敵の中の味方
そうそうサイカン君だ
『サンユー公爵!我々はサイカン公子を治せるかも知れない薬を持って居ます、公子に使わせてもらえませんか?』
「それはクリム印の物ですか?3日前うちには売れないと返事が…」
『妙ですね…うちには公爵家からの注文は来ていないそうです。また思想的に相容れない人であっても怪我の写真とか添付して送ってもらうようになってるはずですが…まぁそれは後に調べるとして、サイカン公子に会わせて頂けますか?』
「はぁ、ドボコンの英雄に来て頂いて愚息も喜びますでしょう。」
{愚息も昇天?}
この野郎俺だけに聞こえる様に言いやがった…
「オゴウ様、サンユー公爵、いつまで荒野の真ん中で立ち話を?」
『ああ!これは申し訳ありません。どうぞ』
兵員輸送車に入ると…
『JUN、妨害電波とサウンドジャマー!』
{完了!}
『公爵、質問です。答え難いなら無言で、あなたは皇帝陛下の為にわざと泥を被ってますね?』
「判りますか…」
『もう1つ、公子の為にこのようにしろと言われたのではありませんか?』
「全てお見通しでしたか。」
『やはり…では私も微力を尽くしましょう。必ず治してご覧に入れます。』
{メタルジャック、ある人は愛の伝道師と讃え、ある人は冷酷な守銭奴とののしる。
謎の変態外科医メタルジャック。
闇の中からメタルジャックは問いかける。
「この世に果たしてにマロンはあるか、人生を彩る阿呆はあるか?」}
『なんでお前はそう要らん事を言うんじゃ?』
{中年繋がりで…}
「え?オゴウカツミ選手ですか?」
『はい胡散臭いロボット 小合です。はじめましてサイカン公子。』
「胡散臭いなんてそんな…スタンピードを領都到達前に防いだのに!」
『それはこの子のお陰です、クリム!』
[は~い!公子よろしく~!]
「うわ~!グラトニーオリハルコンスライムのクリムちゃんだぁ~!」
『渡辺は連れて来れなかったけど緑星竜のリョクも居るよ。』
「こんにちはリョクお姉さん!」
(お姉さん…先輩!この子連れて帰る!)
『落ち着け犯罪竜!』
(ゆくゆくはあたしに乗せて空を飛ぶんだ!)
「ありがとうお姉さん…でも僕心臓が…」
「サイカン、オゴー様はその心臓を治しに来たのじゃ。」
「あれ?ミヤビいつから居たのさ?」
「最初からずっと居ましたが?」
「キサラ姉さん…ミヤビに気配の消し方教えた?」
「わたくし達はオゴウ様のパーティー、ミーン・マシーンのメンバーですので。」
「え?いいな…」
『公子様、今日はミーン・マシーンにスカウトに来ました。もちろん身体が治った後でですが。』
「でも僕の身体が手術に耐えられない…」
『誰が手術すると言いました?』
「は?」
『これはクリムが作ったエリクサーです。飲んでみてください。』
「はぁ…?」
『公子の病気は心室中隔穿孔、更に心臓弁膜症を併発して居ます…苦しかったでしょう…その薬を飲むと1週間以内に改善します。信じられませんか?』
「いえ、そんな高価な薬を…」
『私はクリムが作ったと言いましたよ?何なら誰かの腕切り落として再生させますが?』
「本当じゃぞ?腕を無くしておったグラス・リッドの腕を再生させたのじゃ。」
『あまり美味しくは有りませんが飲んでみてください。』
「はい…ではいただきます…うっ…」
「吐くな!飲み込むのじゃ!」
神眼 レントゲンアイ!
『…今心室中隔壁が再生し…心房の三尖弁が正しく動き出しました。今日中に動脈に混ざった静脈血は大動脈流に押し流されて身体の再生が始まります。あと予想外だったのが公子は心臓が強い!今まで不具合の起きた心臓で無理矢理身体を維持してきた賜物ですね。』
「どうじゃ?妾らのリーダーは凄かろう?」
「お姫様は全く凄く有りませんがね。」
[あ…生まれる…]
『クリムどうした?』
結果…クリムが10体のベビーオリハルコンスライムを生みました。
『スタンピードで栄養過多になってたのかな?クリム、1つ公子にあげていい?』
[いいよ~!]
『公子、可愛がってやって下さい。新しいあなたと共に生きるスライムです。』
[こーち、よろちく!]
「息子を治していただいた上にこのような珍しいものまで…」
『これは汚れ役をやってくれていたあなたへの高天原からのお礼だと思って下さい。』
「クリムの子はいきなりしゃべっておるのう…」
『はいはい、ミヤビ様も1つあげるから。』
[おしーしゃま!]
「キキョウ姉様!帰りにノーマンじゃ!」
公爵家をお暇してノーマンへ…あんたらその飼育ケースは何だ?
「タワー有った方が遊べるじゃろう?」
「ファンシーな方が嬉しいはずです!」
『キキョウさん…なんで2個有るの?』
「エマールちゃんの分を…」
レオのはノーマルスライム用でいいや…
「しかしいきなり10体とは…」
[ごめんなさい、まだコア分裂してる…]
『構わないぞ、ギルマスも欲しがるだろうしドロンボーも…』
「しかし本来は2つに分裂するのですが…さすがグラトニーオリハルコンスライム…」
「スライムハウス20も買ったら店員さんびっくりしてたのう。」
「全部にオリハルコンスライムが入ると言ったらどんな顔になるでしょうね。」
『ゴーダみたいな奴に飼われなきゃ良いけどね。』
(あたし居た意味有るんでしょうか?)
要所要所で活躍してただろうがね…
で、冒険者ギルドです。
『ギルマス~!クリムの子要らない?』
「欲しい!…ってオリハルコンスライムか?」
『こんなん』
[ぎるましゅ~!んちわ~!]
「おお!しゃべるのか!」
『んじゃ可愛がってね~。あ!受付さんクリムの子要らない?』
「ええ、次の休みに捕まえに行こうかと。」
『ちょうどよかった、これあげるから可愛がってね~。』
「ちょ!オゴウさんこれオリハルコンスライム…」
「こんな値段も付かない様なのポンポン置いて行くか?」
「いっぱい生んだんじゃないですかね…」
[おっしゅ~!]
「え?しゃべりますよこの子…」
「ワシのもじゃよ…同じ重さのオリハルコン以上の価値有るぞこの子ら…」
「たぶん本人屁とも思って無いんでしょうね…」
辺境伯邸に着きました。
[生まれる!]
はい、10体増えました…
{まークリムがポンポン子供生んで…}
スライムはエネルギー過多になると分裂する。ヒュージで3匹、キングで5匹位
{ああそれなら20も…}
クリムは今までずっと溜めてたからな。オリハルコンになったのも溜めてた影響だ。
{クリムの子に肉ばっかり食わせたらどうなる?}
成長する。オリハルコンスライムはほぼ最終進化形態で退化はしない。




