貴方誰? スパルタです
寒い日が続きますねアリーはともかくゼスさんは暖かい様ですスパルタで!
ゼスさん的には余り人には見せたく無いそうで直ぐに片付けていた。
このエテは余り見せたく無いんだって。勿体無い素敵なのに。
明日からゼスさんに魔物討伐のレクチャーもして貰いながら北に向かう事にして、その日は寝る事にしたんだけど次の日私は焦ったよ。
「ヨォ、良く眠れたか?、一応昨日の残りを温めて置いたゼ、食うか?」
「あ、ありが...貴方誰? ゼスさん何処? ゼスさ〜ん!!」
(振り向いた男に私、絶句!)
「オイオイ、ゼスは此処に居るだろうがよ!何寝ぼけてんだ」
「ひっ 嘘よ、全然昨日と違う!貴方誰!」
目の前の男は頭を掻きながら、側に来た。腰を下げて顔を私に近付ける。
「ひっ!何 なんだよ〜」
「まぁ、何だな。そらぁよ 、今までが酷かったとは思うけどヨォ。そこまで違うものかねぇ? ち〜っとばかし髪と髭が伸びてただけだろうよ」
「へっ(良く良く見れば)もしかしてゼスさんなの?」
「だからよぉさっきからそう言ってるだろうが ハハハ」
(いや、イヤイヤ、違い過ぎるだろう!前は髪は斬バラで髭はボウボウ。良く言っても浮浪者だったでしょ。それが、髭を剃って髪も切ったの?自分で?上手じゃ無いの。いや そうじゃ無くて、ゴツイ ゼスさん何処行った?)
「あの、ちなみにゼスさんお年はおいくつ?」
「何でアリーがそんなしゃべりかたになってるのかはワカンねぇが、 今年で確か27かぁ?」
「まさかの二十代でしたか....もう、30半ばは過ぎてると思ってたよ。だって自分の事をオッチャン言ってたし」
「お!若く見えるか?アリーから見れば充分オッチャンだろうがよ」
(いや、そうですが...中身オバちゃんの私にしてみたら充分お若いのでビックリだよ! しかもゴツくも無くタレ目がちのイケメンさんじゃ無いのよ。これは逆詐欺だわ!)
「まぁこの顔じゃ借り手が減るからなぁ普段はあんなもんだ」
「成る程です、でも何で今日は小綺麗に?」
「ちっとばかし気に成る言葉が有ったが、まぁいいか。アリーが俺の顔が怖いとサフランに言っただろう?だからよ、少し髭と髪を切れば怖く無いかとなぁ」
(あぁ〜ヤバイ程良い人だったんだ。本当にすみません。てか、サフランさん本人に言っちゃったんだね。そして本人はメチャ気にしてたのね。これは土下座案件なのだろうか...)
「ゼスさん!申し訳なかったです!」(土下座)
「おいおい、アリー何してんだよ。飯にしようゼ 腹減ったろぉ」
ゼスさんの料理はこれこそ ザ・男の料理って感じで豪快!
不味い訳では無いのだけどジャガイモでも、人参でもとにかく大きい。一個で口の中一杯になるよ!
サフランさんから前に聞いた話だと、ゼスさんは女性嫌いに近いらしい。
女性=威張り散らすのイメージが有って、1人と長く旅をするのを嫌がっていたそうだ。
私は女性扱いでは無いのだろうか。彼にとってはお子様なのかもね。
「あ、はい です」
「このままのペースで行けば後2日位で町に着くと思うがどうする?少し狩るか?」
「そうですね、2、3、時間程良いですか?」
「おうよ、魔力に関してはアリーの方は心配要らなそうだしな。俺がしっかり守るからよ。まぁ好きにやってみな」
「はい!お願いします」 「おう」
今私は森の中ゼスさんと、魔物討伐訓練中!
( 結論から言うとゼスさんは、超スパルタでした...。)
「おい、前ばっかり見るんじゃねぇ、周りの音も意識しろ」
「はい!」
「そうじゃねぇ、俺が今盾で前を防いでるんだ後ろにも意識を向けろって言ってんだよ!」
「わかりました!」
「いくらあいつらの動きが遅いと言っても四方から来たらそうも言ってられねぇぞ、何を一番にするかの優先順位を瞬時に判断しろ」
「ヒィ〜はひぃ〜」
「魔物は上からも来るんだ、四方に注意を巡らせろ。次に何をすれば良いのかの判断を間違うんじゃねぇ」
「は、はひ、わかりました!」
やっとこさの昼休憩、死ぬ〜きつい〜
「アリーは魔力の強さや量に頼りすぎで他が見えてねぇ。もし、動きの速い奴が急に来た時それだとパニックに成るぞ。そしたら後は死だ!冷静な判断、瞬時の決断力それを覚えろ。良いな。それでもダメだった時は構わず俺を見捨ろ」
「え?」
「先ずは自分が生き残る事を考えろ。何があっても俺は守るつもりだが、これ以上は無理だと判断したら構わず俺を切り捨てて逃げろ良いな。それが出来ないと俺はお前が気になり守りきれなく成るかもしれん。それは避けたい事だ。出来るよな?」
「で、でも わたしは」
「まぁそうならない様にするけどな、ただそれだけは覚えて置いてくれ」
「は...い」
「フッ、大丈夫だそんな顔するんじゃねぇよ。覚悟の話をしただけだからよ」
私はまた間違えるところだった、この世界はいつ人が死ぬか解らない。それは前世も同じだけどその比率が全然違うんだ。この世界は背中合わせに死が有るのだと。
魔物でも、人同士でも簡単に死ぬ事が有る。
安易に守るなんて言ってはいけない。
言う為にはそれだけの実力が必要なんだ。
そしてそれが出来る人 、覚悟がある人だけが守ると言えるんだ...。ゼスさんの様に...。
「ゼスさん、お腹一杯です。 訓練再開お願いします!」
彼の顔がニヤリと笑む。
それから私達は訓練をしながら次の町を目指した。
ルークは今何を考えているのだろうか。
今度こそ本当の意味で貴方の心を守れるだろうか?
違う、守り合えるだろうか?
対等な立場に立てるだろうか。
ううん 立てる様にならなければいけない。でもそれはお互いにだ。
そしてゼスさんの、想いをわたしはまだ知らない。
次回 新たな町です。




