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蒼刻の彼方に  作者: ドグウサン
1章 胎動する者達
16/166

【門】 7つの門

(ゲート)

それは血塗られた鉾(ミストルティン)が保有する、力の象徴。

魔晶石(デモノデバイス)により、空間を操作し、並列空間に在中する素粒子を此方の空間に呼び込む。

並列空間に存在する素粒子は此方の空間に存在するある素粒子に干渉する事で、ある特定の力を生み出す。

並列空間は全部で7つあり、素粒子同士の干渉により、代謝、指向、振動、凍結、斥力、引力、空間の現象を引き起こす。

干渉により、指向性の推進力、流れを操る、エペソ。

干渉により、有機物の代謝の促進と低下を制御する、スルミナ。

干渉により、接触物に振動させる、ペルガモ。

干渉により、無機物の凍結(固定)させる、テアテラ。

干渉により、質量に関係なく斥力と引力を生み出す、サルデス。

干渉により、擬似空間を形成できる、ヒラデルヒア。

そして、…………………………………、ラオデキア。


{それは死せる段階。

  7つの…から使者が舞い降り

   吾らに断罪を問う。

    許されぬ罪業の果ての末期。

     審判を下されるまでも無く

      我らは償いすら許されぬ罪人。

               懺悔の誓より}




「内臓に損害無し。

急所攻撃による酸欠か。

ダメージを最小限に抑えておるな」

「勝敗は決していたのですから、無為に怪我を負わせる必要もないでしょう」

「それよりもお主の方が、ダメージがでかいようじゃな」


相変わらずな上から目線で物言う凛。

肉体疲労からベンチに寝転がっている凛に、半眼でテリトは皮肉を言う。

代謝(スルミナ)が起こす現象。

それは肉体の代謝能力を引き上げたり、低下させたりする有機物専用の(ゲート)

その(ゲート)を使用し、発動した身体加速(モメンタムブースト)

それは肉体を活性化させ、限界以上に身体能力を引き上げる荒業。

代謝(スルミナ)は戦闘向きの(ゲート)でないが、唯一戦闘に活用可能なのが、この身体加速(モメンタムブースト)だった。

だが、使用後は肉体が悲鳴を上げ、日常行動にすら支障を来たす。

それ故、使い勝手の悪い技と言えた。


「皮肉なら要りません。

それより、10割まで動けるように戻して欲しいのですけど」

「……」

「年寄りは耳が遠いのかしら?」


現状を垣間見、無茶な要求を突きつけられ沈黙しているテリトに、的確で容赦のない言葉が飛ぶ。


「…まさかとは思うが、まだ続けようとしているのではなかろうな?」

「どうやら、まだ耳は正常に機能しているようですね」

「お主、ここで無茶をするメリットはあるのか?

知っての通り、自分に代謝(スルミナ)を行使し、肉体の加速を図れば、酷使した筋肉繊維は分断され、通常の行動すら儘成らなくなる。

その体、死に体と変わらぬのだぞ」

「それは固定観念ですよ、リー先生。

そもそも私は限界値で体を加速させていません。

それに、私の最長記録は20秒、まだ猶予を残しています。

闘おうと思えば、私は闘える状態にあるのですよ。

只、次の闘い、万全で望みたいだけです。

黄金の癒し手と名高い貴方になら、その粋まで戻せる、違いますか?」

「…あれだけ情報管理送還装置(ライブラ)に精通しているお主じゃ、その言葉に偽りはないじゃろう」


無茶を通し、肉体を崩壊させれば、獲物とされ誰かの糧にされるのは明白。

そんな愚かを、この凛という女が犯すとは想像が出来なかった。


「ご理解戴けたようで」

「どれ」


テリトは、仰向けになっている凛の腕に触れてみる。

完全に弛緩し、血液を巡らせていた。

それにより発熱した体が冷却を行い、酷使した筋肉、腱、細胞を沈静化させて自然回復が早まるように肉体が制御されていた。


(成れておるな。

代謝(スルミナ)の遣い手故か、人体の扱いに熟知し、無駄がないわい)


確かに全体的に疲労が蓄積されているものの、故障している箇所はなく、至って正常だった。

とても、身体加速(モメンタムブースト)を行使したばかりの肉体とは思えなかった。


(これならば、万全な状態まで引き戻せるか)


「覚悟は良いな」

「ご愁傷様です」


カイルの哀れみの言葉を切っ掛けに、テリトの癒し?の手が激痛をばら撒きながら、凛の体を弄る。


「!! !! !! !! !! !! !! !!」


声にならない悲鳴。

それが余計に、痛みが想像を絶するものだと伝えていた。

得に、先程治療と称して、拷問を受けたティアの顔色は蒼白に変色していた。

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