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テスト2日前。
熱心な先生による補習があるため、テスト期間で部活動停止中の土曜日でも、学校は開放されていた。
しかし、俺達が学校に集まったのは補習を受けるためではない。
「今日二人に集まってもらったのには理由がある。」
窓のない資料室の中、蛍光灯の白い光を浴びながら俺は宣言した。
「他でもない、CASの打開策に着手するためだ。高宮、昨日の計算結果を。」
「一番利益が小さい川口の問題は、最低ラインの20人だけに売るとして収入は1万円。残り9万円をどう稼ぐか考えると、安全面を優先して三人の問題を均等に売るのがいいと思う。問題の値段が高いからといって一つの学校に集中すると、それだけバレやすくなるから。そうすると、一部800円の吉長さんの問題を34人に、同じく800円の岡本さんの問題も34人に、小谷の問題は千円全部が入ってくるから少し多めの36人に。この人数分売り付けたとして、9万4千円だ。問題を売り付ける人数は全部合計して124人。これが最少人数だ。」
「ありがとう高宮。計算ではこうなったけど、124人相手に商売するなんて不可能だ。安全性の方は、まあ、かなり高い確率でバレるだろうな。そこで俺は考えた。真面目にやってたんじゃ、この商売は成り立たない。じゃあどうするか。策は二つある。一つは、問題の値段を決めないっていうこと。セールスをする時、交渉してなるべく高く売り付けるようにするんだ。そこでいくら稼いでも川口には1万円だけ渡す。吉長さんと岡本さんには、売り上げをごまかして2千円ずつ渡す。あんたら二人がちょっと仲良くしてあげれば納得してもらえるはずだ。どうせ問題は後で回収して渡すんだ。何人に売ったかなんてわからない。それから、もう一つの策。問題の解答を作る。今なら解答も付いてこのお値段!とか言っとけばみんな飛び付くに違いない。」
「なんか、テレホンショッピングみたいだな。」
高宮が呟いた。
「ちょっと高宮、テレホンショッピングなめないでくれる?あれはよくできてる。俺、買っちゃいそうになるから見ないようにしてるんだぞ。」
なぜか熱くなる影を変な目で見る高宮。
「影、欲しいものが主婦の皆さんと同じって、大丈夫なのか。」
「え、だって欲しくなるでしょ、勝手に動いて掃除してくれる掃除機とか。」
「そんなものがあるのか?!」
高宮の目が輝いた。
「あ、ほら欲しくなった。今なら充電用のスタンドも付いてお得になってるよ。」
・・・ここでテレホンショッピングやってどうする。
「おいおい、二人とも、俺の話聞いてたのか?今日集まったのは、その解答を作るためなんだよ。」
「え?」
俺の言葉で二人の会話が止まった。
影がこっちを向き、だだっ子のようにふて腐れる。
「えーっ、俺たちが作るのーっ!?」
他に誰がいるんだよ。
問題を売る人数の最低ラインは一応計算で出しました。誤差はありますが。かなりの時間がかかったので理数系への道は諦めた方が良さそうです。
次の話はさっさと書いちゃいたいと思います。
あと、ちょっと前に新しいの書き始めたんでよかったらどうぞ。
「いけづら」ってやつです。