寝たら異世界に来てました
僕は脱サラした。大学で農業を専攻していた僕は、社会人になってからも家庭菜園をしていたが、本格的に農業をしたい気持ちが強かった。僕は貯金をほぼ使い、とある田舎町に少し広めの土地を買い、農業を始める準備をして引っ越しするために、汽車に乗った。長旅の疲れが出て、眠ってしまった僕は、気が付いたら見知らぬ布団で寝ていた。畳のにおいと障子の隙間からさす木漏れ日が温かい部屋に寝ていた僕は田舎町の家に着いて、寝てしまったのだと思った。
そこに戸を開ける音が聞こえる。その方向に目を向けると、そこには、狐の顔をした人間のように二足歩行の生き物が入ってくるのが分かった。頭が錯覚したと思った。しかし、その生き物は確かに狐の顔をしていた。
「目が覚めましたか? ここがどこで、自分が誰だかわかりますか?」
狐の顔をした女性が静かな口調でそう言った。
「僕は、星月湊といいます。ここはどこでしょうか? 頭が理解していなくて……」
「ここはミルニア島という島です。私の名前は、リザ・ミルニアと申します。
貴方はどこから来たかわかりますか?」
「私は、千葉から静岡へ向かっていたのですが……」
リザと名乗った女性は不思議そうに僕を見つめてこう言った。
「千葉?といった地名はこの国にはないのですが、どこか遠い国から来たのですか?
どうして浜辺で倒れていらっしゃったかわかりますか?」
リザのその言葉に一つの疑問が生まれた。汽車に乗っていたはずの自分がなぜ浜辺に倒れていたのだろうか。
その疑問を口にしようとした時、ぐぅーと僕のおなかが鳴った。突然のことに間が開いたが、リズが静かに笑って、
「3日も眠っていたのですから、おなかもすきますわ。ちょうどご飯ができているので、食べながら話しませんか?」
と言った。何かの縁を感じた僕はお言葉に甘えることにした。
食事を終えた僕は自分がどのような人物でどんなことをしていたかリザに話した。リザは僕の話を真剣に聞いてくれた。そして話し終わった後、僕にこの国について話してくれた。この国はミシェルコノート国と言って、人間や獣人、妖精といった様々な種族が共存している国だという。そのミシェルコノート国の東の海にあるのがミルニア島であり、島民の数は多くはないが皆仲良く暮らしていること、この島は田舎の観光地であり、観光客も来ることなど話してくれた。
話を聞いた後、僕はこれからどうしようかと考えることをリザに伝えると、リザが島長であるリザの父に聞いてくると言った。話を聞いてもらい、力になれることがあれば最大限助けてくれるであろうとリザは言ってくれた。その言葉にも甘えさせてもらい、リザの父の仕事が終わるのを待つ間にリザとの会話を楽しんだ。
続く
初めまして!
城崎結と申します。
初めての投稿になります。
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