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アナログプラネット  作者: 千歳もも
✞零  始まる
4/7

第 Ⅰ 話 始まりは唐突に Ⅱ

 学校に着くと、校門の前に女子生徒の人集りが出来ていた。毎朝毎朝よく飽きないよなぁ。


「おはようございます、先輩!」

「先輩が好きって言ってた梅しそジュース買ってきたので、良かったら飲んでください!」

「先輩!」

「先輩!」

「せんぱーい!」

 あー、煩い!


 耳を塞ぎたくなる気持ちをぐっと押し殺して、集団の横をすり抜けて、校舎の中に入る。

 すると、集団の中心に居た人物が、

「おはよう」

 にやりと不敵な笑みを浮かべながら、すれ違いざまにそう言った。

「…………」

 私はそいつを睨み付ける。挨拶は返さなかった。


 私は、あの人が嫌いだ。


 高校に入学してからずっと、あの人はいつも女子生徒と一緒に居る。と言うか、いつも女子生徒達に囲まれている。

 整っていて中性的な顔だし、声も低いがどこか甘い感じだから、男子にも人気があるらしい。私のクラスでも、「先輩って本当にかっこいいよね」なんて会話が毎日と言っていい程耳に入ってくる


 そして何故か、毎朝私に話し掛けてくるのだ。


 先に言っておくけど、自意識過剰じゃないから。私がその人を取り囲む集団の前を通る度に、女子生徒達を押し退けて挨拶しようとしてくるのだ。

 最近はずっと無視していたから諦めたのか、そこまで近付いてこない。でも挨拶してくる事には変わりない。これがうざったくてうざったくて仕方が無く、現在唯一不満な日課なのである。


 はぁ。人気者は余裕があって良いですね。『除け者にされてる哀れな不良少女に話し掛けちゃう俺は、何て優しくてかっこいいんだ!』とか思っちゃってるのかな。

 余計なお世話だよ。イライラするなぁ。


 廊下を歩きながら窓の外を眺めているとぽつりと雫が落ちてきた。

 そういえば、今日は朝から空が灰色だった。ニュースでも台風が来るって言ってたっけ。

 傘持ってきてないや。もし帰る時に降ってたら、走って帰ろう。



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