トライサブ家の罠
まだ隔離施設に居ます
そろそろインシュリンが無くなる……
「かなり肥沃な土地の割には税収が少ないな……」
『カオーくん、もうやってんの?』
「ええ旦那、畑の作付面積の割に作物量が半分未満なんですよ。」
『隠されてない?調べに行くの付き合うよ?』
「それじゃ一緒に来て貰えます?」
で、農業林業ギルドへ……
「俺っちの書類が信用できねぇってか!?」
『いきなり恫喝する間抜けの書類が信用できると思うのかたわけ!』
「俺っちは数字なんぞ誤魔化してねぇ!」
『んじゃここの書類は適正なんだな?1ヘクタールあたり麦1キログラムが適正なんだな?よしわかった!ギルドは解散だ!』
「待てロボット!1ヘクタール麦1キロって何だよ?」
『それ聞きに来たらてめえが喧嘩売ったんだろうが!ロケットパ~ン……』
「旦那、止めて。ギルマス、私も少々おかしい位では来ないですよ。それとあの人ドボコン優勝者のSSS級冒険者でアシモフサーキット付いてないからね?」
『んでそこのバカ!この辺の土地は1ヘクタール1キロのクソ痩せた土地なんだな?』
「待て!ワシが悪かった。今までの収穫記録を出す。」
『今更どうするそんなもん!てめえは話も聞かずに書類が信用できねぇのかつったよな?こっちは信用できねぇつってんだ!きっちり地獄で反省しろ。エロイムエッサイム……門より出でよ侯爵マルコシアス!』
大きな狼が魔方陣から這い出てくる。
“用かね旦那?”
『そいつ何か騙してねぇ?』
“いや、どっちかと言うとこいつも騙されてたクチだな。トライサブ家の執事を騙る奴に騙されてた様だぜ。”
『またトライサブか!シーモの野郎今からでも殺してやろうか……』
「旦那、声出てる……」
「いやでもトライサブ家はもう没落しかねぇよ?跡取りは刑務所当主は地獄送り、あんたの目論見通りに動いてるぜ?」
『そう思ってたが足りねぇんだよ。領民の苦しみはあんなもんじゃ足りねぇ……』
「すまねぇ……あんたたちが来たときワシ達を増税で苦しめようとしてると思ったんだ。」
『そんな事だろうと思った。だがあの対応は敵作るだけだぞ。そうでなくてもトライサブ軍に嫌がらせされたから蹴散らして来たんだ。あの領主邸も残してりゃ少しは金になったかも知れないが潰した方がトライサブにショック与えられるからな。んで瓦礫痕から領民の怪我人や遺体が出たら素直に投石刑にするつもりだったんだが……』
「投石刑?」
「領民に石を投げて殺してもらうんだ。なおこの旦那の事だからすぐ楽にはしないだろう。」
『当然何回かは蘇生かけるよ?』
「思った以上にえげつないな……」
「普通の貴族であったなら……だね。もしトライサブが普通の貴族であったならこの旦那は無視してただろうしここまで大事にはならなかった。」
『と言うか皇帝陛下暗殺に混ざってた時点で生きたまま地獄廻りしてもらう事になる。』
「ああ、あんたやっぱり皇帝陛下の懐刀なのか。」
『いや、先帝の皇女ミヤビ様のボディーガードだ。』
訳の判ってないギルマスにカオーが説明する。
「ミヤビ様ってとある女神様の巫女なんだがこの旦那その女神様に頭上がらなくてね。」
「すまねぇ、あんたを誤解してた。皇帝陛下にくっついてんのかと思ったらタケ殿下の娘のボディーガードとは。しかも女神様の巫女ときた。信心深いヤツに悪いヤツは居ねぇ。」
まだ色々間違えてるがギルマスは小合達を受け入れた様だ。
「カオーさんよ、ここ2桁誤魔化してねぇか?」
「うわ……本当だ、これ酷いな……」
『カオーくん、残りは艦でやらない?ノリコに任せた方が早いぞ。ギルマス、資料は……』
「ワシが付いていけば大丈夫だ。さぁ宇宙船見せてくれ。」
『慣れたらそんなに楽しい物でも無いぞ?』
自家用レスキューチェイサーに資料を載せて高速流星へ……
《あたしは構わないけど機密事項になるんじゃないの?》
『バレても皇家の懐具合だけだし。』
《いやあたし共和国のロボなんだけど?》
『いいんじゃないの?ねぇ陛下、トライサブの帳簿ノリコちゃんに見てもらっていい?』
頭の上でマル作ってるあのおっさん……
と言う訳でノリコちゃんにやってもらったら絶句するような誤魔化し方してた……
《何で5万が2つで千になるのよ……廃棄小麦5万トンって年間収穫3千トンしかないのに……輸入12万トン?》
『頭おかしくなるでしょ?』
《凄いわ……これ書いた人の頭……ギルドの帳簿と比べたら……年間2億ダラーの脱税……》
「トライサブの関係者どんどんしょっ引いて聞くかな?」
『いや無駄でしょう。トライサブ家の浪費に加えて宇宙軍で相当無駄遣いしてるから。』
《誰か気持ち良く撃ち落としてた様な?》
『そりゃこっちに向かって来たら叩くわな。』
「あれ?今せこせこ攻撃してきてる奴って……」
『たぶん給料もらえないから宇宙海賊に鞍替えだろうね。仮想標的から標的に変更。』
「0号そんなに非情だったっけ?」
『情知らずのロボットですので。』
{情ないロボットの間違いだな。}
『JUN太……人の事言えるかお前は?』
{自覚は無いぞ?}
「ギルマス……あれが旦那ですよ。意外と砕けてるでしょう?」
「ああ……もっと四角四面の頭の固い御仁かと。あのお人形は何ですか?」
「あれが旦那の相棒ですよ。偵察ユニットなんですがね。」
「何でネズミの毛皮着せてるんです?」
「あのカラーリングはなかなか優れた迷彩なんだそうですよ。実際……」
“巨大昆虫接近、巨大昆虫接近、艦長は指令室へ。”
『巨大昆虫ってなんじゃい?』
{ギャラクシアンかギャラガかと。}
『黎明期のテレビゲームじゃねぇ!』
{んじゃシャッガイの昆虫族か?}
『その場合連邦が国境越えて攻めてきた形になるんだが?』
{連邦ってどこやったっけ?}
『デクさんの妹が居るところだが?覚えてなかったのか?』
{いや覚える気が無かったんじゃが?}
『余計に悪い!』
{おっさん急げ!}
『肩に座ったまま偉そうに言うな!……あ、本当にシャッガイの昆虫族だ……こちら特別儀礼艦高速流星。所属と艦名を述べよ!』
{やっぱり30分遅れたか。}
遅れたくはねーのよ?鼻水が溢れて来るんだ。
{寄るなあぁぁ!}




