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アナログプラネット  作者: 千歳もも
✞零  始まる
3/7

第 Ⅰ 話 始まりは唐突に Ⅰ

 ジリリリリ。

 ジリリリリ。


「あーもーうるさっ!」

 乱暴に腕を振り下ろすと、爆音を放っていた目覚まし時計に見事に命中する。

「朝か……」

 いつものように髪を掬う。うん。今日も気持ち悪いオレンジだ。

 学校へ、行かなきゃ。


『えー、現在この台風は――』

 適当にニュースを見ながら、トーストを齧る。

 成長していくに連れどんどんはねていく髪の毛を必死に梳かして、歯を磨いて、制服に腕を通す。ボタンは、いつも二個開けている。

「行ってきます」

 私が出掛ける事で誰も居なくなる可哀想な家に告げ、鍵を閉めた。


 現在、私は高校一年生になっていた。

 髪の毛のせいで行きたい高校には行けなかったけど、近所の校則の緩い高校に入学した。

 まあ、行きたい高校なんて特に無かったんだけど。

 だって地毛だって言ってるのに染めてるだろって疑うような高校、誰が行きたいと思うのよ。もう慣れてる事だけど腹が立った。


 そして、相も変わらず性格はひねくれているままだ。小学生の間は勿論、中学生になっても、私の髪の毛を受け入れてくれる人は居なかったからだ。中学受験なんて出来なかったから地元の中学に上がったんだけど、そのせいで同じ小学校出身の奴らから「松野は性格が悪いから近付かない方がいい」なんて噂を流され、見事にぼっちになった。

 いやいや、確かに私が性格悪いのは事実ですけど、そうなったのは貴方達のせいですからね?

 笑いが込み上げてきたと同時に、その夜は涙が溢れてきた。


 中学時代までら散々な私だったけど、高校生になってから、一つだけ変わった事があった。

 近所とは言え、荒れていると評判だったこの高校に、知り合いは一人も居なかった。

 それにもう高校生にもなったからか、染髪が認められている学校だからか分からないが、髪の毛の事をとやかく行ってくる生徒も教師も居なかった。


 まあ、この性格の悪さで友達は未だに出来てないけど。


 今までずっと避けられてきたもんだから、話し掛けられても何て答えれば良いか分からないし。癖で睨んじゃうし。と言うか、話し掛けられる事自体を面倒だと思ってしまう。

 友達なんて別に欲しいとは思ってないからいいけど。髪の毛の事を勝手に決め付けて煩く言ってこなければ、私は満足。


 でも、今の私には一つだけ不満な事がある。





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