女は度胸、テントへゴー
やっとレンタル広場にやってまいりました。さぁどうなる事やら………
さっきから気が重い。足が進まない。でも行かない訳にはいかないよね。
知らない男の人と2人で旅なんて...。
途中 途中に美味しそうな誘惑の匂いがするけれど、今はそれすら足を止めてもくれないよ。
だってね、前世でさえホストクラブとか、それ系の場所近くにも行った事無いし、日本人で普通のしかもオバちゃんだった私が中々行くような場所でも無いじゃない。
毎日朝から晩まで旦那さんや子供達の世話で一杯一杯だったしね...。
まぁ今は外見だけは若いけど、だからって流石に気はひける....。
行かないとダメだよなぁ。 不味いよねぇ。 ハァ....。
仕方ない行く! 行きゃあ良いんでしょ。行ってやろうじゃ無いの。女は度胸よ!
自分に叱咤してズンズン歩く。
しばらく道沿いに歩いていると小さなテントが所狭しと並んでいる広場に出た。
多分ここがそうだと思うんだけど。
なんか想像していたのとだいぶ違う感じがする。
もっと殺伐としてるのかと思ったよ。
妙に明るくて普通の公園ぽい。
いろんな色の花々は咲いてるし、変な臭いもしない(男の人=臭いって意味じゃないけどさ)緑が生い茂っていて広場の真ん中に水汲み場。
とても男の人をレンタルする為の場所とは思えない程、爽やかな風景...なんで!?
私が呆気に取られてると1人の女性が近付いて来て、ニコ〜っと微笑みかけてきた。
「ねぇ貴女もしかして始めてでしょ レンタル利用するの」
(ドキッ 顔や態度に出てたんだ)
「ハイ」(私は小さな声で答え頷いた)
「まぁさ、始めての時はそういう顔になるんだよね。でも 何も悪い事してる訳じゃ無いし、実際さレンタルしないと旦那がいない人は魔物討伐できない訳だしね。 そこは割り切って馴れるしか無いよ。それにイカガワシイ事をする訳じゃ無いんだからねさ。それに初めてって事は旅立ちなんだろ?」
俯いている私の後ろから「ようネェちゃん、俺を借りなよ良い働きするゼ」と大きな声が!
凄い売り込み 声大きいよ〜 慌てて耳を塞ぎながら振り返ると、デカイ ゴツイ 怖い の三拍子揃った男の人が、腰に手をあて仁王立ちし私を見下ろしていた。ん?この前この街に来た時道で日向ぼっこしてたひと?
「ちょっと ゼス!そんな大声出したらお嬢ちゃんがビックリするじゃないさ。いつも言ってるだろ!『 女には優しく笑顔で接しろ』 がうちの広場のモットーなんだからもっと小さな声で話しな!」
どうやらこの男の人はゼスさんと言う名前らしい。それにしても声大きいよ。
髪も目も黒いし、肌も浅黒いところを見ると魔力量もかなり多いのだろう。
とても自分に自信があるようだね。でも、髪も髭も伸び放題で、言っちゃ悪いけどどう見ても浮浪者…………。
「でもよ、どう見ても弱そうなネェちゃんだぜ。始めての旅なら魔力量多くてタンクも(盾)硬い奴じゃねぇと危なっかしいじゃねぇか」
「そりゃそうだけど、直ぐにこの街でる訳じゃ無いなら馴れるまでアンタじゃ無くてもいいだろ?」
「まぁ...そうだけどよ。俺は人気が有るから国を出る時借りられてるかもしんねぇゾ。それとも他にめぼしい奴見つけたかい?」
「最初だしアンタみたいな強面じゃなくていいだろ?慣らしなら森の入り口辺りで狩るんだろうしね? それにあんた高すぎだよ」
「ハッ 俺は安売りはしねぇのよ。その代わりそれ相当の働きはするゼ」
「あ、あの。しばらくは 旅のお金稼ぐのと、支度で必要な物とか教えて貰いたいので」
「ホラ見なよ、最初はそんなもんさ。そいじゃそこの広場の中に何人か居るから話してみて気が合いそうな奴借りとくれ。あ、そうそう 借りる時はあたしんとこに来ておくれよ」
「わかりました、色々すみません ありがとうございます。」
「いいよ、いいよ 最初は不安だしわかんないもんさ。良いパートナー見つかると良いね 。何かあったら遠慮なく聞いとくれ」
「旅立つ時は 空いてたら俺を選べよ。オッチャン頑張ってタンクするからよぉハハハ」
「ハイ!有り難うございます」(顔は怖いけど凄く良い人だった。悪い事したな)
そう言えばレンタルするのは良いけれど仕組みってどうなっているんだろう?
それにレンタル料金ってどれ位掛かるのか聞いた方が良いよね。
知らないで良いなんてこと無いもんね。
「あのぉ、さっそくでなんですが レンタルについて色々教えて貰えますか?」
「あぁそうだったね。それを知らないと借りにくいよね。レンタルはどの国の 首都でも 小さな町でも、 貸し手の男が居れば借りられるよ。小さい町ならギルドに聞くのが良いね 。首都の街ならこうして広場が有るけど、 小さい町だと無いからね 。借り賃はまぁ男にもよるよ。魔力量が多くて強い奴はやっぱり高いし 、このゼスみたいにね。手についた能力でも違いはあるねぇ。ただしギルドや、広場以外で勝手に貸し借りは駄目だよ。揉め事に成りかねないし違法だからね」
「ピンキリって奴ですね」
「アハハ、そうだねぇ。 例えばこのテントで借りるとするだろ、そしたら支払いは借り賃を払いたいギルドに行ってそう言えば良いよ。解約したい時もね。そのまま続行 、或いは 他の町で一括で良いとかならそのまま何もしなくても良いし、支払いたい時はギルドの受付に行って、その事を伝えれば受付の奴が男の首にかけられてるタグに魔石を当てるよ。そうするとレンタル期間の金額がわかるから、アンタがその金額の20%をギルドに、残りの80%を借りている男に払うんだ。精算したギルドからあんたが借りた場所のギルドに10%支払われて、後の10%は精算したギルドの取り分って訳だ。そして、その時点で 解約しないならそこまでの借り賃がリセットされるだけだよ。」
「20%って随分取り分少ないんですね。でもどうやって解約したとかわかるんですか?」
それはね....
ハァ、聞いてしまったら余計に借りづらい。
次回は初レンタル!




