悪魔召喚
「さて申し開きを聞こうか。」
いつもの好好爺然としたマツシトでは無かった。
「通行税を設定するのは構わん、だが特務儀礼艦を停める権限をどこから引っ張って来たのか?納得の行く答えを示してみよ。」
「ははっ。皇帝陛下が乗艦されているとは露知らず……」
「儀礼艦は余が乗っているいないに拘わらず皇帝の全権大使とせよとあったはずじゃがの?更に神の使いである緑星竜リョク殿に発情し拐かそうとした事について質問状を送ったはずだがまだ回答がないな。皇帝からの質問状を一年に渡り無視する。男爵家とはそんなに偉かったのかのう?」
「お……恐れながら神の使いとは信用できるものではなく……」
「JUNちゃん、あれを見せてやってください。」
{はい、皇帝陛下。モニターをお借りします。}
③……②……①……
「そこの娘、伽を命ずる!」
(ご主人、何言ってんですこの馬鹿?)
『ん~放っとけ。あんた本当にこの娘抱けるのか?無理なら首刎ねるぞ?』
「何を言うか下賎なロボットめが!」
『リョク!変身解除!』
たちまち出てくる120メートルの緑星竜…馬鹿は小便漏らしてる。
『リョク、魔素濃度は?』
(40%!ちょい濃いめ!)
『んじゃ約束通り首刎ねますか…』
「待て!俺は男爵だ!」
『それがどうした?』
スパン!
『復活!一遍死んだ気分はどうだ?』
「この無礼者が!」
スパン!
『復活!いつ心が折れるかな?』
(ご主人早く斬りすぎて死んだ実感無いんでは?)
「何を面妖な事を…」
ズブッ!腹刺して止める。
「うぎゃああぁぁ!」
『やかまし!』
スパン!
『復活!』
「ああぁぁ…あれ!」
『何されてたか解ったか?』
「この俺にこんなことしてただで済むと…」
「もちろん済むぞ三下が!」
「誰だ?」
『お前は皇帝の顔も覚えて無いのか?』
………………
{以上でございます。}
「あのロボットは貴族に対し何と無礼な……」
「と言うことらしいぞ?帝国勇者オゴウ殿。」
『陛下、俺下賤なロボットなんで良くわからないんですが男爵と帝国勇者ってどっちが上なんですか?』
「そなたのギルドカードに書いてある通り、この者、皇帝に刃を向ける以外の事を赦し意に沿わぬ者に頭を垂れずとも良き事を名言す。
またこの者の主はこの者が求むる者以外は皇帝のみであり、何人もこの者に臣従を迫るを赦さず。つまり侯爵相当じゃ。既にそれだけの働きは見せてもらっておるでのう。」
『つまり俺を無礼呼ばわりしたおっさんは……』
「うむ、不敬罪のみならず反逆罪も視野に入れねばならんのう。」
「貴様はロボットの分際で貴族を傷付けた!これを許して欲しければ……」
『やかましい。』
ドゴッ!ロケットパンチがおっさんの顔面にめり込む。
『皇帝陛下の最後の慈悲を意固地さで無駄にしたなアホが……ロボットが貴族傷付けたら何だって?』
「スクラップにしてくれるわ!」
『それ嫌だからお前を屑肉にする。』
ブチッ!右腕を引き千切る小合。
「ぎゃあああああぁぁぁぁぁ!」
『貴族なら騒ぐなみっともない!ヒュードも行っとく?』
「ムチャ言うなよ……お前さんみたいに再生呪文知らねぇのに。」
『ゴンザレスくんは使えるぞ?まだ教えてないけど。』
「0-号?オレ達をどうしたいんだ?」
『敵が多いんで友人にしたい。皇帝陛下のな。』
「それはどういう……?オレは陛下の臣民のつもりだが?」
『このトライサブ、キャティ家と組んで20年前の陛下暗殺に関与した証拠が上がっている……おいまだ死ぬなよおっさん?……おっさん?あ~もう面倒臭い、上級治癒!』
{あるじ、なんでこいつにエキノコックスワーム入れないの?}
『もったいないじゃん?どうせこいつ死罪だし。』
「待て待て待て、一応裁判官をだな……」
『ここの裁判官は全員トライサブの息がかかってる。裁判するにしても呼ぶだけ無駄だぞ?で、その場合上位貴族が裁判官を兼任する、帝国憲章にも書いてある。この場合俺より上位はサイカン公子とカラミ辺境伯……になるのかな?』
「私は下ですが?」
『それは失礼、人間的に尊敬できる上位貴族は辺境伯だけでしたのに……でサイカン公子はまだお若過ぎるんで不本意ながら俺が裁判官代行をやってるんだよ。』
「うん、理解した気がする。」
「ドラッチ!見栄張るな!」
「兄さん!喧嘩するな!」
「そこのロボット!このロボットを排除しろ!」
「あんた何聞いてたんだよ?0-号は帝国勇者、現在地位はあんたより上だ。あとドボコン優勝者に喧嘩売るとか普通はできねぇぜ?」
「わしの可愛いシーモを傷付けおったのじゃ!」
『お前の可愛いシーモとやらは強姦事件を8回繰り返して居たがそれについては?』
「下民などどうなろうが知った事か!」
『汝罪有り!極刑を言い渡す!』
“おうおう、高天ヶ原の喧嘩神が本気で怒ったのう。”
「アマテラス様?あのスサノオ様は止まるのかや?」
“止めた記憶は無いのう……”
『エロイムエッサイム……門より出でよ!侯爵キマリス!』
見るからに堂々とした悪魔が顕現する。
“おお、スサノオの旦那。この悪魔に用事かね?”
『あのおっさんにヤキ入れてくれ。死んでも構わない。手下が楽しむのも可。』
“ありがとう、奴隷として貰っていこう。”
『身体ぐちゃぐちゃにしてもいいからな?』
“へへっ、お前本気で旦那怒らせたんだな。まぁいい。反省できない屑はオレ達も好きだぜ。じゃぁまたな。”
魔方陣の中にキマリスとおっさんが消える……
「オゴウさん、何ですかあれは?」
『ソロモンに封印されし72の悪魔が1人、魔界侯爵キマリス。アフリカの悪霊を従える実力者だよ。』
「やはり変に顔が広いのう。」
“ミヤビはああなるで無いぞよ?”
『え?バァルとかファウスト紹介しようと思ってたのに……』
“せんでいい!”
『んじゃ人好きなナイアルラトホテップとか?』
“異界の邪神ではないか!”
『確か最近彼氏ができたとか……』
“ミヤビ……くれぐれもああならないでくりゃれ?”
「0-号って悪魔まで知り合いかよ?」
『付き合ってみると気のいい連中だぞ?悪魔だけど。』
{とうとうソロモンの悪魔まで……}
悪魔と言ってもキリスト教に追われた神々だからな。
{15分遅れたな。}
ああ……まさかこんなことになろうとは……




