ダークエルフとロボットと
「え……じゃぁ48名のメガリザレクションを?」
『それも良く間違えられますが多人数ではなく区域です。』
「区域蘇生?」
『復活の泉を作るのと同じですよ。一時的にその区域の放出魔力に蘇生乗せるだけです。』
「いやだけですってあなた……。」
『やってみると意外に簡単。』
「その前に蘇生ができないんですって!」
『治癒はできますか?』
「ええ、治癒なら。」
『区域治癒は?』
「できますが区域治癒大ができなくて……治癒大ならできます。」
『それはエリア設定が高過ぎるんです。エリアを地上5センチ以内で張って下さい。最悪地上に当たっても大丈夫です。で、蘇生は地上ベタで治癒大の3倍の魔力を一気に流し込むんです。簡単でしょう?』
「いや……まずエリア設定なんてしたこと無いです。」
「ノワール……それはマギコマスターの名を冠するおまえらしく無いな。」
『包括魔力は幾らです?』
「250万です。あの……帝国勇者様は?」
『様は要りませんよ。不明です。』
小合がもう一度ギルドカードを見せる。MP……計測不能……
「はぁ?」
『デクさんも1万有るんですよ?後で計ってみましょう。』
「帝国勇者は帝国冒険者ギルドまで?」
『いえ、共和国にダンジョンができましてね……そこに来てもらうのにギルドマスターがたまたま乗ってるんですよ。』
デクが白いギルドカードを見せる。
「ディクリウス……お前まだG級なのか?」
「仮カードだ!」
『俺仮カードB級だったけど?』
「そりゃドボコン優勝者に白とか渡せないですよ……っと、ノワールさん本当にMP268万有るんですね。カッツさんは7000です。ハイオークでも高い方ですね。」
『こちら冒険者ギルド共和国出張所のギルドマスター、セシリアさんとスライム狂いのシェーナさんです。』
「こんなあたしに誰がした~!」
『クリムの子?』
「スラちゃんの為なら悪魔にでもなります!」
「神のスライム……」
『何ですか?』
「エルブヘイムのお伽話でプラムボーイってのが有るんですよ。プラムの木から生まれた神の子プラムボーイがスライム、ドラゴン、ゴブリンを仲間に魔王をやっつけるって話です。そのスライムが神のメタルスライムでして……喋るんですよ。」
[ぼくみたいなスライムだね。]
「ゆ……勇者様?こ……この子……」
『グラトニーオリハルコンスライムの子ですよ?普通に喋ります。』
「って喋らなきゃ錬金術使えないだろうが。」
「錬金術師のメタルスライム……ゴブリンの王……星の海を渡るドラゴン……勇者様はプラムボーイだったんですか?」
『いやいやそんな大層な者では無くてですね。ただの胡散臭いロボットです。』
「プラムボーイもプラムの木でできたゴーレムです……これは……風の向きが見方に付きました!」
「木製の外装作ろうか?」
『博士!何時から会話に参加しとる?』
「さっきワタナベさんとカッツさん呼んで飲み会しようとしてたから。」
『本気で禁酒令出したろか?虫の宇宙船どうだった?』
「あれ噛み付くぞ?で、一体死んだ。」
『それは仕方ない。虫型宇宙船作って欲しい。』
「形あのままでいいなら4台作って有る。我を称えよ!」
『スペックは?』
「試作脳波コントローラー装備、通常空間ワープ1.2、ジャンプ・跳躍装置装備、キャプチャービーム装備、脱出装置、自爆装置、そんなもんか。」
『必要以上の物作っとるな……』
「あと敵のレーザー無効と通信妨害はシーサーをアンテナとしてこちらの戦艦、戦闘機のみに作用する。サムライソードで敵を蹂躙できるぞ?」
『サムライソードにドリル状の……』
「衝角障壁なら最初から付いてるよ?言わなかったっけ?」
『聞いて無かったので焼酎1本没収。』
「鬼~!」
『で、いろいろ作ってくれたので焼酎5本進呈。』
「みんなで飲むよ神様!」
「あの方は?」
「共和国の至宝、コース・ケベ博士だ。噂は流れて来てただろ?」
「気難しい大天才だとは聞いて居たが……」
『天才は天才だけど……気難しく見えた?』
「いいえ……どちらかと言うとお調子者に見えました。」
『でしょ?結構苦労するんだよ?』
「ロボットの旦那~!帳簿見直し終わりましたぜ~。」
『お疲れ様~、懇親会やるんだけどギルマス時間有る~?』
「もちろん……ってダークエルフ女王?」
「はい、連邦のノワール少佐です。」
「旦那本当に何者ですか?」
「帝国勇者と共和国准将の2足草鞋の男」
『しかしてその実態は?』
“嫁と子に、頭上がらぬ、ダメ親父”
『わしはダメダメダメおやじ……今日も家ではオニババが……』
{誰がオニババやねん。}
『お前。』
(また懐かしい物を……)
『聞いてください 親子4人の長い長い物語……』
(でもあれ最終的に仲間呼んで大団円なのよね。)
{え?お父さん殴って終わりでは?}
(社長になって山登りとかしてたわよ?)
『82年に終わったからな。佳寿子は70年代のしか見てないんだろう。』
{そんなに詳しく知らんわい。}
『俺が買ってたサンデー読んで無かったっけ?』
{基本的にうる星やつらとダメっ子ユキちゃんとラブZを……}
『ふたり鷹の中盤なんかはまりそうなのに。』
(スティングレー乗ってるお母さんの辺り?)
『うん、大型バイクロマンへの復帰を目指す本格バイクメロドラマの辺り。』
<あんたらは真面目な話はできないのか?>
『わりと……』
「そちらは?」
『共和国アホダラアンドロイドのリーダーこと共和国初代勇者の城野博之さんです。』
<リーダーは克己君でしょ?>
『俺がリーダーだと好き勝手に面白そうな事しかしませんよ?』
《今までもそうでしょうに。》
「あの……この艦の責任者は?」
全員が克己を指差した。
『あれ?』
「あれ?じゃねーよ0号!ってかアホダラアンドロイドってオレ達も入ってるのか?」
『そこまで考えて発言して無いぞ?』
「ああ、ドボコンの時と同じか?」
『そうだな……すまねぇヒュード、行くのが3人になった。なぁゴンザレス君。』
「ええ?僕も行けるんですか?」
『君は出力も高いし冒険者の経験も豊富だ。妨害さえ俺たちが何とかしたら行けるんじゃないか?』
「やっぱりお前ゴンザレスに勝たせようとしてるな?」
『不満か?』
「とんでもねぇぜ相棒!」
ヒュードはしっかりと小合の手を握った。
1週間お待たせして申し訳ありませんでした。
ただ熱が出た前後で明らかに筋に変化が……
{熱出しとる最中は82年の少年サンデー語ってたな。}
本当に何でダメおやじエピソード出したんだろうな?
{どうせならできんボーイとか手っちゃんとか……}
70年代やないか!




