異世界と旅立ち
僕は、魔法が好きだった。世界中のどんな奴よりも。だからこそ、誰にも負けない強い魔法使いになって、困っている人達を救うんだ!それが僕の心の支えであり、目標であった。しかし、ある日僕は、魔法が怖くて怖くて堪らなくなった。「魔法?ただの殺人兵器じゃないか。何を楽しそうに殺しの練習をしてたんだ。」僕は、何が正しいのか何が間違っているのか分からなくなっていた。自分の手に赤い鮮血の血を残して。僕は、この世を去った。
この世界の人間は誰しも魔眼を持っている。というのも、右眼には武器種まあ、例えば剣、盾、杖、などなどがある。そして、目の色コレがその自分だけの武器ミストラルの属性を表している。属性は全て合わせて七つある。火、水、木、土、光、闇、無だ。この魔眼は、所持者のストレスによって発動状態になる。通常は、皆さんとなんら変わりない目をしている。
そして、この僕が生まれ変わって生まれた街、ストーク村は、王都からだいぶ離れたちんけな街。
そこで、僕は「シュバインツ・ヴァン・ライトニング」として生まれた。ごく普通の農家だ。母と2人暮しをして、僕が村の村長さんの手伝い料で家を何とかもたせてる。今日もこれから、村長の手伝いだ。
村長「おお!ヴァンか。待っていたぞ、今日は家の犬小屋を建てるのを手伝ってくれ。」
ヴァン「はい。わかりました。この木材をそちらに運べば良いですか?」
村長「うむ、やはり、人手がいると助かるのぉ。」
その時、外から大きな声が聞こえた、
村の男「ああ!みんな逃げろ!魔界の奴らが来たぞ!」
その一言で、さっきまで賑やかだった村が突然静まり返った。そして、次の瞬間
村の女「キャアアアアアアアアアア」
村全体を女の悲鳴が埋め尽くす。
魔界の中級使者
「あはは、いい悲鳴だ!お前らよく聞け!この村は我々魔界族の人間界侵略の拠点に選ばれたのだ!有り難く思え!」
その声を聞いた瞬間、横に居た村長がもの凄いスピードで外に出た。
村長「こ、この村から、お引き取り願いたい!」
村長は、自分よりもデカイ魔界族のモンスターに大声で言った。
魔界の中級使者
「あん?もう一回言ってみろ!」
村長「この村から出ていけ!」
村長は、モンスターにもう一度言った。
魔界の中級使者
「ちげぇだろ!こうやって頭を地面につけてだなぁ!」
その瞬間、モンスターが村長の頭を地面に踏みにじった。
魔界の中級使者
「お願いします。助けてくださいだろ?殺されたいのか?」
村長は、怯えながらも言った。
村長「この村はお前らの居ていい村じゃあ無い。さっさと、出ていけ!」
次の瞬間、村長のあったはずの首が無くなった。
そして、僕の足元に転がってきた。
魔界の中級使者
「あ〜あ、つまんなくなっちゃったなー。もういいや、正直な話こいつら魔界の奴隷にしようかと思ったけど、殺しちまうか。」
その言葉に、村は悲鳴に包まれた。逃げ惑う者、泣き叫ぶ者、恐怖のあまり腰を抜かす者。先程まで、明るかったはずのいつもの日常を送ってたはずの村が一瞬にして、恐怖に包まれた。僕は、混乱していた。
心の中「どうしたらいい?逃げる?どうせ捕まえられて殺される。戦う?そんなの勝てるわけがない。そ、そうだ、家に母さんが、帰らなきゃ!」
僕は走った。ボロボロに砕け散りそうになりながらも走り続けた。後ろの方で悲鳴が、血が飛んでいく音が聞こえる。恐怖、焦り。それしか僕の中には残っていなかった。「後ろを振り返るな。振り返ったら殺される。」
僕は、走りに走って、ボロボロの足で家に帰った。
ヴァン「母さん!大丈夫!?」
母さんが心配そうにコチラを見てきた。
母さん「ヴァン!心配したのよ!早く逃げましょ!!」
僕は、持てるだけの荷物を持って母さんと逃げた。しかし、母さんの足がピタッと止まった。
ヴァン「どうしたの母さん!早く行かないと、殺されちゃうよ!」
母さん「あの人のブレスレットが!」
そう言った後、すぐに母さんは足を戻した。
ヴァン「ダメだよ母さん!早く逃げないと!」
僕は、一生懸命母さんを止めた。しかし、母さんの足は家に進んでいる。
母さん「先に行ってて!すぐ追いつくから!」
その言葉を残して僕を置いてった。
ヴァン「どうしよう?逃げる?いや、母さんが!ダメだ、母さんを追い掛けよう。」
僕は走って母さんを追い掛けた。そして、家に着き、ドアを開けると、ブレスレットを片手に持ち、モンスターの槍に貫かれた母さんの姿があった。
魔界の中級使者
「これ、お前の母さんか?そりゃ、残念だったなぁ!こいつも馬鹿だよな〜、逃げればいいものの、戻ってきてこんなちんけなブレスレットを取りに来るなんてなぁwwwwwwwww」
僕は、母さんに駆け寄った。
ヴァン「母さん!母さん!起きてよ!」
母さんは、少し目を開けて僕にこう言った。
母さん「あの人、ヴァンのお父さんはとても素敵な人だったわ。だから貴方も、お父さんの様に強く逞しく生きて。」
次の瞬間、母さんは、僕の腕に包まれながら僕にブレスレットを渡して、息を引き取った。
魔界の中級使者
「もう終わったか〜?次はお前の番だ。」
僕に槍の矛先が向かう。
ヴァン「誰か!助けて!」
その瞬間、耳元で大きな金属音が聞こえた。
カァン!!!!!
???「おい魔物!今すぐこの村から出ていけ!」
魔界の中級使者
「なんだ貴様は?テメェも殺してやる!」
その言ったはずの魔物は、気付くと、跡形もなく粉々になっていた。
???「大丈夫か?少年」
白い髭を生やした、お爺さんは、僕に優しく手を差し伸べた。僕は、それを、ブレスレットを片手に掴んだ。
ヴァン「お、お母さんが、、、お母さんがぁぁぁ!!!」
僕は、泣きじゃくった顔そして、ひくひくした声で言った。
???「........すまなかった。君のお母さんを助けてあげられなかった。」
お爺さんは、僕に深く頭を下げた。
ヴァン「、、、」
???「とにかく、他の魔物を倒そう。」
お爺さんは、走って他の魔物を次々と倒していった。それを見た、1人の男がこう言った。
村の男「もしかして、伝説の剣豪、閃光のアギトじゃないか?!」
その瞬間、僕は頭の中にある、閃光のアギトの情報を精一杯探した。
閃光のアギトは、二十年前の、魔界族の侵略の日に大活躍した、10人の戦士の1人だ。
アギト「その名前は、とうの昔に捨てたんだがね。」
アギトは、剣に付いた真っ赤な血を払い、剣をしまいながら言った。
アギト「まさか、王都に行く途中の村でこんな大変な事が起こっていたとは。」
アギトは、不思議そうに言った。
それから、村の人達は、王都に連絡を出したり、仲間の遺体の墓作りや、住居の立て直し等、色々なことに追われていた。僕は、真っ先にある人の元へ向かった。
ヴァン「あの!」
そこには、馬に乗り、丁度出発しようとしていた、アギトが居た。
アギト「なんだね?」
ヴァン「あの!僕をあなたの弟子にして下さい!」
アギト「君のような幼い子供を弟子になど出来るわけがないだろう。君の気持ちは、よく分かる。しかし、君を弟子にすることは出来ない。」
ヴァン「お願いします!もうこれ以上、大切な人が傷付くのを見たくないんです!ただ見てるんじゃダメなんだ!おれが大切な人を守らないと。だから、お願いします!俺も、あなたのように強くなりたい!!」
アギト「分かった......よし!これから、大変な旅が始まるぞ!1回でも、キツイ、ツライ、ヤダを言ってみろ!すぐさま、君を弟子とは認めなくしてやるからな。分かったか!」
ヴァン「はい!」
アギト「なら、さっさと準備して馬に乗れ!王都に遅れてしまう!」
僕は、ブレスレットを自分の腕に通した。そして、新たな1歩を踏みしめた。