エリクサー押し売り隊
「ファイヤーも打ってみたかったのう。」
『冒険者の喧嘩止めるのウインドの方がいいと思うけど?ファイヤーだと火傷するから。』
「そこまで考えてのチョイスじゃったか…」
『もちろん風刃にすれば大怪我させるのも可能だけど…しないでしょ?』
「そうじゃのう…してみると風でぶっ飛ばすのが最善か…」
『んじゃオーク5体もらっていくね?』
「おお。解体費用はオーク代金から差っ引いとくからの?」
『それとエマールさんの体力って上がりました?』
「レベル20程度は上がっとろう。通常のゴブリンなら倒せるはずじゃ。あ、オサムちゃんはホブなんで無理じゃぞ。」
『え?あいつホブゴブリンだったの?』
「今の状況でそうじゃからどんな進化させるか楽しみにしておる。」
『別に面白いの狙って使い魔にしてる訳では無いんだけど…』
「あのなオゴウ…普通の人間オリハルコンスライムなんて持っとらんぞ?ゴブリンだと安心してたらゴブリンカイザーにゴブリナグラップラーとか聞いたことも無いようなの出してくるし、緑星竜なんて絶滅したと思われてた伝説の未確認魔獣じゃぞ?」
『いやいや結構人に紛れて生きてるよ?10人位は見てるよ?』
「何?」
『ここに出入りしてる人の中にも居るよ?名前知らないけど。』
「誰じゃろうな…」
『例えばそいつとか。』
「…リョク嬢じゃねーか!」
(何よ?)
「いやオゴウが緑星竜他に居るとか言い出して…」
(緑星竜はあたしだけよ?氷星竜はここに出入りしてるけど。)
「え?やっぱり居るんかい?」
『隠してるんだからあばかない様に。』
(先輩はあの子にエリクサー使わない様に。一瞬元の肌になると思うから。)
「ちょっと待て!エリクサーじゃと?」
『クリムが作ってエマールさんに使ったよ?今量産してる、管理はドロンボーね。ドラゴンの血が足りなくてすぐに手足生えて来ない劣化品だけど1週間位で治るでしょ。宣伝してないけど。』
「大々的にやれば大金持ちじゃぞ?」
『ドロンボーもフレイン・キャティやゴーダみたいな貴族嫌いだから…反面守ろうとして傷付いた冒険者なんかには格安で、最悪見本品を無料で送ってるみたいよ?』
「例えばA級冒険者が手足失ったら?」
『皇帝陛下に弓引いたりしなきゃなんとかしてくれると思うよ?ドロン…皇立情報部に言えばいいと思う。』
「そのEIPとか言うのはなんじゃ?」
『ドロンボーの匿名。貴族の要求蹴ったりするから作ったんでしょ。』
「次にドロンボー来たら相談して見るかのう…生まれつきの奇病なんじゃが治ると思うかのう?」
『実際に見なきゃ判らないけどほとんど治るよ?貴族なの?』
「公爵じゃ。反皇帝派の急先鋒なのじゃが…本人は陛下達と仲は良くてのう。おそらく御子息の病気の為にやっとると思われるのう…」
『名前は?』
「サンユー公爵家のサイカン様じゃ。」
『JUN、ユニット通信ガメラ!
こちら小合、ドロンボー居たら返事お願いします。』
“はいドワルスキーでまんねん。”
『サンユー公爵からエリクサーの注文来てますか?』
“………いえ、注文は無いでまんねん。”
『ありがとうドワルスキーさん。連絡は以上です。』
“もし注文来たらすぐに連絡するでまんねん。”
『ありがとう。ちょっと押し売って来ようかなと。』
「ミヤビ様が親しかったはずじゃ。」
『ありがとう、リョク!辺境伯邸まで頼む!』
で、量産エリクサー持って公爵家のカラミ領別荘へ。
「で、妾は何をするのじゃ?」
「サイカンの無様を嗤うのですお姫様。」
『キキョウさん…ムチャクチャ言いますね。』
ほとんどキキョウさんが私物化してる兵員輸送車のハンドルを握りながら最狂のメイドさんが言う。
「今、不穏な事考えませんでした?」
『滅相もない…と言うかキキョウさんこの車気に入ったんですか?』
「ええ!この前メーカーが基地に来てましたので無理言って1台回してもらいました。」
………新車だったのか…
{おっさんミサイル来た。}
『バリア張って空中爆破!』
なんだこれ?
「この先はサンユー公爵の邸宅である!速やかに退去せよ!」
「オゴウ様、マイク有りますよ?」
『こちらは帝国皇女ミヤビ様一行である!先のミサイル攻撃はどういう意図か?ここの領兵絶滅させたあと聞けばいいか?』
”クリム、全員を固めてくれ“
[は~い、行ってくるね。]
「はっはっは!できるものならやってもらおうか!」
『終わったぞ?本当に殺していいんだな?』
「何?」
『最近有名なグラトニーオリハルコンスライムだが知らないかね?お前達の命はあと5秒…4…』
「わかった!降参する!」
『まずは攻撃してごめんなさいだろ?常識知らんのか?ああ他人の領地で勝手にミサイル撃つ様な馬鹿に常識問う方が間違いか。リョク!あの建物に獄炎のブレス!』
ゴッ!
「貴様…何を…」
『他人の物は壊して自分の物は嫌か…典型的な貴族だな。全部更地にしてこいつら放り出すかな…生身で宇宙空間に。』
「オゴー様、怒りを鎮めて欲しいのじゃ。」
『はっ!お前ら助かったな?ミヤビ様が言わなきゃ殺してたぞ?』
「ならやってもらおうか!」
『なら死んでもらおうか?』
スパン!ロケットパンチの中に仕込んだ刀が翻る。
『なぁそこのあんた、これ死んでると思う?』
生首を渡してみる…
「この野郎散々威張り倒しやがって…」
『あれ?こいつって嫌われ者?』
「ええ!悪徳騎士爵です。」
『んじゃ腐らせてリビングデッドにでも…』
「オゴウ様、牢屋番の苦労も考えてくださいね?」
『はい…復活!』
「なんだよこいつ…」
『なんだかんだと聞かれたら!』
{止めとけバカ!彼らはサイカン公子に合う薬を「わざわざ」持って来たのにこのバカがミサイル攻撃して追い返しました。とお伝えください。}
「妾のサインも要るかや?」
「それには及びません。」
「おおサンユー叔父様!お久しぶりでございますのう。」
「はいミヤビ様…こちらはオゴウ・カツミ様ですね?はじめまして。」
『あ、小合克己です、はじめまして。』
「すみませんが兵士達の束縛を解いてやってもらえませんかな?」
『はい、クリム帰っておくれ。』
[は~い!]
「可愛くて綺麗ですな、おまけに賢い!」
『先日奪おうとした馬鹿が居ましてね…』
「SSS級冒険者の使い魔をですか?」
『百歩譲って成長のさせ方なら教えるんですけどね。』
「オゴー様!今日はサイカンの話じゃろう?」
{すぐにアホな小物出す…}
賢かったら味方に回るからな。
{え?サンユーさんアホなんか?}
サンユーは親バカでは有るがアホではない。
辺境伯や皇帝とも仲いいしな。ここ5年程は反皇帝派やってるんでおおっぴらに遊びに行けないだけだ。
{ところでサンユーやサイカンって…}
歳寒三友は、宋代より始まった、中国の文人画で好まれる画題のひとつであり、具体的には松・竹・梅の三つをさす。
マツシトやタケシトの元だ。
{蘭とか菊とか鶴亀も出て来そうやね…}




