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#3

黒田くろだ 琥珀こはく

年齢・20歳

誕生日・5月6日

身長・178センチ

体重・67キロ


藤田ふじた 獅音しおん

年齢・20歳

誕生日・4月12日

身長・182センチ

体重・72キロ


Xでも琥珀、獅音の情報を公開予定です!

【2日後・水曜日3限】


 昼休みが始まって40分ほどが経過した。次の授業のために自分のお気に入りの席を取られまいとぽつぽつと学生達が教室へと集まり始めていた。獅音もそのうちの1人で、何人かの友人達と話しながら一緒に教室へと入ってきた。


「藤ちゃん、昨日はまじ助かった。今日帰り何か奢らせて!」

「いいよ、そんなの。一緒にやるって言ったんだし。それよりもう終わりそう?」

「藤ちゃん神かよ。」

「ダメだぞ、獅音。こいつを甘やかしちゃ。おごってもらえ~。ついでに俺も奢ってもらお。」

「ちょっ、佐々木は関係な―」


友人たちの会話を聞きながら獅音は、自然を装いつつ誰かを探しているかのように教室を見渡していた。すると教室の奥、窓側の席でその目は留まった。


 ――やっぱり、いた。


「あ、ごめん。今日俺あっち座るわ。」

「なんだ、獅音。ついにお前もサボりの神が宿り始めたか?」

「ちょ、そんなわけないって。大学祭の人でこの前話してる途中で別れちゃって。丁度この授業にいたからさ、話しかけてみようかなって。ごめんね!」


そう言うと獅音は、笑顔を絶やさぬまま窓側の席へと向かう。獅音が向かったその先は2日前のあの夜に偶然出会った琥珀の姿があった。


「隣座ってもいいかな?」


獅音にとって自然な笑顔でそして誰もいやな気持ちにならないトーン、行動で聞いたつもりだった。

だが――


琥珀は静かにでもどこかいら立っている雰囲気をまとわせながら席を立ち、そして数個先の席へと移動し無言でその席へと腰を下ろした。その後ろ姿はまるで自分に話しかけてくるなと言っているかのようだった。


 ――うわぁ、完全に無視されちゃった。ま、そう簡単に話すことは難しいか。あんな別れ方だったし……。


獅音はそう苦笑いを浮かべながら仕方なく近くの空いている席に座る。


「お、獅音じゃん。一人でいるとか珍し。」


声の方向に振り向くと獅音と同じ経済学部2年の友人二人が手を振りながら向かってきた。


「誰かと一緒じゃないんか。え、じゃぁ隣座ってい?」


そう聞かれると獅音は、いつもならすぐに返事するはずがなぜか一瞬だけためらった。しかしすぐにいつもの笑顔を浮かべながら首を縦に振った。


 ――なんでためらった?


獅音は自身の行動に疑問を持つ中、隣では友人たちの何気ない話が始まった。獅音はしっかりと聞いているかのように笑顔を友人たちに見せながらも時折、無意識に琥珀の背中を見ていた。

もしかしたら彼が気にしてこっちに少しでも横顔を見せてくれるかもと獅音は期待していたが、結局終始彼は獅音に横顔も見せることはなく、背中だけを見せていた。

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― 新着の感想 ―
ゆきん子さんの作品は、何気ない日常の中にある“静かなドラマ”を見逃さず、丁寧にすくい上げて描いてくれるのが本当に魅力だと思います。 文章のリズムも心地よく、空気や感情の機微を読む楽しさが詰まっていて…
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