12話 -霧の中-
「はぁぁぁああ、蘇ったああぁぁ」
結局別の宿に泊まり、HPが全回復させた。
あの後話を聞いた感じでは、とにかく新鮮な薬草が必要なんだそうで、僕が今日取ったものでないといけないらしい。
一応そこはクエストとしての面白さがあるみたいだ。
なので僕は、薬草があるという、マーナの森に向かう。
ここはモンスターが比較的弱く、初心者におすすめな場所だと聞いていた。
のだが……
その森に足を踏み入れた時、妙な浮遊感を感じる。
自分の体は白い霧に包まれ、自分の体でなくなったかのようにも感じられる。
そして次の瞬間、視界が戻る。
のだが、そこには見たことのない土地が広がっていた。
いや、マーナの森も確かに探索したことがないが、さっきまで見ていた森とは明らかに違う。
森が霧に囲まれて、少し薄暗く、風の音すらほとんど聞こえない、そんなところに僕はいた。
「……怖い。」
一番初めに感じたのは、心霊スポットに行ったかのような不気味さだった。
心霊スポット行ったことないけど。
急いで後ろに戻ってみるが、透明な壁があった。
そして僕は気がつく、
「これ……どうやって帰るんだ?」
そう。
ここは森なので、明確な出入り口はなく、そもそもさっきまでの場所とは空間ごと切り離されていそうなこの場所から帰られないのだ。
というか、なぜこんなところに自分はいるのだろう。
考えてみる。
1つ目は、そもそもここがマーナの森であるという説。
だが初心者向けの場所で戻れないのは流石におかしいので違うだろう。
2つ目は、たまたま時間や行動などが条件と一致して、たまたまイベントが発生したパターン。
可能性としてはあり得ないことはないが、多分ないだろう。
ならば3つ目。
一番可能性が高いもの。
それは、僕の行なっている、特殊クエストである「少女と母の病気」によって引き起こされた強制イベント。
正直僕はこの可能性が一番高いと思っている。
ならば、ここで薬草を探すか、何かボス?でもいれば、そいつを倒すとか、そういうことをすれば変えられるだろう。
そう考えた僕は、一歩、また一歩と踏み出すのであった。
白くて深い、前の見えない霧の中へと。




