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付与魔法使いは迷宮へ  作者: 灯絵 優
付与魔法使いと魔剣の継承者
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第八話

 朝から「アールブムっ。洗いましょう!」と白い固まりとなっていたアルブムを持ち上げて朝食を取った後、ズリエルと一緒にペットショップへ向かった。

 ペットショップは相変わらずのたたずまいで、以前より客が多いようだった。店主のマーリンは忙しなく接客をしており、以前には居なかった店員が一人増えていた。

「あ、お久しぶりです!」

「ご無沙汰してます。今日はご相談があるのですが……ずいぶん繁盛していらっしゃるんですね」

「おかげさまで氷属性の使い魔が飛ぶように売れまして! これもお客さんのおかげです」

「そ、そうですか……」

 ほくほく顔に苦笑いを返しながら要件を告げると、専門店を教えてもらった。獣人のトリートメントを専門にしているが、頼めば動物も洗ってくれると言うので、礼を言って店舗に向かう。

 店は女性がやっているようで、ご近所の奥様が日雇いなどで働きに来ているらしく、店舗裏に大きな洗浄場もあった。

 アルブムは大人しく連れて行かれ、しばらくすると悲鳴が聞こえてきた。

「――キャアアア!!!!」

「いったい何が!?」

「大丈夫ですお客様、良くある事ですので」

「いやあああああ!」

「ひい」

「サンレガシ様、席に座ってお待ちを」

「でも……」

「サンレガシ様」

「ビャアアー!」

 絹を裂くような女性の悲鳴が増えていく。

 膝に置かれたズリエルの手を押しながら店長を見上げるが、本人は後れ毛を髪にかけ、淡々と微笑むだけだ。これまで何度も客にしてきたのと同じように。

「ご心配には及びません。良くある事ですので」

 鉄壁の笑顔を見て生唾を飲み込むと、ズリエルの手が離れた。

 震えながら待っていると、しばらくしてさっぱりとしたモフリ具合になったアルブムが帰ってくる。耳に鼻先を埋めて匂いを嗅いでみたが、すっかりツンとした刺激臭が消えている。

 しかし背後の店員は足を震わせたままだ。

「キュアキュ。キュキュ」

「綺麗にしてもらって良かったですね。あ、ありがとうございました」

「いえいえ。ところでお客様、できれば頻繁に使い魔様をトリミングしていただければと思います」

「は、はい」

 勘定を済ませると「キュキュ」とアルブムが話しかけてくる。どうやら耳の中にヘドロ状の肉や虫の死骸が入っていたそうだ。暗黒魔法の余波で入っていた物や青火(あおび)ノミの死骸では、と思うと背筋が寒くなる。

「キュ! キュアキュ。キュキュキュキュキュキュ」

「どうしました? あ、お友達のところへ見せに?」

「キュキューン!」

「晩ご飯までに帰宅してくださいねー!」

 腕から飛び降りたアルブムは、九本の尻尾を振って人混みの中に消えていく。

 最近できたという友人の気配を感じたのかもしれない。「子分だけど、友達だぜ」と言わんばかりの話しぶりなので、良くしてもらっているらしい。アルブムはおやつをくれる奴を子分認定する癖があった。

「帰宅なさいますか」

 返事をしようとしたとき、腕を引かれ背後に庇われる。

 すれ違った男が舌打ちした。

「すみません、よそ見をしていました」

「いえ。後を付けている者の仲間でしょう。元々狙われておりましたので」

 振り返らずに、と涼しい顔で言われぐっと目を瞑って耐える。開けていたら白目をむいていただろう。

「ユグド領の一級冒険者が増えたことが他領に伝わった頃です。偵察でしょう。領内の戦力が変動すれば情勢も動きます。臑に傷を持つ輩は、何にでも興味を持ちますので」

「ストラーナさんの店へお礼に伺おうと思っていたのですが、止めた方がいいでしょうか?」

「問題ありません。そのために御領主様は動いたのですから」

 なんとも頼もしい返事に尊敬の眼差しを向けると、ズリエルはすっと顔をそらす。しかし尻尾がいつもより左右に揺れていた。獣人は顔を見なくても表情がわかるので付き合いやすいな、と考えながら魔法薬店へ向かう。

 壊れた建物はすっかり綺麗に直り、ユックが店番をしながらノートに落書きをしている。平和そのものの光景に知らず頬が緩んだ。

「あ! 良く来たな、買い占め! お師匠様は奥で引きこもってるから、今がチャンスだよ!」

「……ははっ。本日はお礼に窺いました。こちらお納めください」

 すっとマジックバッグから取り出した薬草類は、ウズル迷宮で採れたものだ。貴重な物を選んでいるので魔法薬店なら喜ぶだろうと思っていたのだが、ユックは耳を伏せてしまう。

「お師匠様は魔法薬を眺めるのが好きだから、材料貰うと嫌がるよ? 作るの嫌いだし」

「ええっ、じゃあ何が良いでしょうか?」

「昆布茶と餡子のおかし。お師匠様はお婆ちゃん舌だから」

「そ、そうですか……。では、出直してまいります」

 薬草の入った木箱を下げようとすると、目にも止まらぬ速さで抑えられる。

「待って! せっかく持ってきたんだから物々交換しよう? お師匠様にもっと魔法薬を作ってもらわないと。領主様も量を増やしたいって言ってたし」

 嫌がるストラーナが目に浮かぶようだ。

「他の奴に押しつけたいけど、腕が悪いから駄目だって。だから材料積み増しして誤魔化してるんだ。名付けて! やってもやっても終わらない作戦」

 鬼畜の所業である。首をかしげながら作るストラーナの姿が目に浮かぶようだ。

「もちろん、ちゃんとしたものと交換するよ。はいこれ、ドルイドが作った本物の青ポーションの原液!」

 ユックはカウンターの奥の棚を開け、中の青ポーションを避けると側面を押す。

 すると板が外れた。

 小瓶を取り出したユックは、迷いもせずミルへ渡す。

 そのまま舐めると口が青く染まると言う謎の注意をして、ほくほく顔で木箱を奪っていく。用事が終わったら帰れとばかりに手を振られた。

「まいどあり!」

 なにか釈然としないものを感じた。

「ええと、ドーマさんへのお礼は渡しましたし、妹に言われた屑魔石も他の物と一緒に配送したし……」

 用事は全て終了だ。

 実家が魔石持ちになってる気がするが、必要経費が浮くのは良いことだ。良いことをしたと思うと、帰る足も軽くなるというものだ。



 教会はラーソン邸の近くにあった。

 祈りの間や孤児院も併設されているため、人も多い。中にある大浴場を通り抜けた個人用の浴槽で、ミルはゆっくりと聖水に浸かっていた。

「はへぇ」

「ずいぶんお疲れでしたのね」

 肩をほぐすように揉むシシリは、額の汗を拭うと、桶一杯の水を頭からかけた。

「ありがとうございまふ……」

 小さな桶は腰までの深さしかないが、その場から動けなくなるほどうっとりしている。

「様子がおかしいから、もしやと思いましたが。やはり暗黒魔法の影響が残ってましたのね。こちらをお飲みになって」

 渡されたカップには透明な液体。

 水だろうかと飲んだミルは、喉から胃まですっと洗われたような気分がした。気付けばカップの内側を舐めている。

「これはなんれふか?」

「聖水ですのよ。今浸かってるのもそうですわ」

「せいすい……すきすきしゅき」

 誘われた沐浴がこんなに良かったなんて。

 ミルはぽーっとした頭で「今日は素敵な日」と思った。

「まあ、重傷だわ――っ駄目よ、浴槽の水を飲んでは! ぺっなさい、ぺ!」

「いやですっ! もっと飲みたい、飲みたいれす!」

「きゃあっ、誰かある! 聖水の大壺をここに!」

 扉の前で人が動く気配がし、すぐに大壺が運び込まれる。

 暴れるミルを羽交い締めにしていたシシリは、大人しく頭を突っ込んだのを見て離す。

「アウリール様の歴代パーティ解散の原因は、間違いなくこれね」

「シシリさん、この方どうなさったの?」

「あらジュディット様」

 妊娠中とのことで、一時教会に身を置くことにしたジュディットは、あらあらとたおやかに微笑みながら座り込む。その腹部はまろやかに膨らんでいた。

「具合はよろしいの?」

「ええ、ずいぶんと。それで?」

「ほら、アウリール様は暗黒魔法の使い手でしょう? 見るからに目つきがおかしくなっていたので、もしやと聖水に浸からせてみたら、思った以上に汚染が酷かったみたいで。今はこの通りなのよ」

 聖水を飲みたがるのは、体が汚染に耐えかねているからだ。自力で排出できないと、体は不調を起こす。

「精神汚染ほどではありませんが、溜まりすぎると良くありませんから。誰かある! もう三つ追加をお願いします」

「まぁ、そんなに? お腹がお水で一杯になってしまうわ」

「この際、ケチらず肩まで浸からせるつもりよ」

 意地汚く壺の内側に頭を入れて舐めているミルは、二人の声も聞こえていない。必死で聖水を舐めている。ぺろぺろと。

「もっと、もっとほしぃれしゅ」

「……。本日は泊まっていただいた方がよさそうね。お願いできるかしら?」

「司祭様に、部屋の用意をお願いしてきますわ。今夜はセドリックも帰ってきませんし、女性だけでお茶会はいかがかしら?」

「まあ、素敵だわ。心労も溜まっていらっしゃるみたいだし……。おかわいそうに」

 水浸しの少女が、呂律をおかしくしながら必死に聖水を舐めている姿に耐えかね、シシリはほろりと泣いた。


 翌朝、すっかり水腹になったミルだが、表情はペカペカのツヤツヤで、心も軽い。

 やはり時空魔法を極めて、早急に記憶を消すしかないと決意を新たにした。



 翌日、迷宮四十一階層。

 黒門をくぐった瞬間、気さくに声をかけられたシャリオスは、崩れ落ちるように膝をついた。

「何で待ち構えてるんだ……」

「領主様に聞いたら、お前が詳しいから付いてけってよ」

「わたしは筋肉ダルマに、運ばないと下ろさないと脅迫されました! このままではお手洗いもままなりません。刑の執行を要求します! ていうか下ろして!」

「なんだぁ、もう便所か?」

「筋肉黙れです!! 非道の誹りを免れると思うなよ!」

「ふん」

 肩車しているユティシアに頭を殴られ「いてててて」と言いながら馬鹿笑いし、仁王立ちしているグロリアスは鼻を鳴らす。装備品は修理にでも出したのか、街中を歩くような軽装だ。本日は弓と斧が消え、腰に剣を佩いただけである。

 混沌とした状況に無言となると、取りなすようにポロが進み出て、説明した。

「次のメンバー選定のために、迷宮の詳しい情報が欲しいと思いまして。そうすると、シャリオス様方がお詳しいと。話すならば迷宮(ここ)が最適かと思い、お待ちしておりました。ご容赦ください」

 差し出されたのは領主印のされたカードで、二パーティに情報解禁の許可を出した事が書かれていた。

 溜め息を付いたシャリオスは「安全地帯で話そう」とミルに指示を出す。

 四十二階層へ続く黒門まで来ると、未だに未分類サメ型モンスターを釣って肉を焼く準備をする。

「まだ昼飯には早いんじゃないか? あ、そうだ。お前に言えばマジックバッグの材料手に入るって聞いたけど、どこで採れんの? まさかこいつらの腹の中とか言わないよな」

「遠慮って物を知らないのかな。生肉食べるの止めてくれない!? ミルちゃん、切ってあげなくて良いから! 腹壊すから! 寄生虫とか怖くないの!?」

「おめぇ、吸血鬼が何言ってんだよ。ちゃんと虫下し飲んだぜ!」

「最悪!!」

 ブロック肉を薄く切るたびに横から伸びたフォークが攫っていく。慌てて切り落とし続けてたミルは、ユヒトの手をシャリオスが掴んだので、まな板ごと遠くへ逃げた。

「そうです! 筋肉を甘やかさなくて良いんですよ。むぐむぐ」

「君も生肉食べるのやめてよね」

「筋肉が口にむぐ、入れてきてむぐむぐ」

 と解放されたユティシアが言い訳しつつ、足下で甘えるアルブムにブロック肉を横流ししていた。かわいいの勝利であり、共犯者の増殖である。

「なんだよ、俺と扱いが違ぇじゃねぇか」

「五月蠅いですね筋肉! わたし達は働いているのです!」

「じゃあ俺も手伝うぜ、食う方をな!」

「座れです! お馬鹿さんが!」

 最終的にシャリオスとズリエルが左右を固めて連行したおかげで、焼き肉の用意が調った。それぞれタレを選んで食べていると、匂いを嗅ぎつけた鳥形モンスターがけたたましく鳴く。

 立ち上がりかけた面々を押しとどめたシャリオスは、鉄板の肉と野菜をひっくり返す。隣で細麺を焼き始めると、迷宮内に美味しそうな香りが充満していく。

「いい? よく見ててよ。あれが三種の物悲しモンスターです。そしてこちらが焼きそばです」

「なんで敬語になってんだよ」

 勝手に死んでいくモンスター達を見ながら、辛うじてユヒトがつっこんだ。

 そのまま積み上がっていく死骸。

 一生懸命麺を炒めていたミルは具と混ぜて八等分し、焦げ付く前に皿へ盛り付けると額の汗を拭った。芳ばしい香りの特盛り焼きそばは、ドーマがくれたレシピ通りで旨い。

「お前ら、必死で金策してた俺達に謝れ。謝れよ謝れ」

「筋肉に賛同するのは悔しいですが、わたしもお師匠様に謝ってもらいたい気分でいっぱいです」

 ずん、と落ち込む二人の背をポロが宥めた。

「よろしいじゃありませんか。これなら迷宮内でたらふく肉を食べられます」

「心情というかが……まあいいか。沼といい、どんどんウズル迷宮の難易度が下がんな。下層まで短縮できるのは最高だけどよ」

「そんな皆に残念なお知らせが」

「なんだ? まだあるのか?」

「これは楽しみでございますね、グロリアス様」

「ふん」

 グロリアスから奇妙な生物を見る目を向けられているシャリオスは、そうと気づかず首を振った。

「本番はこれから」

「じゃあ、私はアルブムと一緒にお留守番をしていますね。あっ、やめて! 掴まないでください!」

「ユティシアじゃしくじるかもしれないし、初めは先輩がお手本をみせないと。ね、お願い」

「嫌です、嫌い! シャリオスさん、たくさん嫌いです! あ、裏切り者ー!」

 小脇に抱えられたミルの腕から、無情にもアルブムは抜け出した。素早くズリエルの足の間に頭を突っ込み、知らない振りを決め込む。

「僕はミルちゃんのこと大好きだよ? ちょっとだけ。ね、ちょっとだけだから。あとはユティシアが何とかするから。ね、ね?」

「待ってください、嫌な予感がしてきたんですけど。お師匠様、どういうことですか!?」

「いやあ! 誰かー! 助けて!」

 杖を地面に立てて踏ん張り、力の限り抵抗している。やすやすと剥がされているが。

「おい、危険があるのか」

 問いかけたのは半目のグロリアス。この先に何のモンスターが出るか知っているだけに、嫌がりように疑問を抱く。

「ミルちゃんがいれば危険じゃないよ。いないと全滅するけど」

「ふむ。貴様はパーティを全滅させたいのか」

 静かに問いかけられ、暴れる足がピタリと止まる。目に盛り上がった涙に驚いたのはシャリオスだ。

「けっきょく行くのですから、少しくらい抵抗したって良いじゃないですかー!」

「あー! グロリアスが泣かした」

「黙れ、元凶は貴様だ。なすりつけるな。お前もこの程度で泣くな」

「うるさいグロリアス。シッッッ!」

 あっち行けと追い払われる。

 泣きながら憤慨するという器用な事をするミルが落ち着くまで、優雅に紅茶を飲み始めたグロリアスは、終始舌打ちする。

「お師匠様が嫌がるなんて見た事が……いや、一緒にいたのは一週間くらいですけど」

「子供返りしてねぇか? おーい、シャリオス。しつこいと嫌われるぞー」

「あっち行け馬鹿ユヒト、筋肉」

「ギュ……」

 ふせをして反省アピールしているアルブムは、それでもご主人様を見捨てるのであった。

 暴れ疲れて大人しくなった半べそミルを背負ったシャリオスは、ズリエルとアルブムを除いた四人を呼ぶ。

「この先に行くけど、いつもと出現モンスターが変わってる。条件は出た後教えるから、僕の言う事に全員従う事。勝手に攻撃しない事。これが守れる人だけ一緒に来て」

「お、おう。それは良いんだが、お前のミルちゃん闇深い目になってるけど大丈夫? 同じ所に堕ちろって呟いてるけど大丈夫?」

「これは三種のもの悲しモンスターに出会った冒険者の宿命だから、大丈夫」

「さっきのモンスターですよね? 全然大丈夫そうに見えねぇですよ……」

「チッ、さっさとしろ」

「興味深いですな」

 それぞれ呟きつつ、四十二階層へ続く黒門へ入った。

 すると出てくる巨大な赤ゴーレム。

 身構える彼らは、障壁にすくい取られるように運び出され、天井付近の安全地帯へ運ばれていく。

「赤の次は青、白って続くけど、終わるまで待機だから」

「待機ってなんだ? つーか何でお前は工具いじってんだ?」

「見てればわかるから」

 ふ、と息を吐いたシャリオスは魔導具の手入れをする人となってしまう。半目で見ていたユヒトだが「近づいてきますね」と言う冷静なポロの言葉に視線を下げる。

 飛びかかってくる赤ゴーレムを見てグロリアスが剣を抜きかけるが「約束」とシャリオスにとどめられ、舌打ちする。その瞬間、失速して着地したゴーレムが自重に耐えられず、足下から砕け、後には赤い魔石が一つだけ残った。

「……おいシャリオスちゃん。ゴーレム勝手に死んでんぞ」

「ちゃん付けやめろ」

 その足下では新たに出現した青いゴーレムが砕け散るところだった。

 大興奮だったのはユティシアだ。

「これなら座ってるだけでお金が! 一生安泰!」

 目を金にして喜んだ。障壁の移動練習をしながら、ウサ耳を振り回している。瞬く間に障壁の精度が上がっていくのを見て「やっぱ金か」と厳かな表情でユヒトが呟いていた。

「凄い、こんなに適性がある人材がいるなんて」

「これで全てから解放されるんですね」

「はやまるな。あいつは金の亡者だからな?」

 涙ぐむミルはユティシアに付与魔法の授業をして良かったと心から思う。心労から解放された者特有の晴れ晴れとした表情だ。

 退出後、鼻歌混じりに時空魔石を作り始めたミルの横で、ズリエルがレベルについて説明をした。

 全ての情報は引き渡され、迷宮探索は終了となったのである。

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