握りしめた手 わたしのミス
今回流血&残酷なシーンが有ります。苦手な方はそっ閉じお願いします!
怒りで目の前が赤く成るけれど、 今は落ち着けともう1人の私が言ってる。
女王陛下が顎で兵士に命令を下す「この者をアレの元に連れて行け。逢って見れば妾の言う事も聴く気に成るであろう?のぉ」
「ハッ!畏まりました」(敬礼)
私は拳を握りしめながら耐える。
とにかく今はルークの安否が最優先なのだから。
落ち着け…今は落ち着け… 何故こんな事に?どうして?そんな言葉ばかり頭の中に浮かぶ。
取り敢えず今はルークがいる場所と、何が起こっているのかを確かめなければ!
兵士の後を付いて歩く。ここは、左側の塔の地下?1分1秒が途轍もなく長く感じられた。
「お前が逢いたい男はこの奥の牢の中だ。そろそろ牢番も遊びに飽きた頃だろうしな。まぁゆっくり逢って来い。そうだ、しばらく逢えないかもしれないから別れも言っておけよ ハハハハハ」
私は急いでルークの居るであろう牢の前まで走った....
ルーク...何で、なんでこんな事に...なんで...
ルークは両手足を鎖に繋がれて、壁に貼り付けられるように立たされていた。
牢番が「あぁすまねぇな。少し遊びすぎたけど死んではいねぇよ。まぁここに居たら遅かれ早かれ死ぬかもしれねぇけどよ。今は殺すなと言われてるから殺さねぇよ。でも、明日はどうかわかんねぇなぁ。違う奴が番になるし、女王陛下の気が変わるかもしんねぇからヨォケケケケケ」
「何が...何がそんなに可笑しいの?そんなに笑いたいの?良いよずっと笑ってる顔にしてあげるよ」
私は自分自身に『強化』を掛け、牢番の男の顔を思いっきり殴った。(うん、笑ってる顔と言うよりは、笑える顔に成ったね)
もう自分の力を隠す事は考えられなかった。
全てはこの国に入った時から、いや、門を、壁を、それらを見た時にわかったじゃないか。自分がとても情けない。あの時の❮感❯を、何故深く考えなかったのか。
ルークの牢の鍵を怒り任せに握り壊し駆け寄る。
ルークの身体中には無数のムチの跡があり、その内のひとつは胸から腹にかけて裂け、そこからは血が滴っていた。
「ルークごめんね、痛かったよね ....ごめんね」
顔はどれだけ殴られたのだろうか、腫れ上がり、口元は裂け、きっと目は開けられないのだろう程に膨れる様に腫れている。手も足も見える所これでもかと殴られた跡。そして何よりも、右足はあらぬ方向に曲がって居たのだ。
これは...折れてるの?
この国の人はここまで惨虐に成れるのか? 今彼が息をしてくれている事がこんなにも嬉しいと思う。
「ルーク、ルーク わたしがわかる?ルーク、答えてお願い ルーク!」
「アリィ すま...い...ゆだ ..し..た」一生懸命顔を上げようとする彼。
「ルーク、良かった 今助けるからね。ごめんね ...ごめんね...私のせいだね」
ルークを繋いでいる鎖を、傷に響かないように引き千切ろうとするのに手が震える。少しでも早く彼を解放したいのに、私にもたれかかる様に倒れてくる彼に
「今『癒し』するからね」
「だめ、だ...する..な ..だ じょ ..ぶ..バレる..から」
「ルークこんな時にまで...でもね、もう遅いんだぁ。私やらかしちゃったよ。女王に喧嘩売っちゃった」
とにかく今は『瞬間移動』力なく私の手すら握れない彼の手を、私は代わりに強く握りしめて居た。
「お!え! アリー?」外の掃除をして居たアルパパ様
「アルパパ様、お願い彼を助けて!」
「何が有った?あ、いや、取り敢えず早く家の中に」
そう言ってアルパパ様はルークを背負い家の中に連れて入ってくれた。
直ぐにバリーパパ様も来てくれて、私を抱きしめてくれる
私は涙を堪えて急いでルークに『癒し』を施した。
「良かった、息が落ち着いて来たみたい 。パパ様もう、彼は大丈夫よね?」
「あぁ、大丈夫だ、取り敢えずアリー詳しい話は後で聞くとして、お前は何処も怪我はしてないんだな?それなら今はシャワーを浴びて着替えて来なさい。いいね?」
言われて自分を見ると血だらけだった事に気が付いた。「はい...パパ様」
ともすればよろけそうな足を叱咤し、自分の部屋に入った。
何故解ったのだろう私の魔力が強い事、バレない様に気を付けて居たはずなのに。
私が何処かでヘマをした?それしか考えられない。
そのせいでルークを傷つけてしまった。
それでなくても彼はあの国に入った時から心を痛めて居たのに。
私が彼の心を守ろうって思ってたのに。
その私が彼を傷つけてしまった。
彼の心にもっと大きな傷を作ってしまった...何してんだろう私。
リビングに戻るとバリーパパ様が「アリー、おいで。さぁパパの作ったお茶を飲みなさい。さぁ 」と 手招きしてる
うっうぅ...「パパ様、わた、わたし」
「アリー、大丈夫 泣かないで。熱いからゆっくり飲むんだよ、大丈夫、大丈夫だよ。彼は取り敢えずアルの部屋に運んだからね。ぐっすり寝てるし、ソッと寝かしておいてあげようね」
「はい、バリーパパ様」
「うんうん、やっと言えるね。お帰りアリー、パパの大事な可愛いレディ」
私はバリーパパ様にもたれ掛かるとそのまま眠ってしまった。
「バリー、アリーは寝たのか?」
「あぁ、今薬草茶で眠らせたよ。あのままだと良く無いからね」
「あぁ、そうだな。一体アリーに何が有ったのか。フッ、許せないね」
「うんうん、許せないよね〜」
どれ位寝てしまったのだろうか。
リビングのソファーの上で目が覚めた時にはママ様もルトパパ様の姿も有った。エドはもう寝たらしい。
「ママ様、パパ様」
「アリー、目が覚めたのね。ねぇ 話したくなければ無理に話さなくても良いのよぉ。何が知りたい訳でも無いの。ただ 貴女が無事で居てくれてママ達を頼ってくれた事が嬉しいの。それは判るわね?」
「はい」
「それなら、話はおしまい。お腹すいてなぁい? あ!でもねぇこれだけは教えて。彼はあなたの彼氏なのぉ?」
「ママ様....」
「ふふふ、冗談よぉ。後で良いから紹介だけはして頂戴ねぇ。じゃ無いとパパ達が怖い顔してるのよぉ〜 ウフフ」
「ハイ、後でちゃんと紹介します」
「お願いねぇ」 そう言ってママ様は私にウインクをした。
あぁ わたしの家族は本当に最高!
次回 家族が温かい




