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彼女の第一印象は、浮いてるな、であった。

彼女が来ている着物も、簪も化粧も。

それでも、彼女はこれが正解であるという顔をしている。

たまにこういう似合わないものを着ても好きなものだからいいでしょう?という態度の人もいる。でも、そういう人とは違う顔つきであった。使命感に駆られた顔つきであった。

着物は確か白色で、帯は黒地に花の刺繍がしてあった。髪は、短いのに括って白い花の簪をしていた。

「お会いできて光栄ですわ。わたくし、ユリコと申します。本日は、よろしくお願いします。」

と、お見合いの手本のような一文を言ってのけた。

その、棒読みといい、機械のような態度といい、嫌々やっている感が伝わる。

同席している父親の方は何とか売り込もうとしている。優しい子だとか、家庭的な子だとか。正直言って、聞く気にはなれず一時もすればその家を出ていった。縁がないし、そもそも断るつもりだったし。案の定、自分が断る前に先方から断りの連絡が来たのだけれど。

でも。今日のような彼女は、自分をしっかり見て答えていた、話していたなと思った。しかも、忌み嫌われている自分の瞳を澄んでいるなんて形容した。あれが素ならいいな、なんて。

そして、彼女が塀から入ってくるまでの理由を知りたくて仕方がなかった。


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