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はじめに考えていたストーリーと全然違ってきています。

困りました。

 

 もともと、当たりなんて出ないと思ってやってみたことだった。

 ただ、愛称が同じだったからちょっと気になっただけなのだ。外れなら藤野のことで相談に乗ってもらえればいい。信頼できる味方が欲しかった。その程度だったのに。

 まだそうと決まったわけではないが、藤野の言う大学生と油沢ゼミナールのカケさんが同一人物である可能性が出てきてしまった。

 ファミレスでの会話にしても、怪しいところはあった。

 俺がきいた「藤野友香という名前を知っているか」という質問に、彼は確かに「藤野綾香の妹さんは知らない」と言ったのだ。

 俺は一度も藤野友香が妹だとは言っていないから、ここで疑問点が一つ。

 「イケメンに食い付いた」と言った時、本当の藤野友香を知っている人間ならすぐにそれが嘘だと気付くはずだ。その後の考え込むような沈黙も怪しい。

 そして何よりも、カケさんの事を藤野に話したと言った時の反応だ。「その子、なんだって?」思慮深くて控えめなカケさんなら絶対に興味津々な顔をするはずがない。

 全体を通してみても、カケさんはどこか焦っていたようだった。

 ・・・本当に彼が病的なまでにしつこく藤野を思っている大学生なのか。

 「お前、邪魔なんだよ。」お姉さんにそう言い放った本人なんだろうか。

 俺にはどうしても、そうは思えなかった。

 だってそうだろう。まだ確実なことは何一つ聞き出せていない。証拠なんて一つもないのに、たくさんの学生から慕われるような人を疑う事なんてできない。

 他の講師とは違うなにかを感じ取った俺の観察眼は正しいはずなのだ。

 だけど、あの時の俺はカケさんを「信頼できる味方」とは判断しなかった。だから相談はしなかった。

 考えすぎだろうか。たかが名前が同じというだけで。もしかしたら、そのせいで俺に先入観が生まれて、カケさんの言動が怪しく映ってしまったのかもしれない。

 考えれば考えるほど分からなくなるが、ただ一つはっきりしているのは、このことは高宮と影には話せない、ということだった。

 少なくとも、俺の考えがまとまらないうちは。


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