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その日の昼休み、俺は藤野の相談とやら聞くために待ち合わせ場所である資料室に向かっていた。しかし、
「何で着いてくるんだよ。」
後ろの二人を思いっきり睨み付ける。
「何言ってるんだ。一人で抜け駆けなんて、僕が許すわけないだろう。」
高宮が反撃してきた。そうだった、こいつも藤野の隣を狙ってたんだっけ。
「わかった。じゃあ高宮はいい。席替えの時の借りはこれで帳消しにしといてくれ。問題はこっちだ。何で陰までここにいる。」
「え?だって、おもしろそうだったから。」
「帰れ。」
「ひどいなー。俺だけ仲間外れにしないでよ。」
そう言いながら俺の背中をバシバシ叩いてくる影。結構痛い。
「ふざけるな。こんなことで帳消しになんかならないからな。僕はまだ一言も許したなんて言ってない。」
「わかったって高宮。半消しくらいにしとくから。」
「ねぇ、いいでしょ。いっぱいいた方が楽しいって。」
「楽しもうとするな。」
そんなことをしていたら資料室に着いてしまった。
止めようとする俺の声なんて全く無視して勢いよくドアを開けてしまう影。そして高宮と一緒にずかずかと中へ入っていく。俺も慌てて後を追った。
藤野はもう来ていた。
予想外の大人数に驚いたのだろう。あるいはもの凄い音を立てて開いたドアの方か。おそらく両方だ。彼女は目を丸くしてこっちをじっと見つめていた。