徒然チャット12
その日の呟きは意外な人からだった。
『Frommバナナは友だち:ヴルスト食いたい。腹減った』
え、いきなりどうした。
『Fromm友だちできました:君の国では毎日食べているんじゃないのか?』
ヴルストって、日本で言うソーセージだよね?
ドイツ人にソーセージって言っても通じなかったのは記憶に新しい。
『Frommバナナは友だち:俺はバナナは毎日食べるが、ブルストを食うのは外食の時だけだ』
え!?
『Fromm私:そうなの?』
『Frommバナナは友だち:日本人だって毎日寿司食わないだろう?』
寿司と同じ感覚!
『Fromm私:そうだね。でもバナナは食べるんだ』
『Frommバナナは友だち:バナナがそこにあるから』
わからん。バナナにそれほど、いったいどんな価値があると言うの・・・
『Fromm友だちできました:でも一日何本も食べるのは凄い』
食べすぎだよ。
『Frommバナナは友だち:日本のバナナは本当にうまかった。今度また食べに行くよ』
バナナのために渡来するだと!?
『Fromm私:えーと・・・今度バナナのお菓子を送ってあげるわ』
『Frommバナナは友だち:本当か!? なら、抹茶の菓子も一緒に頼む! 京都で食べたやつが旨かった!』
外国人は本当に抹茶が好きだなぁ。
『Fromm私:わかったわ。近いうちに送ります。それにしてもてっきり毎日ビールとセットで食べてるんだと思った』
ドイツのイメージはそんなものだ。実際ドイツに行ったときは街によって違うビールとブルストが美味しかった。
地方によっては皮をとって食べるタイプもあって新鮮だったなぁ。
『Frommバナナは友だち:ちなみにドイツはブルスト以外もうまいぞ』
『Fromm友だちできました:そうなんだ。羨ましいよ。アメリカはサイズだけは誇れるんだけど』
いや。色彩感覚もぶっとんでるよ。
『Frommバナナは友だち:こっちもサイズは凄いぞ。まあ、他の街なんて行かないから、わからんことも多いがな』
ん?
『Fromm私:私を色々案内してくれたでしょう? 普段国内旅行はしないの?』
『Frommバナナは友だち:ドイツで国内旅行なんてしない。そんなことをすればまわりから変態扱いされるぞ』
何故?!
『Fromm友だちできました:でも日本では色々見てたよね?』
『Frommバナナは友だち:日本はドイツじゃないから大丈夫だ。それに移動が便利な国だしな』
『Fromm私:ありがとう?』
『Frommバナナは友だち:日本に行ったときは様々な色があって驚いたな。自然も多いし人は親切だし。冬も寒くないし。いいな』
なんか愚痴りだしたぞ。
『Fromm私:ありがとう・・・?』
『Fromm友だちできました:そうだ。日本に行こう!』
そうだ、京都に行こう的なノリはやめなさい。
『Fromm私:来年またおいで』
『Frommバナナは友だち:来年か・・・長いな・・・』
いやいや、あっという間だよ。
『Fromm私:ところで、お腹が空いているなら何か食べたら?』
『Frommバナナは友だち:冷蔵庫が空なんだ』
『Fromm私:保存食とかないの?』
『Frommバナナは友だち:シリアルぐらいしかないな・・・でもミルクがない』
絶望的だな、おい。
『Frommバナナは友だち:日本のようなコンビニがこっちにもあれば!』
『Fromm友だちできました:本当にそうだね』
そこからは何故か自国の愚痴が延々続き、私は途中で席を離れた。
それにしても、ブルストが寿司と一緒なんて衝撃的すぎるよ!
後日調べたら、ドイツでは地域差が大きすぎて、本当に外食でしか食べない地域もあることを知った。
・・・疑ってごめんよ、バナナさん。