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ゲームを荒らして何が悪い?イカレプレイヤーの日常  作者: 野良りクラリ猫
序章 とあるゲームでのひと時
1/3





2017年、ある高校生の男がスマホを開き、少しうずうずしながら画面を眺めていた。


彼の手にあるのはNASILE Xと呼ばる先日発売されたばかりのスマホで、そこに今、ダウンロードしたのが、大人気MMORPG 『ロード オブ ザドラゴナイト』だ。


人型のドラゴン、通称ドラゴナイトが支配する世界。

ドラゴン族を先頭に魔物が支配する世界に迷い混んだプレイヤー達が、人類解放の為に敵を倒していくというようなストーリーである。


結構ザックリとした説明だが、伝わったであろうか?


このゲームはリリース開始から早3年が経ち、だいぶプレイヤー達が落ち着き出していた。

リセマラをさせる気がないのか、クソ長いチュートリアルと、最初のガチャが存在しない挑戦的なやり口に、リセマラをする勇者はほとんど現れなかった。


何故今更彼がこのゲームをダウンロードしているのか気になるだろう。

決してリセマラしたわけではないのだ。

彼は、今までスマホを持っていなかったのだ。


え?この時代スマホ持ってねぇーの?

そう疑問に思った方もいるだろう。

それは決して貧乏なわけではないのだ。

彼はPCゲームの課金にお小遣いを投入し過ぎて買えなかっただけなのだ。


さて、ようやくクソ長い三時間にも及ぶダウンロードが終了し、待ちに待ったゲームがスタートした。



このゲームは、どういったものなのかと聞かれれば、モン○ンだ。

コンガリ肉とかロマン溢れるカッコいいモンスター武器で戦うアレだ。


パクリに近いのだ。


だが、安心して欲しい。このゲームはかの会社の子会社に当たる所がリリースしたものなのだから。



さてさて、余計な話を何回もぶっ込んでいるうちにキャラクターメイキングが終了した。



出来上がったのは、黒い髪をした、モブフェイスをした男だ。


数ある頭のおかしいカラーバリエーションから選んだ髪は黒

数あるイケメンフェイスのバリエーションから選んだのはまさかのモブ顔

白人のような肌から黒人のような肌色まである中から選んだのは、日本らしい少し焼けた肌



何故だ。全くコイツの行動は謎だ。


そして最後に名前となるのだが、ここまで来て彼は大和魂を売ったようだ…


名前を入力してください

〔 〕

〔 デュラン 〕





……PCゲームで鍛えられていた彼は通常40分かかると言われる鬼畜なチュートリアルをたったの5分で終え、ようやくスタートラインに立ったのであった。




が、しかし、どうしたものか。

みんな上級者ばかり、会話に入れないぞ


これは困ったものだと、そう感じた彼は適当に選んだギルドに加入し………ようとしたがどこも申請制で待たされることになった。


そこでその間、マップに出た彼はカッパーロット★1を持ち攻略とレベル上げに励んだ。


『ロード オブ ザ ドラゴナイト』には大きく分けて4つの職業がある。

・戦士

・タンク

・神官

・魔法使い


この四つの職業から派生して最終的には全36種にもなるのだ。

まるで一昔前の勇者パーティの構成のようだ。


戦士=====魔法以外の全ての武器を使用可能でスタミナと攻撃力に優れる


タンク====防御力とスタミナに優れカウンターなどのマゾスキルを持つ


神官======支援特化職の為、ほとんど戦えない。そのせいか、ほとんどいない。


魔法使い===魔力と命中力に優れ遠距離または、範囲攻撃が可能。しかし防御力が皆無の為、ちょっと攻撃が掠っただけで死ぬ。



彼は戦うのが嫌いだ。

出来れば、寄生プレイで楽にレベルを上げたいなどと思っていた。

そこで選んだのが神官だった。


早速、近くにいた初心者を誘いパーティ設定を経験値分配にし、寄生プレイを始めた。

回復魔法や、ハフ魔法を飛ばし仲間(どれい)どもを助けながら、彼は自然と上がっていくレベルを横目にほくそ笑んだ。




数時間後、調子に乗ってぶっとうしでやり続けた彼らはレベル60越えに到達していた。

ちなみにゲーム内最高レベルは現時点で842で、到底及ばない。

レベル60というのは、このゲーム的には初心者である。

一応、プレイヤー達で勝手に決められた初心者脱却値がレベル150なのでまだまだである。


幻の職業、神官のおかげでかなり楽に…

仲間が頑張ってくれたおかげで楽に…

レベル上げが出来た彼らはフレンドを交わしホクホク顔で別れていった。


朝からやり始めた(デュラン)は、夢中になるあまり昼飯を忘れていた。


一区切り終わると、急に腹が鳴り出した彼は、スマホをベッドに放り投げ、キッチンへと小走りした。








▼△


カップ麺を30分もかけて食べた彼は、急いで部屋に戻ると震えた手つきで、スマホを起動した。


そんなに早くやりたいなら、カップ麺に30分もかけんなと思うが、猫舌の彼には無理なことだ。



『ロード オブ ザ ドラゴナイト』を起動した彼にまず目に飛び込んで来たのは、ギルド申請の完了だった。

完了というのはつまり加入出来たということだ。

よっしゃ!

と喜んだのもつかの間、次に読んだメッセージにはこう書かれていた。


「貴方の人間性を確認したいので後でギルドルームに来て下さい。いつ来れますか?」



面倒くさいイベントが始まったのだった








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