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龍の灯火  作者: 森 翼
9/13

誓いは永遠

今から時は遡る。

この時、魔界が急速に力を付け始めて、龍界をも乗っ取ろうとして、魔界と龍界は激しく対立していた。これが後に、

「龍魔結合の乱」

と言われる、大戦だ。この戦いで、多くの龍神や魔神が死んだ。過去最大級の戦乱であった。




この戦乱までは龍界の王は、龍神王ウォルスではなく、龍神頂フラウだった。

そして、組織は今よりもっと強力だった。

王が、龍神頂フラウ。

宰相が、当時まだ龍神王ではなく、頭革と名乗っていたウォルス。ちなみにウォルスには、龍妃マライアという婚約者がいた。

将軍が、無敵独兵ラファール。

この三人は当時3革と呼ばれ、龍界最強の存在だった。

そして、無敵独兵と同等の地位にいたのが紅蓮の剛翼ヒューズだった。

そして、王家直属の守護精霊が六精霊と呼ばれる炎精霊(えんせいれい)水精霊(すいせいれい)風精霊(ふうせいれい)光精霊(こうせいれい)闇精霊(あんせいれい)虹精霊(こうせいれい)、の六人だ。






紅蓮の剛翼が金の輝きに向かって昔の状況から話しはじめる。

「そのぐらいの事は、私も知っている。おまえの誓いとやらを聞かせてくれ。」

「そう焦るな、順を追って説明する。」

そう言って、また紅蓮の剛翼は語り始めた。






紅蓮の剛翼は、かなり強力な魔界軍の参謀である『魔界軍司フラット』を討つ命令を出されて、多数の龍を引き連れて戦地の『龍魔の狭間』へと向かって行った。

そこではほぼ毎日龍と悪魔が戦っていた。

しかし、魔神軍の参謀、魔界軍司フラットが出て来て、魔神軍優勢へと戦況は変わった。

それを打破する為に紅蓮の剛翼ヒューズは、龍神頂フラウに実力を信頼され、この地に赴いた。

そして、今着いた。

「おい、そこのおまえ。今戦況はどうなっているのだ?」

ヒューズがそこらにいる龍に話し掛ける。

「今はやや押され気味でございます。」

「指揮をとってた龍神はどうした?」

「魔界軍司にやられました。」

それを聞いて、ヒューズは少し考え込む。そして言う。

「なら俺がその魔界軍司とやらの相手をしようじゃないか。」




龍魔の狭間の中心部では黒髪長身の青年、魔界軍司フラットが、龍を自慢の精波で殺していた。龍は抵抗するが力の前に成す術もなく、無惨にも死んでいった。

そこに紅蓮の剛翼が現れた。

紅蓮の剛翼と魔界軍司は互いに睨み合い、しばらくの沈黙が生まれた。その時初めに口を開いたのは、魔界軍司だった。

「何故、龍神の双璧の片腕たる紅蓮の剛翼がこんなところにいるのだ?」

龍神の双璧とは、無敵独兵ラファールと、紅蓮の剛翼ヒューズという、二人の、龍神の力の象徴として崇められた為に付けられた、二人の総称の仮称だ。

「それはおまえを倒すためだ。」

「私に戦いを挑むのか?」

「無論。」

短い会話をしたかと思うと直後に戦いは始まっていた。

ヒューズは得意の紅蓮の火炎で猛撃。対して魔界軍司は回避するだけ。

また今度は紅蓮の火炎が槍を形作り、魔界軍司を突き刺す。

それでも魔界軍司はただひたすらに避けた。

しかし、途中で速度の緩急をつけたヒューズの攻撃をうけて、魔界軍司は弱っていた・・・

「どうした?その程度か、口ほどにもない。」

「そう思うなら、早くとどめをさす事を勧めますよ。」

「防戦一方のくせに、なんかの強がりか?…まぁそういうなら、とどめをささせてもらう。」

・・・ように見えただけだった。魔界軍司は回避しながら、火炎に焙られながらも、魔法陣を描いていた。そして、その結界の中に入ったヒューズは、身動きがとれなくなる精波をもろに喰らい、動きを封じられてしまった。

「くそっ、なんて失態。」

「今頃遅いですよ、ではあなたとの会話もこれで最後…、」






龍妃マライアは、紅蓮の剛翼がきちんと仕事をしているのかの監視に行かされていた。そう、龍神頂によって、だ。

なんでこんな面倒な事をしなきゃいけないの、と言わないだけ龍妃は大人である。

それはさておき龍妃は龍魔の狭間に着いた。

そこには、魔界軍司により、身動きを封じられて、今にもやられそうな紅蓮の剛翼がいた。

龍妃はそれを助けるべくして、いきなり…、そう、要は不意打ちだ。…全力で雷撃を放つ。

それが魔界軍司にもろに当たる。

それに腹をたてた魔界軍司は、ほぼ全力と言っていい精波を放つ。

それは、物凄く重い重力波で、人間だったら、たやすく潰す事ができる。

それを放った時、魔法陣への精波の力が弱まっていた。なのでヒューズは封印をかいくぐり、なんとか身体の自由を得た。…けどその時、自分を助ける為に、命を落とそうとしている龍妃を見た。


体中が潰されていて、まさに瀕死という形容詞がぴったりだった。

そうさせた相手、魔界軍司を睨み、ヒューズは今までの中で一番強いと思われる紅蓮の火炎を魔界軍司へとぶつけて、世に名を響かせる魔神を一撃のもとに焼き消した。

想像を絶するような温度だろう。

力の大半を使い、消耗しきったヒューズは龍妃のもとへと歩み寄った。

「龍妃様、俺の不甲斐なさの為に…、申し訳ありません。」

「別に気にしなくてもいいのよ。私はたいした戦力に、なれないのだから。」

体中ボロボロになりながらも、龍妃マライアは美しく輝いて見えた。

「もとより、俺は救われてこの世に留まっている命です。その救い主の為には死をも選べます。だから…、」

紅蓮の剛翼は複雑な呪文を唱える。

「ま…、さ…、か…、?」

「俺の命の恩人に命を捧げます。」

そう言って、自身の体から体力と精神力を、龍妃に分け与え、残った精神力で回復の精波を使い、完全に傷を直す。

その結果、龍妃は元に戻ったが、ヒューズは残りの力が無くなっていた。

「ヒュー…、ズ…?」

「俺は…、今後回復しても今までのような力は無くなっていると思われます。」

一呼吸をおいて、また話し出す。

「けれど、俺は救われた命をまっとうする為に、そう、あなたの命、それを守り続けます。」

「紅蓮の剛翼っ!?」

何を言ってるの?と、までは、言葉を紡げなかった。

「そしてあなたの指示、命令に従い働いていきます。たとえ今の地位を捨てたとしても。」

「何故あなたはそこまでするの?」

龍妃の当たり前のような質問に答えず、深く礼をした。そして、

「マライア、」

突然叫ぶ。

「あなたは馬鹿だ。」

龍妃は何を言ってるのか理解できない。

ヒューズは声を落ち着かせてから続ける。

「これは、あなたへの忠誠。己へ戒め。そして全世界にも響かせたい、誓いです。そして…、」

あなたへの、そう、既に結婚を決めた、あなたへの、私から注ぐ、最後の愛情です。

とまでは、ヒューズには言えなかった。







その後、龍神軍は魔界に進軍して、この龍魔結合の乱に終止符を打った。



龍神頂の死を犠牲にした勝利によってだ。




金の輝きに話したのはここからの部分だけ。

「この時俺は誓った。何があっても龍妃マライアを守ると。そう、それが俺の、」

誓い。そして、妻と娘には悪いが、今も変わらないおまえへの愛だ。



もちろん妻も娘も愛してるがな、と、自嘲気味に笑って見せた。

金の輝きには見せなかったけれど。

今回からは人物紹介をしようと思います。 まずはシャウトから。 年齢15歳。身長約175。銀色の少し長めのストレートな髪。顔は整っていて、二枚目という形容詞が似合っている。ジャニーズよりも、よっぽどカッコイイかもしれない。戦いにおいては精波よりも剣術で戦う方が得意。性格は明るく、優しく、親しみやすい。 次回はハスナの紹介をしたいと思います。 それと、そのうち、いろんな人物を主人公にした短編を書く予定なので、そちらもよろしくお願いします。

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