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#5

琥珀と獅音の2人が被っている授業は、水曜日3限と金曜日2限の授業です^ ^

【一週間後・水曜日・3限】


あれから琥珀は、必要以上に周囲に目をむけない日々が続いていた。特にあのむかつく笑顔を振りまく男……獅音に関しては合わないように意識していた。嫌いと言って突き放したはずが、むしろ琥珀の頭の片隅であの時の獅音の表情はのりのように離れなかった。


――なんであいつ、あの時あんな顔を……しかも何で何も言い返してこなかった。


そう琥珀が考えている中、友人らしき人達と教室に入ってくる獅音の姿が琥珀の目に映った。相変わらず楽しそうに話しているように見える一方、琥珀はその楽しそうな雰囲気に違和感を少し覚えた。

ヘラヘラだったあの時と少しどこか違う気が琥珀にはした。何か考えているのだろうか、一瞬笑顔が遅れるような……そんな違和感。


――もしかしてあいつ、俺がいったこと気にしてるんじゃ……。


ふと我に返った琥珀は、あの男のことを気にしているかのように思う自分に苛立ちを感じた。


――何を気にしているんだよ、俺。別に関係ないだろ、あいつのことなんか。勝手に俺の聖域に踏み込んできたやつのことなんか。


そう考える一方で、琥珀の心は何かいることを知らせたがっているような違和感を感じさせていた。


あの夜、絵を見られたこと。

その絵をキラキラした目でほめてきたこと。

教室で1人の俺に話しかけてきたこと。

そんな俺を追いかけてきてまで話しかけてきたこと。

そして――

そんな彼に嫌いと言ってしまった時のあの切ない表情。


――くそ、本当何なんだよ。どこまで俺の聖域に入ってくるんだよ。


知らない、知りたくもない様々な色が混ざったこの感情。何色とも表せられないこの感情がじわじわと琥珀の心を染めていった。

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― 新着の感想 ―
一見すると『普通の学生(友達にも恵まれている一般人)』な獅音と、『何か悲しいことが過去にあったらしい』琥珀。 しかしながら、何かがあった…ナイーブで繊細な琥珀だからこそ、他の人は見ない獅音の違和感にも…
獅音の好奇心と誠実さ、琥珀の繊細で閉ざされた内面が対照的に描かれ、読んでいると自然と両者の距離感や心の機微に引き込まれました。 直接言葉にはされない心情のすれ違いと痛みが、とても繊細に描かれていて好…
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