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#7

琥珀は授業が終わり急いで教室を出られたおかげでいつもより10分ほど早く家に着いた。玄関のカギを開け入るといつもあるはずの琥珀の祖父母の靴が玄関にないことを琥珀は確認した。


――今日は遅いんだもんな。


そう思いながら、琥珀は手を洗うため洗面所へと向かう。向かう途中通ったリビングにもやはり誰かがいる気配はなかった。


――今日はゆっくり絵が描けそうだ。


手を洗い終えた琥珀は自室へ入り机の上にリュックを置いてチャックを開け、いつも持ち歩いているスケッチブックを探した。


「あれ……。」


一瞬嫌な予感がした。琥珀はその予感が当たらぬよう願いながらバックの中を覗く。バックの中にスケッチブックはなかった。予感は的中してしまった。


――まさか、置いてきた?どこに……教室。


琥珀の焦る気持ちを分かりやすく表すかのように手には汗が浮かぶ。

琥珀にとってスケッチブックはあの日からずっと誰にも見せることなく描き続けている唯一大切にしているものだった。


――まさか、忘れた?……嘘だろ。誰かに見られでもしたら……。


最悪の可能性が琥珀の頭をよぎる。それと同時に誰かに締め付けられているかのように胸が苦しくなり、息がしづらくなっていった。

琥珀にとって()は自分の居場所、誰にも触れられたくない場所。

唯一幸せだったあの頃の記憶をそっと保管して置ける場所。

だからこそ、誰かに触れられていたとしたら……


――嫌だ。もう否定されたくない。やばい、誰かに見つかる前に取りに行かないと。


琥珀は乱暴にリュックのチャックを閉め、急いで学校へと戻った。

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