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茶師の姫君〜異世界で紅茶事業を始めました〜  作者: 斉凛
第1章 ロンドヴェルム編
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仕事って疲れますよね。癒しが欲しいです<修正あり>

 父に領主保証制度の提案をした日から私の日常は一変した。のんきに茶摘みなんてしている余裕もなく、茶園を回ったり、商人達に会いに行ったり、現場の声を聞きながら自分の提案した案をどう形にするか、細かい調整に追われた。

 以前は親バカデレデレだった父も、今では出来る上司モードで、私の考えが甘いとびしびしついてくるので気が休まりません。いや……前世で社会人経験有るのでついて行けますけどね、転生してから甘やかされて育ったので結構辛いです。

 公私混同せず、きちんと的確な意見を言う父を尊敬していますが。でもたまに妙にプレッシャーかけてくるんだよな……。それがますます気を重くする。

 父は茶の事だけでなく、ロンドヴェルムの経済事情まで詳しく解説してくれた。


 父が領主になる前は貧しい漁村に過ぎなかったのが、今では貿易拠点として生まれ変わり、ロンドヴェルムを通過する交易船の商人達が、街に出て飲食や買い物をしお金を落としてくれるようになって大分経済は活性化された。

 しかし海の航海というのは非常に天候に左右されやすい。嵐になっても、凪で船が動かなくても、ロンドヴェルムに交易船は来なくなる。1年を通して安定した収益が確保できない所が現在の課題だそうだ。

 それに一つの収入源に頼る経済はそれがだめになった時に脆い。新しい交易路が確立されて他の港に交易船が流れてしまえば、ロンドヴェルムは寂れてしまう。

 そのため父は茶という新たな特産品の栽培を始め、貿易港の収入源以外の安定収入を得る手段を模索していたらしい。


 だが茶という産業に入り込むのも容易い事ではない。知名度の低さから買いたたかれ、せっかく良いお茶を作っても利益がなかなかでない。何かロンドヴェルムの茶に付加価値を付けて高値で売れるようにならないかと悩んでいたらしい。

 そんな時に私が紅茶を作り出した。商魂逞しい父は紅茶という新しい茶に価値を見出し、ロンドヴェルムを上げて紅茶作りを奨励したのだ。結果今の所ロンドヴェルム内では紅茶は好評で、庶民の間では定着した。

 次はこの紅茶をどう輸入産業として軌道に乗せるかの段階に入った。


「いいか……マリア。紅茶が売れればロンドヴェルムが潤う。民の暮らし向きはよくなる。そのために紅茶の輸出のために税収から多くの予算を割く。大切な民の税を使うのだ。無駄にはできないぞ」


 それは失敗は許されないという事ですね。はい。分かりました。初めから頑張るつもりでしたが、ますます頑張らせていただきます。

 でもただお茶を作ったり、売ったりするだけじゃなくて、為政者の視点で街や民の事を考えて仕事するのって凄いプレッシャーですね。こんなに責任ある仕事を任された事がないので、とてもストレスが溜まります。

 絶対成功させなきゃ、と必死になればなるほど余裕が無くなり、食事の時間も仕事の事で頭がいっぱい。睡眠時間を削って勉強し、ティータイムが遠い昔の話になるほど、忙しい毎日を送っていた。

 仕事が充実するのはやりがいがあって楽しい。でも……疲れたって、たまには弱音吐きたい。しかし家族である父は今や上司。弱音なんて言ってられません。

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