新しい日常
学校が始まり、最初の1週間が終わる頃にはクラス内で、大まかなグループが出来上がっていた。
かなり上位の進学校ってことで、あからさまな陽キャグループ……てのはないが、同じ中学校出身のメンバーや、出席番号の近しいメンバーが2、3人集まって話しているような状態だった。
(1つの中学校から2、3人ってことも珍しくないから、不安を感じないように同じクラスにしてるのかな)
そんなことを考えつつ、自分の席に荷物を置き、すでに登校してる優里に話しかけた。
「おはよう。優里」
「金木くん。おはようございます」
「今日なんか予習あったっけ?」
「今日は英語だけですね」
優里は寮生なので、登校にほとんど時間がかからず、早めの時間帯には既に学校に登校して、その日の予習をしていた。
そして、そんな優里とは対照的に……
「夏樹さんはいつも通りですか?」
「うん。いつも通り寝坊してる」
そう。
僕の悪友である橘夏樹は、一緒の電車で登校しようと約束したにも関わらず、その翌日から、連続寝坊記録を更新し続けている。
(なんで、出来もしないことを約束したんだろう……あいつ、朝メチャクチャ弱いのに)
※
朝の予鈴がなるごろになって、夏樹はようやく登校してきた。
「コウく〜ん、どうしていつも待っててくれないの〜」
夏樹はいつも通り、僕に後ろから抱きつきながら、駄々をこねる。
みんなからの視線が痛いし、やめてほしいと思いつつも、抱きつかれるたびに背中に当たる幸せな感触のせいでいつも言い出せずにいる。そんな幸せな時間を遮るように……
「夏樹さん、女性が男性の体に不用意に触るものではありませんよ」
「おはよう、委員長。相変わらず真面目だね〜」
委員長からのツッコミが入る。ツッコミとは言っても、委員長の目は全く笑ってないので、正直、めちゃくちゃ怖い。
そして、そんな委員長に気軽に挨拶を返せる夏樹を心の底から凄いと思う。
「真面目も何もありません。そんなにしては孝憲くんに嫌がられてしまいますよ」
「別にいいじゃん。減るもんじゃないし、コウくんも嫌がってないし」
そんな言い争いを続けているうちに、
「皆さん、席についてください。朝のショートホームルームを始めます」
竹本先生が登場するのが一連の流れだ。
僕は基本的にこんな感じで、僕、優里、夏樹、委員長の4人でいることが多い。
夏樹がふざけて、委員長につっこまれて、それを僕と優里が笑うと言う感じだ。
そんな、新しい日常に慣れ始めた頃に、新しいイベントがやってきた。
「今週の金曜日は遠足があります。皆さん、病気や怪我にならないように気をつけましょう」




