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秋の章1


 太陽の表面に浮き上がる赤い炎のことを「プロミネンス」と言うそうだ。

 あちこちに出現し、怪しい動きをするらしい。


  秋の章(九月一日、月曜日、晴れ)

 

 始業式の朝、教室に入ると目に飛び込んでくる二枚の紙があった。

 黒板にマグネットで貼ってあるそれ、一枚は賞状。学校優勝の。そう、俺達は夏休みの球技大会で、狙っていた学年優勝のもっと上、二、三年生を差し置いて学校優勝を取ってしまったのだ。なにしろ、全校トーナメント戦である男子サッカー、女子サッカー、男子バスケ、女子バスケ、男女混合ドッジボールの全ての種目で一位か二位を取ったクラスなんて、他になかった。

 しかし、みんなが集まり、血眼になって凝視していた紙は、もう一枚の方だった。

 『球技大会貢献ランキング』その文字を認識した瞬間、俺は机や椅子を蹴散らして、黒板まで駆け寄った。人混みを掻き分けて紙の真ん前に陣取る。

 これだ。この結果で席替えが決まる。俺のハッピースクールライフはこれにかかっているんだ!!  思い返せば、高宮に声を掛けてから大会当日まで、俺は本当に頑張った。今まで生きてきてこれ程何かを頑張ったことはないくらいだ。

 高宮はサッカーだけでなく、俺がエントリーしていた種目全てを教えてくれた。サッカーも、バスケも、ドッジボールも、テニスも、廊下ボーリングも、剣玉も、高宮はやっぱり上手だったし、教え方も最高にうまかった。高宮が何年もかけて編み出した、一番効率の良い方法を伝授してくれたのだ。

 さらに、観戦している女子達やフッシンにアピールするための小技まで教えてくれた。試合中、チラッと見せるテクニックが、その人をやたら格好良くさせるらしい。

 おかげで一週間の間にヘディングシュートも、スーパースピードドリブルもできるようになった。

 そして、俺は二時間の合同練習と、アリジゴクでのスパルタレッスンでどんどん力をつけていった。

 本番だってなかなかよかった。できる小技は全部使ったし、個人種目はテニスも廊下ボーリングも剣玉も全部五位以内で入賞している。

 よし、大丈夫だ。高宮には負けたけど、五位以内には入っているはず!

 意を決して顔を上げる。

 貢献ランキングの上位三人が真っ先に目に飛び込んできた。


 一位 高宮瞬

 二位 藤野友香

 三位 切磋琢磨


 よっし!三位。三位だ!この俺が、三位!

 神様、仏様、高宮様ありがとう。伏見大先生ありがとう。そして、頑張った俺におめでとう!

 この際、藤野の二位には目をつぶろう。とにかく万歳!

 と、心の中では紙吹雪の中でガッツポーズしながらバック転している俺も、さすがにそれを実行しようなどというバカなことは考えない。いや、ガッツポーズしながらバック転なんてどうやってやるんだ。

 まあ、つまりそんなに喜んではいけないということだ。度が過ぎると周りに睨まれることになる。「あ!やった!」くらいが丁度良い。

 俺は自然にニヤけてしまう顔を我慢しつつ「あ!やった!」というそれだけの言葉に喜びと優越感を込めた。

 しかし、この我慢はただの無駄な労力にしかならなかった。

 なぜなら、周りにいる連中が、俺のことなど全く気にしていないからだ。

 もし、今俺が貧血で倒れたとしても、きっと誰にも気付いてもらえないだろう。

 決して、俺の影が薄すぎるからではない。みんなの意識が別の所に向いているからだ。

 黒板に集まった十数組の目は、どれもある一点を凝視していた。

 それは、長い名前の羅列の一番下、つまりランキング最下位の場所だった。見たこともない名前がそこにあったのだ。

「球技大会に貢献してない知らない人っていったら、転校生かな。」

 いつの間に登校してきたのか、気付いたら高宮が隣にいた。やはり、最下位の名前を凝視している。

 すかさず周りが返事を返す。

「あ、高宮、おはよう。」

「お前やっぱり頭良いな。転校生とか、考えもしなかったよ。」

「こんな時期に転校生?まだ中学始まって五ヶ月しか経ってないぜ?ありえないだろ。」

 あっという間に、人だかりは黒板の前から高宮の周りへと移動していく。もちろん、俺も巻き込まれた。

 これが太陽の引力か。いつものことながら感心する。

 それから五分間、謎の名前について議論した結果、それは転校生であり、こんな時期に転校してくるのだから何か訳ありなのだろう、ということになった。

中1の二学期に転校するのが珍しいことなのかどうかは、

正直よく分かりません

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