真っ白なミライの私たち
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三月十四日。
今日はホワイトデーでもあって、私の小学校の卒業式でもある。
卒業証書を机にのせて、私はふと、教室を見回した。
誰もいない教室。教室の外からは、わずかに人の話し声が聞こえてくる。窓の外にはまだ雪が積もっていて、それに反射して入ってきた日光が少し眩しい。
「あれ、洋子帰らないの?」
「……うん。お母さん、待ってるの。急いで仕事終わらせて、校門で写真撮りたいから学校で待っててって、言われたから」
「そっかぁー……」
教室に入ってきたのは、幼馴染みの絢矢。今日も無垢な顔で、私に接してくる。もうすぐで中学生だというのに、いつまでも子どもっぽい幼馴染み。
「……そうだ。今日ホワイトデーでしょ? こないだのバレンタインのお返し持ってきたんだー。ほいっ!」
そう言って渡してきたのは、よく見かける薄い箱のホワイトチョコレート。
「あ、ありがとう……って、ずっと持ってたの?」
「うん」
「絶対溶けてる」
「……あ」
いつまでも考えが幼い。
「でも……うん、ありがとう」
「どういたしましてー」
底無しに笑顔の明るい幼馴染み。
……そんな彼女が、私は嫌いじゃない。
「ね、ねぇ、あの……さ……洋子。ちょっと、大事な話があるんだけど……」
「急にかしこまって……なに?」
幼馴染みのほっぺたが赤みを帯びていることに、私は気づかないフリをした。
「あのさ……その……卒業式ってさ、なんか……特別な感じ、するよね……?」
「……うん」
「……普段言えないことも、言えたり……」
「……うん」
「その……。私、洋子のことが、好き! ずっと好きだったの! んっ」
「んむっ」
突然の告白だったけど、驚いてはいない。
だって、私も……。
しばし繋がっていたお互いの唇が離れて、細い吊り橋が架かり、落ちる。
そして、絢矢は言った。
「……次は、もっとオトナになって、会いに行くよ」
イベントの名前も、外の景色も、私達の未来も、まだまだ真っ白だけれど。
いつか、この白を二人で纏って……。




