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これから先、あるかもしれない会話

 シャリオスは振り返りながら問いかける。

「僕は色々な景色を見たいけど、二人は何をしたいの?」

 ズリエルは「御領主様の命に従います」と鉄仮面で告げて、アルブムは美味しいものが食べたいと早くも間食をねだり、魔剣は薄目を開けたが何も答えず瞼を閉じる。

 ミルだけはしばし悩んだ様子をみせた。

 本来なら最下層を目指すような冒険を望まない少女だった。今や大冒険を経て吸血鬼と契約を結び人の区画から外れてしまっている。長い長い生を短命な者達が持て余すのはよくある話だ。

 なんとなく改まった空気になり、それにミルは気づかない。自分の頭の中で浮かんだことを整理してどう伝えるか悩む表情をしていた。そしてしばらくして口を開く。

「調べ物をしたいです。ハーベルディさんと出会って他にも魔法があることを知りました。過去に伝承が途切れた魔法がある気がするので探せたらと思います」

「使える魔法が増えるかもしれないね」

「それもあります! でも一番は……この魔法が何かを知りたいんです」

 そう言って取り出したのは特上級魔法書。

 ボガートとの最終決戦で浮かび上がった呪文は滲んだように薄く記述され発動しないことを教えている。

 魔法は不思議だ。

 ここぞという時に希望の一滴とでも言うように発現する。この源はどこか、もしかしたら昔の人は知っていたのかもしれない。

 あの美しいものを好む星の民を思い、眩しそうに目を細める。

「そっか、じゃあ次は魔法研究が盛んなところがいいかな。迷宮があって、ご飯が美味しくて、治安がいいところ……はなさそうだけど。とりあえず僕の家で計画を練ろうよ。世界は広いし、迷宮はいっぱいあるし」

 その迷宮も日々生まれては滅び続けている。飽きる暇もないだろう。

 なにより国内の熱りが冷めるのがいつになるかわからない。

「なんだかすみません」

「ううん。どうせ僕らは世界中を回りきるんだから、遅いか早いかの違いだよ」

 そう言ってシャリオスはミルとズリエルの手を握る。

 ズリエルはシャリオスの実家のことを考えると鼻の頭に皺が寄って耳がへたるのを感じたが何も言わなかった。

 暗黒魔法より生臭い赤黒い物体が苦手なのである。

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