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やっとの更新です。
4月はやっぱり疲れます。
「せーのっ!」
その日の夜22時15分、塾ロードのファミレスにてCAS一日目の成果が三人の間で公開された。
最初の一人を除いて、俺達は別行動を取っていたのだ。
一斉に出された三枚の売り上げメモを見比べる。
俺の総売上は三人で1万2千円。
高宮は五人で2万円。
影は四人で2万6千円。
最初の女子生徒の3千円を加えて合計6万1千円。なかなかいいスタートだ。
影がアイスクリームをスプーンでつつきながら言った。
「やっぱり3年は狙い目だよ。大金も平気で持ち歩くし、財布の紐も緩い。しかも切羽詰まってるから飛び付き方が違うね。俺、8千円で二人分も売ったよ。」
「すごいな影。僕なんか5千円が限度だったのに。」
そう言ってジュースを吸い込む高宮。
あれ?俺は違和感を覚えた。
今、高宮が本気で影を称賛しなかったか?
俺はまだあの氷の目を忘れてはいない。よく見ていると、あれから何度も高宮がそんな目をすることがあった。
でも、今のように自然に誰かを褒めるなんてことがあっただろうか。
負けた悔しさで落ち込むのではなく、素直に相手を讃える。そんなことがあっただろうか。
『あんた、いろんなものに追い詰められてる気がする。』あの日、屋上からアリジゴクの高宮に言った言葉。彼は否定していたけれど、俺の目にはちゃんと映っていた。
本当に高宮は追い詰められていたのだ。何からだろう。周りの期待でなければ実力の限界でもない。自尊心?偽りだらけの生活?
しかし、それが何であれ、最近の高宮からはあの日のように追い詰められている感じがしないのだ。
なぜだろう。高宮は確実に変わってきている。
ズゴゴゴゴ・・・・・。
ダイナミックな音を立て、最後の一滴までジュースを飲み干した俺を、二人が睨み付けた。
「うるさい。マナーをわきまえろ。」
そう言った影を睨み返す。
「溶けたアイスをストローですすったあんたにだけは言われたくないな。」
俺は時間を確認して立ち上がった。塾ロードでは夜10時半以降を高校生の時間といって、中学生がうろうろしていると厄介なことに巻き込まれやすいのだ。
「そろそろ高校生の時間だ。早く帰ろう。」
こうしてCAS一日目は終了した。
最近テンポが悪くなってるかも・・・
次はサクサク進めたいです☆
冬の章、このままだと予想以上に長編になりそうです。