第1章 出会いはいつも突然に。
どうも飽きっぽい性格の気が・・。
しかーし!!今回は頑張ります。気合が違います。
どうか、皆さんお願いしますね。(何を?え?)
「兄さん…………。」
空は死んだ。
死んだ空を俺はただ見上げていた。
死んだ空は一見変わらないようで、死んでいることを忘れさせた。
「あれから何年たったのかな?兄さん。」
空が死んでから何年たったのかを俺は考えてみた。
約10年…。
10年だ。
10年も俺は死んだ空を見ていたのか。
「兄さん…相変わらず空の表情は一定だよ。」
俺は目をつむる。
つむるとそれは、つい昨日のことのように鮮明と瞼に映る。
それは7歳の時の出来事
『ユイ、俺は空に命を助けられた。だから今度は俺が空を助ける番なんだ。』
兄さんは苦笑しながら俺を見る。
俺は多分泣いていた。
自分のことはあまり覚えていないんだ。
兄さんだけを鮮明に覚えてるんだ。
『ユイ、俺は必ず帰ってくる。それまでいい子にしてるんだぞ?』
兄さんはそういって俺の頭を撫でるんだ。
兄さんは地上に旅だった。
兄さんが言うには、空の死因は地にあるらしい。
「兄さん…俺はあれからいい子にしてた。」
ユイは、恥ずかし気な顔をしながら空を見上げる。
空は快晴。
虹が掛かった快晴。
これでも死んでいるんだ。
「あれから、9年まった。兄さん、悪いけどもう待てないよ。」
とユイはおもむろに立ち上がった。
彼が見る先は空。
彼が立つ地は雲。
人っ気を感じさせない雲の国、スカイランド。 そこは家も家具でさえも雲でできた国
「旅立ちますか。」
時を同じくして、聖霊界。
「シャクマ、スカイランドがどういう状況に陥っているか知っているね?」
そいつは偉そうにでっかい椅子に座り、シャクマを見た。
シャクマはそれを嫌そうな目で見返す。
「シャクマ…頼むよ。」
「ちっ…」
「はぁ~、」
偉そうにしやがって。
てめぇと俺…何が違うってんだ。
そいつはシャクマの心を読んだように言ってきた。
「もっている力が違うんだから使用が無いんだよ兄さん!」
「うるせー」
と耳に小指を突っ込み耳をほじりはじめたシャクマを見て、ソイツは再びため息
をついた。
(「だから聖霊王なんかになりたくなかったんだよ…」)
………。
「はぁー…」
「………。」
「………ぅぅ」
「………。」
「うわ~ん、わー、ぅぐっあ~。」
終いには泣き始めた。
「………ァァァア!わかった!わーたから泣くなっつの!行く行く!行きますよ
!」
「………うぐっ…ホントに?」
ぁぁ………ムズムズするわ…。
「ホントホント!」
結局、シャクマは行くことになったのだ。
妹、シャルナが泣いたせいで。
聖霊界から、地上界(空だが)に行くには、転送装置を使う必要がある。シャク
マは別にシャルナを妬んでいるわけではないのだ。
ただ、転送装置が怖いだけなのだ。
「えっと…設定はスカイランドっと………んで、この台の上にのって…スイッチ
………」
挙動不振とはこのことである。
転送装置って上の天井落ちてくるんだよなぁ…。あぁぁぁ…
と暫く悩んだ後、
「ぇぇい!!な、なせばなる!」
どがっしゃん!!
ピッカーン。
「あのシャクマ様が本当に行くとは…」
「兄さんはやればできる子なのよ♪」
「ぬぉぉぉぉおおおぉぉぉぇおおぅっぷおおおおぉぉ!!」
そしてこれである。
シャクマが転送されたのはスカイランドの端っこ、クラウンという町だ。
「いってぇ~…転送装置がまさか落とすだけだとは…。」
思い出すだけで体が震えるぜ…。
っと、シャクマは立ち周りを見る。
「誰もいねぇな。」
クラウンは辺境の地。
というかスカイランドは人が少ない。
「確か、天使の生き残り見たいな一族なんだよな。」
「違うよ、墜天の生き残りだよ。」
「あ、ぁぁそうか。だから魔眼ね、成る程。」
ってうぉい!
「お前誰だよ!」
ソイツはニットをかぶった透き通るような白い肌に銀髪碧眼を持つ…男?
いや…女だった。
「俺はユイ、お前は?」空気といい口調といい男っぽいやつだなぁ。
「あぁ…俺はここに派遣された聖霊、シャクマだ。」
ユイは、ん?と唸り眉根を寄せた。
それが妙に可愛いのだ。
(「派遣聖霊…?なんでここに?」)
しかしすぐにわかった。
「ここの魔眼は保護対象になった。言うならば、俺はこの国を守りにきたんだ。
」
とシャクマが腰に手をあて自慢げに言った。
あ、なるほど~。
ユイは手の平に拳をポンっとのっけた。
しかし、今対象になっても俺にはなんら恩恵なさそうだ。
「俺は今からこの国でっから、まぁ頑張ってくれ。愛想悪いけどね。」
「え?なんで出るん?なんかの罰?」
はっ!とユイはその言葉を笑い飛ばした。
「まさか、ただ俺は空を助けにいった兄さんを見つけにいくだけさ。」
今度はシャクマが眉根を寄せた。。
死んだ空を助けるだって?
聖霊でもできないことが人間にできるはずがない。
はっ!と次はシャクマがユイの話しを笑い飛ばした。
「馬鹿いうな、お前の兄さん頭とんでんのか?死んだ空はもう生き返らねぇよ。
」
「好きなだけ言え」
とユイはシャクマを睨んで、身を翻した。
シャクマはとても悪いことをした気がしてならなかった。
つか、したのだろう。
ま、いっか。
彼の得意技は開き直りである。
シャクマもユイとは逆方向に身を翻えそうとしたが、
「言っとくけど、俺と逆方向にいったら、行き止まりだぞ、まぁ飛べるってなら
話しは別だけどね。」
止めた。
なんて気に食わん人間なのだ!!
シャルナよ…俺は君を呪います。
歩いている途中、沈黙がやだったのでシャクマは色々ユイとコミュニケーション
をはかってみた。しかし全部無視。
失敗に終わった。
多分、ユイの兄さんを馬鹿にしたからなのだろう。いや確実にそうだろう。
それにしたって酷くないか?
泣きたいわ。
あれから僕たちは、何かを信じてこれたかなぁ?ライオンハートを聴けば泣ける
。
暫く歩いて、ユイはやっと口を開いた。
「どこまでついてくんだよ………。」
「ん~活気づいてる町までかな。」
「ないよ」
「え?」
「どこにもそんな町ないよ。」
まさか…。
そんな国ってあるのか…?
ユイは急に立ち止まって振り返った。
そこには、驚いているシャクマの顔と、人っ子一人といない町があった。
「知らないできたのか?ここは五年前に襲われて、今はほとんどの人が怯え暮ら
している。」
「襲われた…?」
「そう、襲われた。」
考えてみればそうだ。
何故、保護対象になったのか。
それはきっと、よく襲われるからなのだろう。
それも、凶悪な奴らにだ。
じゃなきゃ、王族直々に来るはずがないじゃないか。
「襲われた…そうか。」
「そうだ。だから、守ってやってくれよな。」
ユイの表情は暗かった。
俺は、この子を助けられないだろうか?
俺は、この子を笑顔にできないだろうか?
何故、こんなことを思うのかはわからない。
それはやっぱり、罪悪感からくるものもあるかもしれない。
ただ、俺は・・・・このままじゃいけないと思った。
空には今だ虹が掛かっていた。
それはきっと、俺と君の掛橋になってくれる・・かも。
「自分はいいみたいな言い草だな。」
「?だってこの国から…」
人間は、皆嫌な奴だ。
欲望に満ちていて、とても卑怯だ。
でもコイツは少なくとも違うんだろう。
「関係ないさ。」
コイツは、人の心配ばっかする奴なんだろう。人のことばっか気にかける、欲望
に満ちた人間なんだろう。
「関係ないって…わけがわからねぇな。」
ユイは苦笑した。
「お前も保護対象者だ。守る必要がある。」
だから俺は真面目に応えた。
そうさ、コイツも保護対象内だ。
ならば、まとめて救ってやろう。
王族の力をもって―──だ。
ユイは目を見開いて耳を疑った。
墜天の人は嫌われ者だ。そんな俺を守るだって?兄さん…。
「ははは…」
自然とでてきた笑い声に、シャクマもつられて笑った。
「アハハ」
兄さん…
面白い奴が来ました。
コイツは兄さんを馬鹿にしましたが、俺は許そうと思います。
だって、こんなにいい人・・あ、精霊なんだから。
いい気分だ。
とってもね。
「キャァァァァ」
それはいきなりだ。
近くないが、遠くもないどこかから悲鳴が聞こえた。
ユイは笑顔を崩し舌打ちをした。
「ちっ…またか!」
とユイはコチラに向かって走りだした。
「お、おい…?今の悲鳴って………。」
しかし、ユイはシャクマを通り過ぎる。
シャクマはそれを追うようにして振り返ったが、すでにその姿は点のように小さ
くなっていた。
(「は、はえー…人間が出せるスピードじゃねぇぞっ!?」)
ア然とその点を見ていると
「兄さん!スカイランドに空族が来た!目的はやっぱり魔眼だよ!場所おくるか
ら早く行って!!」
シャルナの声が頭に響いてきた。
そして、刹那。
場所が頭に浮かぶ。
地理がわかる。
「あいよ…」
こういう時のシャクマの対応は常軌を逸する。
シャクマが身を屈め構えると、周りを焼くようにして焔が現れた。
「あちゃ…この人ら‘空の涙’加工した装備もってるね…気をつけてね。」
シャルナの声が頭に響くが、シャクマには半分も聞こえていなかった。
キィィィィィィィィィィィィィィィィィン!
シャルナの声を打ち消すほどでかい音をシャクマが出していたからだ。
その音は段々と足に向かっていき
「爆足!!」
ドッカーン!
膨大なエネルギーがシャクマの足の裏で爆発した。
飛ぶようにして、シャクマは一直線に突き進む。
さっきまでシャクマがいた地から空が見えた。
人が住めるほど硬く厚い雲を砕くほどの爆発の推進力でシャクマは走っているのだ
。
「や、やめて!」
悲痛な叫びを漏らす女。筋肉質な男がその女の両手を掴んで下品に笑った。
「ゲヘヘ…あんたの眼を売れば、俺らは一生遊んで暮らせるってわけだよ…。」
なにかの工場のようなところで、それは行われていた。
鉄臭いと言えば鉄臭く、埃臭いと言えば埃臭い、
要は長い年月、そこは誰にも使われていなかった場所 ということだ
そんな中で、男数十人がその男と女のやり取りを見て、これまた下品に笑っている。
男は腰に携えていたナイフを女の顔に向けた。
「これでくり抜いてやらぁ…。」
女は恐怖で顔を歪めた。叫んで助けを呼ぶか?
ダメだ…
この国は終わっている、だれも助けには来てくれない。
仮に国が終わっていたとしても、女は恐怖で声すら出ないのだ。
あと、あと少し。
あと少しで、この刃は瞼の上を突き、アイスをスプーンですくうように眼球を繋
ぐ神経を切って、汚い男の指がこの眼を抜き取る………所だった。危うく…だ。
男は突然、吹き飛んだのだ。
「また族か…こればかりが気にかかって使用がなかったんだよね。」
女の横、数メートル先に白いニットをかぶった男のような女が右手を突き出して
立っていた。
そして、その右手の前には緑色の剣がプカプカと浮いている。
一部始終を見ていた男の仲間が武器をもってユイを囲った。
族が思ったことはただひとつ。
それは純粋な恐怖心からきた疑問。
「兄…姉ちゃん…あんた空に選ばれた人かい?」
恐る恐る一人の男が聞いてきた。
それにユイは笑みを浮かべて応えた。
「スカイハーツは俺の心臓に。」
「やれ!かかれ!こっちにも涙があんだ!」
その声とともに、囲っていた男達がユイに襲いかかってきた。
しかし刹那、それは赤い風に吹き飛ばされた。
そしてユイの隣には焔がいた。
優しく、力強く燃える焔がいた。
「ぁぁ?女囲むとは、どんだけ発情してんだ。」
とシャクマは一掃した奴らを睨んだ。
その頭から
「ありゃ…涙関係なかったか。」
とシャルナの声が響く。
ユイは驚いてシャクマを見た。
「お前、よくついてこれたな。」
それは純粋な驚きだった。
それにシャクマは「王族の力だぜ」と答えた。
ふぅ~。
保護対象に傷は無しっと。
シャクマは腰を抜かして立てないらしい女に肩を貸すとユイを見た。
「いくぞ、とりあえずこの人が休める場所まで行きたい。」
「…………」
シャクマはユイに向かって言ったのだがー
ユイはシャクマを冷たい視線で見据えていた。
え?
俺なんかしたっけ?
あ…あれ?
とシャクマは肩を貸してやっている女を見る。
ま、まさか…
ヤキモチ…?
彼の必殺技は妄想である。
「お、おい。ヤキモ――――――」
シャクマが言いかけた瞬間、黄色い閃光がシャクマの首の横を通り過ぎた。
バチバチと唸る、黄色い閃光がだ。
雷か…。
「ユ、ユイ?」
いくらなんでもあれくらったらわたししにますよ?
ユイが突き出す右手には黄色い剣が浮いていて…。
ユイは朗らかな顔でシャクマに笑いかけ、「残党狩り」。
シュ~。と肉が焼けたような臭いがしてきた。
(「容赦ねぇ…俺だって火力下げたってのに、この女…」)
死んだんじゃね?
タラッと汗が頬を伝った。
シャクマは知った。
初めてあった人について知った。
ユイは恐い。
それは、精霊を恐怖させる怖さだ。
精霊といっても、ただの下級精霊や中級・・上級、特級ではなく王族の精霊をだ。
シャクマが恐怖で声も出さずに佇んでいると、不意に頭から声が響いてきた。
(「お兄ちゃ。。兄さん・・あの人、すんごい怖いね。」)
シャルナとシャクマは視界を共有することができて、シャルナはその一部始終を見ていたのだ。
精霊王も恐怖す。
シャルナが昔言っていた「お兄ちゃん」と言ってしまうほど。
「人間って怖い生き物なのか?」
シャクマは苦笑することしかできなかった。
それ以外何をしろと?
最後まで・・いあ、途中まで読めばわかることですが、ユイは女です。
一人称俺、僕 なんかに惹かれます・・。
普通じゃないのが好き、みたいなw