押し寄せる不安 守るべきもの
新年早々鬱回ですみません ちょっとルークさんが病んでます。苦手な方は回れ右をお願いします。
お兄さんは、私達をキッチン奥の部屋に案内した。
「すみませんねこんな処で、先程は失礼しました表ではあの様な態度を取るしかなかったので...」
「さっきの話と何か関係が有るんですか?」
「えぇ。この国ゲートルアは、前はこんなにも偏見が強い街では無かったんですよ。今の女王様が即位されてからは街で優位なのは 強い男、強い女 それ以外の すみません。白と呼ばれる人達は迫害されてるんです。さっきの貴女方がこのまま何も知らずに女王陛下に謁見したらどんな目に合うか...なのでお引止めした次第です」
「成る程わかりました」(何だ悪い人では無さそうで良かった)
「この先坂を降りて行くとスラムが有るのですが、そこには白が集められ強制的に働かされて居ます。なので大変言い難いのですが、そのぉ...お兄さんは余り出歩かない方が良いかと。先程あんな失礼な言い方をして仕舞いました。本当に申し訳ありません。こんな話をした事が解ったら営業停止もあり得るのです。
この国はまるで女王陛下の為に有る様で、主要場所は軍隊並みに統一されてます。気をつけて下さい、部屋はどうぞ遠慮なくお使い下さって結構ですからね」
(メッチャ良い人だったわ)「有難うございます、お言葉に甘えてお借りしますね」
「はい!どうぞ 旅立ちならばなるべく早くこの街からは出る事をお勧めしますが、うちはお嬢さん達の好きなだけ居てもらって結構ですので」
そう言ってお兄さんは鍵を2つ渡してくれた。
私はルークに少し話ししない?と持ちかけ、荷物を部屋に置いたら来てくれる様にいった。
今ルークとお茶を飲みながらこの国について話してる。
「どう思う?謁見は明後日だからそこまでは居ないと不味いでしょうけれどその後は早々に出発した方が良いよね?」
「確かに居づらい街ではあるな。けど、出立するにも準備はしないとだろ?」
「うん、食材や香辛料、必要な物だけでもせめて買わないとだよね」
「それじゃあ明日はそれで行こう。明後日は謁見で出立は早くて3日後か?」
「うん、そうだね謁見後直ぐでも良いけれどね。この街に長く居ても嫌な思いしかしそうも無いし。せめて食事は美味しいもの有ると良いね、じゃ無いとこの街嫌に成りそうよ」
「まぁそう言うなよ。まだ1つ目の街だし、ガレスティアが緩いだけだったんだ。普通はどこに行ってもこんなもんなんだろ?俺はさ、捨て子だったんだ。だから親がどんな奴か知らない。でも、もしもこんな街に住んでいたんだとしたら俺を育てる事は難しかったろうなと言う事はわかるよ。
ガレスティアの街門の前に捨てられていたのを門番のジィさんが拾ってくれて孤児院に預けてくれた。それだけでもラッキーだった」
[そうだ頭ではわかってる、なのに何故心が付いてこない。カッコつけて話しているけど、それは決して本心だけじゃ無い。本当の俺はそんなに強く無い]
初めて知ったルークの生い立ちに少なからずショックを受けていた。
私はママ様にもパパ様ズにも愛され可愛がられていた。
詠唱が出来ない、そんな出来損ないだと嘆いていても抱きしめ頭を撫でてくれる手が有った。でも、ルークにはそれは無かったんだ。項垂れている私を見て彼は済まなそうに話す。
「そんな顔するなよ。今の俺を見てみろ。幸せそうな顔してるだろ?それを与えてくれてるのはアリー、君なんだ。それをただ言いたかっただけなんだが...悪かったよ」
[俺だけを見て欲しい。そんな事ばかり考えてる。違う...違う...違うんだ。俺は怖いんだ。いつかアリーが俺を必要としなくなる事が、心底怖い]
「そっか、私ルークを笑顔に出来てるんだね。でもね、今はルークも私を笑顔にさせてくれてるんだよ。それは忘れないでいてね」
「あぁ、わかった。だからアリーは笑っていてくれ 」
[それだけで良い。どれ位一緒に旅ができるのか解らないが、 今はそれだけで良い。だが、さっきからずっと言い様もない不安が押し寄せてくる。駄目だ落ち着け!自分を制御しろ。アリーの重荷にだけは成ったら駄目だ]
それから2人で今日はどの食堂にしよう?とか、明日の買い物は何を買おうとかそんな事を話していたら、気がついた時には夕刻になっていた。
階下に降りてお兄さんに(アレシュさんだって)お勧めの食堂を聞いたけど、「多分なのですが、何処に行っても嫌な思いをする事に成るかと思います。言葉だけならまだしも、男同士の殴り合いに成ったら捕まるのは白の方です。それ程偏見が強い...うちで夕食も提供出来れば良かったのですがすみませんね。もしも、それが嫌ならお嬢さんがお弁当を買ってきて部屋でとかはどうですか?」
「それは、駄目だ。アリー 1人で歩かせるなんて出来ない! アリー、俺は大丈夫だ!大丈夫だから一緒に食堂に行こう。魚とか、野菜とか食べたいと言ってたろ?」
「ルーク?どうしたの?いつものルークらしく無いよ。私はルークが嫌な思い我慢して食べていてもちっとも美味しいと感じないと思う。食事は楽しくなくちゃ駄目だよ」
「だ、だがけどアリーに何かあったら...」
[誰にもアリーは渡さない。俺から奪わせない]
「じゃ、じゃあさ 2人でお弁当買ってきて部屋で食べよ?それならどう?」
「あ、あぁ それなら」
「うん、じゃあそうしようね」
(何だろう?この街に来てからルークの余裕が感じられない。何かを恐れているような切羽詰まったそんな感じ...)
私とルークは2人してお弁当を買いに出た。案の定ヤジや罵声が起こる。
私に擦り寄ってくる男や触れてくる男達に、少しずつルークの顔や態度がキツく成って来た。
この国の偏見は人を上か下でしか判断しないのだろうか?
警ら隊も見て見ぬ振り、我関せずなのか。
この感じだと明日の買い物も思い知らされそうだ ...。
私がルークの心を守らないと何故かルークが壊れて仕舞いそうな 、そんな気がして仕方ない。
そしてその予感は嫌な形で的中してしまったの...。
次回壊れるルーク




