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 ああ、しまった。何だ今のは。どこから出てくるんだこんな声。

 俺はもう家に帰りたくなった。学校なんて燃えて灰になれと思った。

 しかし、それらを実行に移さなかったのは、おれが常識ある一般市民だったからではない。

 直後、藤野の笑い声が心を潤わせてくれたからだ。

「ははははっ、何、今の声!大丈夫?この世の終わりに直面したカエルみたいな声だったよ。」

 そんなカエル見たことあるのかという言葉を飲み込んで、俺は初めて隣に顔を向け、藤野を直視した。

 そこには、今まで大袈裟だなぁ、と思っていた「花が咲いたように」という表現がぴったりの、極上の笑顔があったのだ。

「私、藤野友香。これからよろしくね。」

「・・・え?よろしくって、あの・・・あれのことだよな。そのー、仲良くしよう、みたいな・・・」

 俺はいよいよおかしくなってきたのかもしれない。

 藤野が小首を傾げた。

「そうだよ。お隣さんなんだから仲良くするもんでしょ?」

「・・・え、お隣さんって、じゃあ、藤野、席の交換しないのか?」

「うん。しないよ。私、この場所好きだし。」

 よーっし、きたー!

 この藤野の言葉を聞いた瞬間、心の中の俺は一人でサーカスを始めた。

 ピエロの格好をしながら、一輪車に乗りながら、ジャグリングをしながら、タップダンスでリズムを刻むのだ。言わば最高潮の状態である。

 もしかして、これって、脈ありってことか?希望はあるんじゃないか?

 高宮には悪いが、この席、有効に使わせてもらうとしよう。

「切磋琢磨です。よろしく。」

「ははっ、名前なんかとっくに知ってるって。そんなにかしこまんないでよ。」

 なんだか学校が楽しくなってきた。

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