第十七話 突破口はあるのか
「「ドレスアップ!!」」
気合を入れて、変身する。
同時に、それぞれの武器を構えた。
迷いも恐怖も一切顔に出さず、戦闘態勢をとる。
「何度やっても同じことだ」
グーンが顎でしゃくるのと同時に、二体のブラウンが襲い掛かる。
躊躇なく、水江型のブラウンはチェーンを、真白のブラウンはハサミをそれぞれの標的にぶつける。
その瞬間、二人は立ち位置を入れ替え、武器で防ぐ。
「おりゃああっ!」
「ふん!」
その態勢のまま、力任せに押し出し、それぞれ逆方向にブラウンを運ぶ。
「これだけ距離が空けば、問題ないっしょ!」
「……なんのマネだ?それは」
グーンの表情が曇る。
「ハッ!相手が友達の姿なら、攻撃できねーって思ってるんでしょ?」
「だったら自分の形をしたブラウンの相手をするだけのことよ」
ブラウンの攻撃を払いのけ、ハサミで薙ぎ払う真白。ブラウンは後ろに跳び、紙一重でかわす。
「なるほどな。まぁそれくらいは誰でも思いつく。そう簡単にいくかな?」
再びブラウンが襲い掛かる。
「おっと!あんたの相手はアタシだよ!とはいえ、やっぱ自分の分身と戦ってるみたいで気持ち悪いんだよ!」
再びブラウンを押し返そうとした、その時。
「「!」」
ブラウンのボディが、グニャグニャと歪みはじめた。
「残念だったな」
その姿は、わずか三秒足らずでたちまちに入れ替わってしまった。
「お前たちのカガヤケルは以前より格段に弱まっている。一撃で浄化できるパワーはもはや無い。ならば、このような思い付きの作戦などなんの役にも立たん」
「くっそ!」
「……想定済みってわけね」
形勢はすぐに逆転し、あからさまに二人は押されはじめる。
「なんで……かなっ?真白の偽物なんて、ためらう必要ないってのにさ……っ」
「それは……こっちのセリフよ……」
「殴り合いの練習でも、しとけばよかったな!」
「サンドバックにでもなってくれるなら考えてもいいわ……!」
二人は最後の力を振り絞るかのように、ブラウンを後方へと突き飛ばした。
「思った以上に粘るじゃないか。もっとも、浄化できるほどのカガヤケルを持たないのでは、無駄なあがきだが」
息を切らしながら、水江は構える。
「けっこー……ヤバいね、こりゃ」
真白も覚悟を決めた表情で、武器を掲げた。
「それでもやるしかないわ」
その覚悟とは裏腹に、エクスコーデのコスチュームは徐々に透明化していく。カガヤケルの低下によって、その姿を保つことができなくなっているのだ。
「ここまでだな」
グーンの瞳が冷たく光る。今にも変身が解かれそうなその時。
「なにやってんのよ、二人とも!」
水江と真白が振り向くと、若菜、音無、そしてゴンが息を切らせていた。