G(これでも、普通よりかなり安くしてるんだぞと本人談)でもね、まだ一度も精算して居ない 。
まとめてで良いと言うので。
結構お金は有るから急いでいないんだって。
だから尚更モテるんだろうね。
きっと女性達は相当ゼスさんが魔力量多いと解ってるはずだしね~。
魔力を貰った事は今の所一度も無いけど...これからも無いか。
ゼスさんは宿に着くとしばらくしてスッキリして出て来る。
シャワー浴びて髭を剃り、髪を切るから。
そして階下に降りると悲鳴。
これも毎回なのでもう気にしない。
つまりはスッキリゼスさんに女性陣はガッカリの悲鳴って事です。
まぁもう私が借りてるのでゼスさんも気にして無い感じですけれど。
2人して食堂に入り、夕飯を食べる私達の周りのテーブルのみ女性客で混雑するのも、毎回の出来事に成ってきた。
中には露骨に夜の相手として誘ってくる女性もいる程で、隣に私が居ても御構い無しか、凄いね。何だかとっても面白くは無いかな。
ゼスさん自分で言ってたからね。俺はモテるって「良いねぇ選り取り見どりだねオッチャン」って言ったら興味ねぇよって言う。自分で言ったのに。
私は部屋に入って寝るけど、ゼスさんは酒場に直行。
朝ちゃんと起きてるので文句は有りません。
ただ、ゼスさんが行く酒場は必然と女性客も多くなる。
しかも女性同士での争いも起こるとか。
でも、ゼスさんは「お持ち帰りは絶対しないから安心しろ」と言う。
それが何を意味するかわからない程中身は純情では無いのですけどね。
だけど、何だかなぁ。
何処の町に行っても魚が見当たらない...。
食べれないと思うと食べたくなるのが人情だよね。
せめてロスタリアでは食べれたら良いなぁ。
ゼスさんの話だとロスタリアは、髪とか目とか濃い人は居るのだけれども、肌の色が白い人が多いらしい。
これはゼスさん、相当モテそうだ!
ガレスティアの街を出て10日。
私なりに頑張ったつもりだけどまだゼスさんから褒められた事はない。
まだまだ駄目なんだろうな...
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俺は正直言ってモテる。
借り手に困った事はねぇ。
だが どいつもこいつも、もっと女王の様に扱えと言いやがる。
この世界がそうなのだからしょうがねぇだろと言う奴は居るが、 俺は自分が認めた奴なら言われなくてもこっちから頭下げるし、膝も折るゼ。
そん時は男も女もねぇよ。
凄ぇもんは凄ぇんだからな。だがよ中々そんな奴は居ねぇもんだ。
そして俺はいつの間にか諦め始めてたんだよなぁ...。
街角でいつもの様に立ってたら目の前を通る馬車の中に居る少女に目が行った。俺は始めて背筋がゾワゾワっとするのを感じたゼ。
ありゃァ何だったんだろうな?只の小せぇ女の子なのに、何とも言えねぇ高揚感がしたんだよなぁ。直感か?
次に会った時思わず俺から声掛けちまった。偉くビックリさせちまったらしくサフランに怒鳴られたゼ。 まぁ俺が悪ぃか。
だがよ選んでくれねぇかなぁと年甲斐もなく思っちまったんだよ。
少女の名前はアシュリー だから何だ?って言うんだろうな。
彼女は俺が怖いと言ったらしい。
何だか胸の辺りがズキリとして妙な感じだったゼ。
アシュリーは、ルークを選んだらしい。 アイツか、悪い奴じゃねぇ。
いや、どっちかと言うと良い奴だ。
文句も言わずサフランに頼まれた仕事を黙々とこなしてる。
ついこの間は男に呼ばれて路地裏でボロクソ言われてたっけなぁ。
あの見た目じゃなきゃ、アイツはもっとマシな仕事も出来たろうに。
あいつは、すばしっこい。
とにかくはえぇ。 短剣に関しちゃぁこの街でかなう奴はいねぇだろうな。
そんなアイツがじっと耐えていた。
俺だったら...そう考えたら無理だな。とっくに二軒先まで飛ばしてただろう。
顔は普通にしてたが俺には見えた。
手の皮に食い込んだ爪で血が滲んでたたのをよぉ。
普通ならとっくに手が出てるだろうによ、凄ぇ奴だよルークはよぉ。
だからアシュリーがアイツを選んでもしょうがねぇと思うよ。俺みてぇなオッちゃんよりはよ。
だがよ、何だろうな。 心の中にポッカリ穴が開いちまったようでしばらく何もする気が起きねぇんだよな。
それからしばらくして又アシュリーが街に戻ってきた。何が有った?
アシュリーの側にルークが見当たらねぇ...俺は思わず声をかけたゼ。
ルークの事は気になったが、今度こそ俺を連れて行けとなぁ。
後から色々聞いたがとんでもねぇ奴だなお前。そりゃぁ俺の感が騒めく訳だゼ。
次の日、柄にも無く髭を剃り髪を切って整えた。
これで少しでもアシュリーが怖がらねぇと良いけどなぁ。何を柄にもねぇ事考えてるんだか。
アシュリーは男の俺にあれだけ言われても怒るでも無く、黙々とついて来ようとしやがる。今迄出会った女達よりは出来た良い女だよ。
初めてずっと側に居ても良いと思う様な女に出逢ったが、どうにも上手く言葉が出ねぇ。仕方ねぇか。
いつの間にか俺の中で少女は女に成っていやがった。
だけどよ、今はそんな事より思いっきり楽しい旅をしようゼ
なぁ アシュリー!
次回スパルタその2です。




